Memorandumの小部屋
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DC電源付き ド忘れタイマー2の製作
注意
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1.背景
「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」 は無意識の通電を少しでも防止することを目的に、通電開始時に
タイマーオンスイッチ(「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」 回路図のSW1)を必ず押す必要がある
設定にしていましたが、現在ではこれを面倒に感じるようになりました。 現在の機能のままでも特段支障があるわけではありませんが、これらの面倒な点を改善したいと思うようになりました。
また、「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」
ではDC電源部を自作するために、製作が少し面倒な点もありました。 その後、比較的小型で安価な「5V700mA超小型スイッチ電源モジュール」を見つけました。 これを利用しない手はありません。
これら2点を見直した「ド忘れタイマー2」を試作しましたので紹介します。 本Webページは試作品の公開であり実運用品ではありません。 そのため、外形が大きいままで、かつ、安全性に対して不備(感電対策未実施、定格外部品の利用)があることをご了承願います。
2. ド忘れタイマー2 回路・仕様
「ド忘れタイマー2」の仕様を以下のようにしました。
「ド忘れタイマー2」の出力オン動作を「AUTO」と「MANUAL」のいずれかを選択できるようにしました。
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AUTO |
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「ド忘れタイマー2」に電源100Vacを供給した直後にタイマーが起動して出力オンします。 タイマー設定時間が経過すると出力オフします。 出力オフ後は、以下の2通りのいずれかでタイマーを再起動できます。
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MANUAL |
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「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」と同一操作方法です。 「ド忘れタイマー2」に電源100Vacを供給した後にタイマーオンスイッチ(後述の回路図SW3:THROUGH)をチョイ押しするとタイマーが起動して出力オンします。 タイマー設定時間が経過すると出力オフします。 出力オフ後は、再度、タイマーオンスイッチ(後述の回路図SW3:THROUGH)をチョイ押しするとタイマーが再起動して出力オンします。
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タイマー用マイコンIC1(PIC12F683−I/P)のプログラムは[ド忘れタイマー
手抜き充電式器具用タイマーの製作]・「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」と同一です。 タイマーの時間など所望の動作設定が無い場合は、EEPROMのデータを書換える必要があります。
PICマイコンにHEXファイルを書込む手順、EEPROMのみを書替える手順をQ&Aの小部屋の「PICマイコンのプログラム書込み、データ変更方法がわからない。」に記載しています。
短絡保護用にヒューズを設けました。 今回は定格通過電流1Aac程度を想定して、2A定格のヒューズを用いました。 実際には負荷電流に見合った電流定格のヒューズを選定する必要があります。
マイコン用の5Vdc電源PS1には「5V700mA超小型スイッチ電源モジュール」を利用しました。
出力オンオフ制御として従来はリレーを用いていましたが、今回は「ソリッドステート リレー (半導体リレー)キット
(K-203)」を利用しました。
動作の目視確認のために、SSR ONを確認するON確認LEDと、マイコンが動作していることを確認するBUSY確認LEDを設けました。
上記仕様をもとにして試作した「ド忘れタイマー2」の回路図を下記に示します。
上記回路図をクリックすると原寸の回路図を閲覧できます。
【 DC電源付きド忘れタイマー2回路図 】
3. DC電源付きド忘れタイマー2 製作例
上記の仕様で製作した基板を下図に掲載します。
5Vdc電源PS1、「ソリッドステート リレー (半導体リレー)キット
