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まるごとNMEA AE−RP2040編
このWebページは「RP2040マイコンボードキット (AE−RP2040)」を用いてGNSSロガーを製作した経緯を記録として残した個人的なメモです。
文中の一部の用語は下記を意味します。
GNSSモジュール
GR−A013U(GM−A013R)・GM−5157A・GSU−140型GNSS評価キット・GM−8013T・GT−U12などのGNSS受信機
(受信器)もしくはGNSSモジュール。
GNSSロガー
GNSSモジュールから送信されたNMEAセンテンスをSDカードに記録する本Webページで紹介する試作品(プロトタイプ)。
− 目次 −
2.「まるごとNMEA AE−RP2040版」の製作
3.「まるごとNMEA AE−RP2040編」の仕様
4.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のスケッチ
5.動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチの内容
6.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のスケッチの書き込みと動作例
7.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のファイルマネージャー操作方法と動作例
「まるごとNMEA Arduino編」、 「まるごとNMEA Raspberry Pi Pico編」 、「まるごとNMEA RP2040 Zero編」、「まるごとNMEAもどき SPRESENSE(メインボード)編」、「まるごとNMEAもどき SPRESENSE(メインボード+拡張ボード)編」「電池ボックス電子工作(その23) まるごとNMEAボックス版」に続く製作記録です。
ハードウエアとしては「RP2040マイコンボードキット (AE−RP2040)」 のピン配列と「Raspberry Pi Pico」のピン配列がほぼ同じのため、両方のボードを利用できるようにしました。 ソフトウエア としては「電池ボックス電子工作(その23) まるごとNMEAボックス版」のスケッチを改訂しました。 今回の改訂版はRP2040を用いた「まるごとNMEA Raspberry Pi Pico編」 、「まるごとNMEA RP2040 Zero編」、「電池ボックス電子工作(その23) まるごとNMEAボックス版」にも利用できます。
GNSSロガーの操作・機能は基本的に「まるごとNMEA Raspberry Pi Pico編」 を踏襲しました。 本来は仕様を先に記載すべきですが、仕様説明に際して回路図を参照しているため製作情報を先に記載します。
基本回路は「まるごとNMEA Raspberry Pi Pico編」の「プロトタイプ4」と同じです。 マイコンボード接続用のピンソケットを
「AE−RP2040」用と「Raspberry Pi Pico」用の2種類を同一基板上に並べて実装しました。
電源供給はマイコンボード「AE−RP2040」もしくは「Raspberry Pi Pico」のUSBコネクタから、もしくは、端子台TB3から供給する外部5Vdc電源のいずれかを利用できるようにしました。 なお、USBコネクタからの5VdcとTB3外部5Vdcが直流的に接続することを防止するためにSW5(DC Supply)を設けて断路できるようにしました。
また、別の目的として、GNSSモジュールへの電源供給をマイコンボード「AE−RP2040」もしくは「Raspberry Pi Pico」内の3.3Vレギュレータを利用したくない場合を想定しています。
GNSSモジュール用電源は回路図上は電源IC1の3端子レギュレータはAMS1117−3.3から供給しています。 なお、今回の製作では実装の容易な「RASBEE 10個セット AMS1117−3.3 DC−DC ステップダウン パワーモジュール」を利用しました。
SDカードは「まるごとNMEA Raspberry Pi Pico編」の「プロトタイプ4」と同じ「microSDカードスロットDIP化キット」を利用しました。
下記に「まるごとNMEAボックス版」の回路図、製作時の画像を掲載します。
上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」 回路図 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観1 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観2 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観3 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観4 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観5 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観6 】
「RP2040マイコンボードキット (AE−RP2040)」を実装した場合です。
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観7 】
「Raspberry Pi Pico」を実装した場合です。
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板外観8 】
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」動作確認1 】
「Raspberry Pi Pico」を実装して「GT−U12」の動作確認をしています。 |
【 「まるごとNMEA AE−RP2040編」動作確認2 】
「まるごとNMEA AE−RP2040編」の仕様を下記に記載します。
動作は「GNSSロガー」もしくは「ファイルマネージャー」の2種類のいずれかを、電源投入時のSW1とSW2のオンオフ状態で選択します。
項 目 |
仕 様 |
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電源電圧 |
5Vdc 下記2方法のいずれか1つを選択することが望ましいです。
|
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消費電流 |
消費電流は利用するSDカード、GNSSモジュールにより異なります。 |
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GNSS |
3.3Vdc及び5Vdc。 |
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GNSS |
4800bps、9600bps、19200bps、38400bps、57600bps、115200bps EEPROMのデータにより通信速度を選択します。 |
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GNSS |
3.3Vレベルのみ 5Vレベル の場合は「4ビット双方向ロジックレベル変換モジュール BSS138使用」などを用いてレベル変換をしてください。 |
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GNSS用 |
