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Memorandumの小部屋

      

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ド忘れタイマー

手抜き充電式器具用タイマーの製作
 

1.背景

 980円の充電式ドリル、XXX円(忘れました)の充電式シューバー、10年前には考えられない値段で充電式の器具を購入できる時代です。 Made In Chinaの威力を身にしみて感じてしまいます。 安いだけあって、残念ながら、これらの充電式器具で使われている2次電池の充電回路は完璧に手抜きをされています。 取説を読むと、例えば「2時間で充電できるのでコンセントから抜いて下さい。」などと記載されています。

 しかし、そう書かれても、充電し始めて5分もすれば充電をしていることをで忘れることは、とてもたやすいことです。 なあーに、充電していることを再び思い出すのは24時間以上経ってからですよ。 その頃、2次電池さんは悲鳴を上げています。 まあ、すぐにはダウンしないでしょうが、決して良い使い方ではないようです。 おかげで、XXX円の充電式シェーバーは、毎朝、充電して喝をいれて、きりきり使えています。 しかし、これはまずいですね。

 と、いうわけで、久々に一念発起、2時間対応ド忘れタイマーを製作することにしました。


2. ド忘れタイマーの回路構成

 まず、タイマーの回路構成をどうするかを決めます。

Case1 タイマー専用IC

 タイマーといえば、すぐにNE555系列の汎用ICを思い浮かべます。 でも、NE555の時間設定は抵抗、コンデンサの定数で行います。 このため、再現性良く時間設定することはとても難しいですし、動作確認にも長時間かかってしまいますので、 検討対象外としました。

Case2 ロジック回路

 Memorandumの小部屋の「コタツのつけっぱなしはやめましょう!!」も似たような機能の機器です。 この機器は汎用ロジックを使って製作しています。 この回路の手直しで対応できますが、この機器の配線量は相当あるため手直しも面倒です。 正直、今更ロジック回路で構成し直そうという気になりません。 根性無しになってしまいました。 (それ以外に、この機器が大き過ぎるのがネックとなりました。)

Case3 市販品購入

  確かに買えば済むのですが、例え根性無しでも、自作心だけはまだ捨てていませんので却下です。
 (とは言うものの、100円ショップのダイソーに探しに行きましたが、所望のタイマーを見つけることができませんでした。)

Case4 PICマイコン

 分単位のタイマ時間を再現性良く制御するのには、PICマイコンが手頃で良いでしょうね。 PIC16F84Aを使うとピン数が多いので、色々な機能を設けたくなります。 今回はPIC12F683−I/Pを使用することで、最低限の機能しかできないようにしました。 

 


3. ド忘れタイマー回路/仕様

  これらを反映した回路図を下記に掲載します。

【 ド忘れタイマ 回路図 】  

 

ド忘れタイマ 部品説明

項 目

内    容

時間
設定

 JP0,JP1,JP2のジャンパー切替で8通りの時間設定のうちの1つを選択します。
(タイマ時間はEEPROM設定を参照願います。)
 

制御
回路
電源

 ド忘れタイマの制御回路電源はACアダプタを別途設けることにします。 但し、極性を気にしなくて済むようにダイオードブリッジを設けておきます。 ACアダプタの出力電圧は8V〜15Vdcで、電流容量は100mA程度でよろしいかと思います。



 DC5V用リレーです。 負荷容量に合わせて選択して下さい。 今回は手持ちの関係で下記のリレーを使用しています。

 松下電工 HB1-DC5V 接点容量 AC125V 1A

 

U1

 5V出力の3端子レギュレータです。 0.5Aクラス以上ならば、どのようなICでもよいでしょう。 今回は秋月電子通商で購入したTA4806Sを使用しました。

 

SW1

 タイマ動作開始時の起動スイッチで、モーメンタリ動作(スイッチのボタンを離すとスイッチ接点も元に戻る動作)のスイッチを使用します。
(必ず、モーメンタリ動作式スイッチとして下さい。)

 下図のようにド忘れタイマ、ACアダプタ、充電式器具を接続します。 SW1を押すとACアダプタと充電式器具にAC100Vが給電されます。 その後、ど忘れタイマが動作開始してRY1の接点が閉じます。 その後は、SW1をオフしてもRY1接点が閉じていますのでACアダプタ、充電式器具ともにAC100Vが給電され続けます。
 タイムアップすると、RY1の接点が開放し、ACアダプタ、充電式器具への給電が停止します。

【 ド忘れタイマ接続 】

DB1  ダイオードブリッジです。 1Aクラスでしたらどのような物でもよいでしょう。  今回使用したものは、秋月電子通商でまとめ買いしたAM1510を使用しています。
 
R1・R2・R3  プルアップ抵抗です。 PICマイコンで「弱いプルアップ設定」をしていますが、ちょっと事情があって追加した抵抗です。 心情的にはこの抵抗を設けたほうが良いかと思います。 

 

 上記回路に使用するPICマイコンのHEXファイル、及び、PICマイコンのピンアサイメントを下記表に掲載します。  なお、PICマイコンにHEXファイルを書込む手順をQ&Aの小部屋の「PICマイコンのプログラム書込み、データ変更方法がわからない。」に記載しています。

 