(K-203)」、ヒューズF1用ヒューズホルダーは交換できるように製作しました。 試作段階ではピンヘッダ・ピンソケットを利用して、それぞれ単独に脱着できるようにしました。
動作チェック用にSSRのオン信号を遮断するジャンパーJP3を設けています。 通常使用時ではJP3を設ける必要はありません。
(JPの回路を短絡状態にする。)
SW1はスライドスイッチ、SW2は信号用のモーメンタリースイッチ(ボタンを押している間のみ接点閉)、SW3は100Vac用のモーメンタリースイッチを利用します。
100Vacラインに接続する端子台TB1・TB2およびSW1・SW3は100Vacラインに耐えうる仕様の部品を利用する必要があります。 ただし、今回の試作では100Vacラインに絶縁トランスを設けて動作確認をしました。 少なくとも対地(アース)基準にした感電はしないため、電圧定格を満足していない部品を利用しています。 連続使用する場合には必ず電圧定格を満足した部品を選定する必要があります。
今回の試作ではSW1(AUTO/MANUAL)・SW3(THROUGH)は電圧定格外で製作しています。 正式製作時には部品選定をし直す必要があります。 |
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観1 】
5Vdc電源PS1、「ソリッドステート リレーキット」、ヒューズF1用ヒューズホルダーを取り外したときの基板外観です。 |
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観2 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観3 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観4 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観5 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観6 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 外観7(ハンダ面) 】
【 5Vdc電源PS1、「ソリッドステート リレーキット」、ヒューズF1 外観1 】
【 5Vdc電源PS1、「ソリッドステート リレーキット」、ヒューズF1 外観2 】
【 DC電源付きド忘れタイマー2 ACコード含む 】
4. DC電源付きド忘れタイマー2 誤動作・対策
上記の仕様で製作した 「DC電源付きド忘れタイマー2」は所定の動作を確認して試作完了したと判断しました。 その後、波形観測時の感電防止のために絶縁トランスを介して電源100Vacを給電している場合に限り、NAMUAL設定でタイマーオンスイッチ(SW3:THROUGH)を押していないにもかかわらず電源100Vacの給電開始時、給電停止時に時たまタイマーが起動しました。 現状の回路のままでは電源100Vacラインの影響を受けることになり、回路の再現性に問題があることが判明しました。
誤動作は(1)誤動作の発生確率は高いが必ず発生するわけではない、(2)現象が発生するのは電源100Vacの給電/停止のために電源スイッチをオンオフしたときである時に発生するとより、誤動作の原因は電源スイッチのオンオフ時のチャタリング(アーキングかも)に起因の電圧波形急変(dV/dt)と推測しました。 これを確認するために「モバイル型絶縁高電圧入力レコーダ NR−2000 高電圧絶縁ユニット NR−2010」を利用して波形観測しました。 (電源ラインとマイコン信号を同時に観測できる「高電圧絶縁ユニット NR−2010」はとても便利です)
観測結果より、やはり電源スイッチオンオフ時に電圧急変が発生しており、これがトリガとなって「ソリッドステート リレーキット」のトライアックが誤って短時間オンする(一度オンして電圧ゼロクロスした時点でオフ)現象を確認できました。 この短時間オンにより5Vdc電源PS1よりマイコン回路へ5Vdcが供給されてマイコンが動作していることを確認できました。 以下に観測結果を掲載します。 また、誤動作しない場合は、AC入力の電圧波形の位相が0°もしくは180°付近で、電圧値が小さく、電圧波形急変量が比較的小さい場合であることも確認できました。
電源オン時誤動作時の波形(MANUAL動作時) |
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@ 電源スイッチオン時に電圧サージ
A トライアックがオンして、次の電圧ゼロ
➂ Aのサイクルで5Vdc電源PS1が動作
➃ マイコンが動作してタイマー開始となり
➄ SSR ONが出力されたため、