「まるごとNMEA AE−RP2040編」基板上のTB3から給電します。 |
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Monitor |
パソコンなどに接続して、「まるごとNMEA AE−RP2040編」の動作確認/動作指示をするシリアルポートです。
|
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SDカード |
FAT16もしくはFAT32。 マイクロSDカードもしくはマイクロSDHCカード。 (最大32GB) できる限り高速書き込みができるクラスの製品が望ましいです。 今回の動作確認にはCLASS10を利用しました。 |
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タクトスイッチ |
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タクトスイッチ |
|
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スライド |
SW3をオンすることで、GNSSモジュールのTXデータをTB1のMonitor−RXへ出力します。 Monitor−RXは EEPROMデータの読込みデータの確認やGNSSロガーの受信データ確認のため利用します。 GNSSロガー動作時はSW3をオフで利用することができます。 |
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LED表示 ブザー発音 |
注記:ブザー周波数はパラメータ設定となります。 下記表中ではパラメータ毎にF1・F2・F3・F4として記載しています。
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GNSS ロガー シーケンス |
電源オン時はSW1・SW2のオンオフ状態で動作が変わります。
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格納ファイル |
格納ファイル名は「GNSS」+「000」を開始番号とした追番号+拡張子「.LOG」となります。 例 GNSS000.LOG → GNSS001.LOG → … 格納ファイルの1行目にヘッダー文字列を格納します。 |
「まるごとNMEA AE−RP2040編」のスケッチは2種類の組み合わせで利用します。 2種類のスケッチの一つはGNSSロガー用スケッチ、もう一つは動作設定EEPROMデータデータ書き込みスケッチです。
GNSSロガー用スケッチ
ファイルマネージャー動作時のMonitorシリアルポート通信速度毎に下記のいずれかを利用してください。 GNSSロガー動作時のMonitorシリアルポート通信速度は動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチで設定します。
ファイル名
ファイルマネージャー動作時のMonitorシリアルポート通信速度
115200bps
230400bps
460800bps
921600bps
動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチ
動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチは、GNSSロガー用スケッチの動作を設定するデータを書込むスケッチです。 GNSSロガー用スケッチを動作させる前に、事前にこのスケッチでEEPROMに 所定のデータを書込む必要があります。
本WebページでEEPROMと記載していますが、「Raspberry Pi Pico」などで使用されているチップRP2040にはEEPROMがありません。 正 しくは「Raspberry Pi Pico」などで使用されているチップRP2040に内蔵されているFLASHメモリの一部をデータ保存/読出しすることでEEPROMと同等の機能を実現しています。
GNSSモジュール初期設定有無、GNSSモジュール通信速度、Monitorシリアルポート通信速度の異なる4種類のスケッチのいずれかを利用してください。
ファイル名
Monitorシリアルポート通信速度
BLOCK0
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
115200bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK1
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
4800bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK2
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
9600bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK0
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
9600bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK1
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
19200bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK2
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
38400bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK0
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
9600bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK1
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
19200bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK2
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
57600bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK0
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
「GSU−140B」用初期設定
GNSSモジュール通信速度
115200bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK1
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
115200bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
BLOCK2
GNSSモジュール用初期設定ルーチン
0(初期設定無し)
GNSSモジュール通信速度
9600bps
Monitorシリアルポート通信速度
115200bps
EEPROMのデータ例(jisaku96k1.uf2)を下記に掲載します。
項 目 |
アドレス |
BLOCK0 |
BLOCK1 |
BLOCK2 |
動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチ |
|||||||||
値 |
値 |
値 |
||||||||||||
GNSSモジュール用初期設定ルーチンの選択
0:汎用GNSSモジュール(初期設定無し) |
0x0000 |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
GNSS Module |
|||||||||
GNSSモジュールの通信速度(bps)
|
0x0001 |
0x06 |
0x01 |
0x02 |
GNSS Baud Rate |
|||||||||
Monitor−TX/RXの通信速度(bps)
|
0x0002 |
0x06 |
0x06 |
0x06 |
Monitor Baud Rate |
|||||||||
測位表示トリガ判定用IDメッセージ NMEA ID
|
0x0003 |
0x01 |
0x01 |
0x01 |
Trigger NMEA ID |
|||||||||
LED表示、ブザー発音有無初期値 0:LED表示有り・ブザー発音無し |
0x0004 |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
LED/Buzzer Status |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F1 |
0x0005 |
0x07 |
0x07 |
0x07 |
Buzzer Freqency 1 |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F1 |
0x0006 |
0xD0 |
0xD0 |
0xD0 |
− |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F2 |
0x0007 |
0x0F |
0x0F |
0x0F |
Buzzer Freqency 2 |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F2 |
0x0008 |
0xA0 |
0xA0 |
0xA0 |
− |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F3 |
0x0009 |
0x13 |
0x13 |
0x13 |
Buzzer Freqency 3 |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F3 |
0x000A |
0x88 |
0x88 |
0x88 |
− |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F4 |
0x000B |
0x0B |
0x0B |
0x0B |
Buzzer Freqency 4 |
|||||||||
ブザー周波数(未測位・2D測位時) F4 |
0x000C |
0xB8 |
0xB8 |
0xB8 |
− |
|||||||||
測位表示期間(LED・ブザー) Period |
0x000D |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
Period of LED/Buzzer On |
|||||||||
測位表示期間(LED・ブザー) Period |
0x000E |
0x64 |
0x64 |
0x64 |
− |
|||||||||
SDカード用バッファサイズ |
0x000F |
0x04 |
0x04 |
0x04 |
Buffer size (SD) |
|||||||||
SDカード用バッファサイズ |
0x0010 |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
− |
|||||||||
GNSSモジュール受信用バッファサイズ |
0x0011 |
0x08 |
0x08 |
0x08 |
Buffer size (Serial) |
|||||||||
GNSSモジュール受信用バッファサイズ |
0x0012 |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
− |
|||||||||
「GSU−140 B」初期設定 衛星選択 0:未選択 1:選択 bit0:GPS |
0x0013 |
0x00 |
0x00 |
0x00 |
Satellite Type |
|||||||||
SDカード格納時先頭行コメント(ヘッダー) 最大128バイト BLOCK0 BLOCK1 BLOCK2 |
0x0020 |
− |
− |
− |
Header |
6.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のスケッチの書き込みと動作例
”4.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のスケッチ”に掲載のスケッチファイルuf2の書き込みは下記の方法で行います。
(1) マイコンボード上のBOOTSELスイッチを押しながら通電、もしくは、BOOTSELスイッチを押しながらRESETスイッチを押します。
(2) パソコンでマイコンボードをドライブとして認識させます。
(3) uf2ファイルを選択してマイコンボードのドライブにドラッグ&ドロップします。
(4) ドラッグ&ドロップ後にスケッチ書き込み終了後、リセットがかかりスケッチが実行されます。
..
【 ドラッグ&ドロップ操作例 】
「まるごとNMEA AE−RP2040編」を動作させる手順は「動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチ」を書き込んで動作用のパラメータを設定します。 その後に「GNSSロガー用スケッチ」を書き込みます。 以下に書き込み時のMonitor表示例を以下に示します。
【 「動作設定EEPROMデータ書き込みスケッチ(jsk96k1.uf2)」書き込み後の起動時表示例 】
【 「GNSSロガー用スケッチ(jsk96j1.uf2)」書き込み後の起動時表示例 】
7.「まるごとNMEA AE−RP2040編」のファイルマネージャー操作方法と動作例
ファイルマネージャーはSDカードを 実装した状態でSDカード内のファイルリスト取得、ファイル読み出し、ファイル削除の機能を有します。 実際の動作例を以下に示します。
ファイルマネージャー機能を有効にするためには電源投入時にSW1とSW2の両方を押しながら電源投入もしくはリセットします。
パソコン側の通信ソフトはシリアル通信用プログラムを利用してください。 当方は”tera term”を利用しています。 なお、正常に受信するためには通信速度の設定の他に送信・受信の改行コードとして”LF”(ASCIIコード:改行)を設定する必要があります。
機能 |
操作/操作例 |
起動時メッセージ ファイルリスト |
【 起動時メッセージ・ファイルリスト操作例 】
|
ファイル読み出し |
【 ファイル読み出し操作例 】
|
ファイル削除 |
【 ファイル削除時表示例 】
【 ファイル削除操作例 】 |
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