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電源オフ時誤動作時の波形(MANUAL動作時) |
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@ AC出力されていない状態で電源スイ
A トライアックがオンして、次の電圧ゼロ
➂ Aのサイクルで5Vdc電源PS1が動作
➃ マイコンが動作してタイマー開始となり |
「ソリッドステート リレーキット」関連の資料を調べてみると、トライアックのG−T1間のゲート抵抗が設けられていないようなので、ゲート抵抗を追加してみました。 しかし、誤動作の改善は確認できませんでした。 簡単に改善できそうにありません。
これより、対策として(1)「ソリッドステート リレーキット」回路部分を置き換える、(2)電源電圧急変を抑えるの2通りを試してみました。 それぞれ効果がありましたので下記に紹介します。
4.1 「ソリッドステート リレーキット」をS216S02に交換。
「DC電源付きド忘れタイマー2」と類似の主回路を利用している「電力調整器「ちょこっと電熱器」ではSSRとしてS216S02を利用しています。 これを参考にして「ソリッドステート リレーキット」をS216S02に交換することで誤動作を確認できなくなりました。
上記回路図をクリックすると原寸の回路図を閲覧できます。
【 DC電源付きド忘れタイマー2回路図(S216S02利用時) 】
【 製作例(S216S02利用時) 】
【 動作例(S216S02利用時) 】
4.2 「ソリッドステート リレーキット」を(メカニカル)リレーに交換。
「DC電源付きド忘れタイマー2」のベースとなった「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」の主回路では(メカニカル)リレーを利用してます。 これを参考にして「ソリッドステート リレーキット」を(メカニカル)リレー941H−2C−5Dに交換することで誤動作を確認できなくなりました。
上記回路図をクリックすると原寸の回路図を閲覧できます。
【 DC電源付きド忘れタイマー2回路図(941H−2C−5D利用時) 】
【 製作例(941H−2C−5D利用時) 】
【 動作例(941H−2C−5D利用時) 】
【 参考 S216S02・リレー回路外観1 】
【 参考 S216S02・リレー回路外観2 】
4.3 電源電圧急変を抑えるのスナバ回路を追加。
「ソリッドステート リレーキット」には過電圧抑制のためにバリスタが設けられていますが、電源電圧急変を抑える効果はありません。 そのため、スナバ回路(Snumbber Circuit)と称する電圧急変を緩和する回路をバリスタに並列になるように追設しました。 スナバ回路を追設することでに「ソリッドステート リレーキット」を利用しても誤動作を確認できなくなりました。
スナバ回路の効果を確認できるようにジャンパーJP4を設けています。 実運用ではJP4は不要です。(JP4の回路を短絡状態にする。)
スナバ回路の抵抗R7とキャパシタC2は100Vacラインに利用できる定格電圧の部品を利用します。 これは必須です。
スナバ回路の抵抗R7とキャパシタC2の部品定数の最適値は負荷により変わります。 決まった部品定数はありませんが、今回は手持ち部品(不要となった/破損したACアダプタなどからの取り外し品を流用)からそれなりの部品定数の部品を利用しました。
C2の容量が小さいと電圧急変を抑える効果が小さくなります。 しかし、容量を大きくすると漏れ電流が大きくなります。 その場合、負荷が軽い場合、「ソリッドステート リレーキット」がオフしているにも関わらず負荷両端にAC電圧は生じることがあります。 C2の容量決定は正直なところ難しいです。 あれこれ悩むより、安全な範囲で手持ち部品を最優先として部品定数を決めました。 R7も部品定数を決めるのは容易ではありませんが、少なくとも電力1W以上の抵抗のなかから手持ち部品を最優先として部品定数を決めました。 個人的な利用用途ではスナバ回路の部品定数決定はこんなものですが、お仕事ではこのような雑なことをしてはいけません。
上記回路図をクリックすると原寸の回路図を閲覧できます。
【 DC電源付きド忘れタイマー2回路図(スナバ回路追加時) 】
ベースとなるユニバーサル基板のみの改造となります。
【 製作例(スナバ回路追加時) 】
【 製作例ハンダ面外観(スナバ回路追加時) 】
【 動作例(スナバ回路追加時) 】
以上、対策を3例示しましたが、基本的には電圧急変を抑えるのが望ましいと考えています。 よって、「4.3 電源電圧急変を抑えるのスナバ回路を追加。」をお勧めとさせていただきます。 でもスナバ回路の部品 選定は未だにちょっと悩ましいです。
End of This Page.