  ド忘れタイマ用PICマイコン(PIC12F683-I/P) Revision 2.0

時間単位選択 1s 時間単位選択 10s 時間単位選択 1min 時間単位選択 10min
jsk26a2_0.hex jsk26a2_1.hex jsk26a2_2.hex jsk26a2_3.hex

(前Versionでは時間単位選択10minでのタイマ動作に不具合がありましたので修正しています。)

 

ド忘れタイマ用PICマイコン ピンアサイメント

PIN
No

信号名称
(PIC)

信号名称
(PIC)

方向

H レベル

L レベル

DD

DD

 5V (電源の+側)

GP5

タイマ出力
信号

出力

EEPROM アドレス 8番地の設定=0の場合(デフォルト)

   タイムアップ時 : Highレベル
 

EEPROM アドレス 8番地の設定=1の場合

   タイムアップ時 : Lowレベル
 

GP4

LED信号

出力

タイマカウント中に点滅するLED用信号。

 点滅周期はPICマイコンのEEPROMの設定による。 タイムアップ後にはLレベルになる。
  

MCLR

リセット信号

入力

タイマカウント開始。

リセット中。

GP2

タイマ設定
選択信号

入力

PICマイコンのEEPROMに設定された8通りのタイマ値のうち1つを選択する信号。
 

GP2

GP1

GP0

選択タイマ値

Low

Low

Low

EEPROM アドレス 0番地

Low

Low

High

EEPROM アドレス 1番地

Low

High

Low

EEPROM アドレス 2番地

Low

High

High

EEPROM アドレス 3番地

High

Low

Low

EEPROM アドレス 4番地

High

Low

High

EEPROM アドレス 5番地

High

High

Low

EEPROM アドレス 6番地

High

High

High

EEPROM アドレス 7番地

    

GP1

入力

GP0

入力

SS

SS

 GND (電源の−側)

 

 PIC12F683-I/Pは内部クロック 125kHz設定で使用します。 このため、命令1Cycleの処理時間は32μsとなります。  また、このICの細かい機能設定をEEPROMの値を設定することで調整できます。  下表を参考にして下さい。 この設定値をPICマイコンのプログラマで書き直しして頂いてご利用頂くこともできます。 

ド忘れタイマ用PICマイコン EEPROM設定

アドレス

データ名称

内  容

デフォルト

0

タイマ0

タイマ0 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) 120 (120分)

タイマ1

タイマ1 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。)   3 (3分)

タイマ2

タイマ2 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。)   5 (5分)

タイマ3

タイマ3 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。)  10 (10分)

タイマ4

タイマ4 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。)  30 (30分)

タイマ5

タイマ5 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。)  60 (60分)

タイマ6

タイマ6 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) 150 (150分)

タイマ7

タイマ7 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) 240 (240分)
GP5出力論理設定 出力論理

 0 : タイムアップ時Highレベル(デフォルト)
 1 : タイムアップ時Lowレベル
    

時間単位選択 タイマ0〜7 単位選択

 0 : 1秒
 1 : 10秒
 2 : 1分 (デフォルト)
 3 : 10分

【参考】

 プログラムの下記アドレスでOSCCONレジスタ設定を行っています。 このレジスタの設定を変えることで時間のレンジを変える(短くする)ことができます。

 LOC OBJECT  CODE SOURCE TEXT
 00BA 3015 movlw    H'15' 
 00BB 008F movwf    OSCCON


        

10 OSCTUNE PIC12F683のOSCTUNEレジスタ設定用

 内蔵のクロックは調整してあるというものの、それほど正確ではありません。 その際、OSCTUNEレジスタの値を調整して合わせ込みをしてみて下さい。

   

11 LED点滅用 タイマカウント点滅周期設定用

 4Hzでカウントアップする1バイトのデータと、この設定値を論理和し、もし、0で無ければGP4をHighレベル、0であればGP4をLowに設定する。

 H'01' : 点滅周期 0.5s
 H'02' : 点滅周期 1s
 H'04' : 点滅周期 2s
 H'08' : 点滅周期 4s

 

   


4. ド忘れタイマー製作例

 上記の仕様で製作した基板を下図に掲載します。

 右上側にある黒い四角い部分が時間選択のジャンパーピンで、上からJP0、JP1、JP2です。 写真ではすべて短絡していますのでGP0,GP1,GP2ともにLowレベルとなっています。

 ケースの高さ制限のためリレーは横向けにしています。 リレーの設置方向には制限が有るはずですが、そこはアマチュアの工作ですので、そのような制限は気にしません。 動くならば、とことん使いこなします。 (仕事ではだめですよ。)

 

【 ド忘れタイマ 基板部分拡大 】

 

 ケースは秋月電子通商のポリカーボネートケース(通販コードP-358)を使用しています。 口出し部には秋葉原巡りをしたときに購入しておいたブッシュを使用しました。 このブッシュはとても使い安く、丸穴を開けるだけで取り付けられます。 (メーカ、形式、購入先、すべて忘れました。)

【 ケース実装外観 】

 

 ACコードは100円ショップの1m延長コードを使用すれば、とても安上がりにできると思います。 ACアダプタの接続はパネルマウントできるDCジャックでなく中継DCジャックとしました。 

【 ド忘れタイマ 全体外観 】


 実際に使用しはじめてタイマの有り難さを感じています。 今までは過充電を嫌って短時間の充電を繰り返していましたが、これにより2時間の充電時間を確実にとることができるようになりました。 この「ド忘れタイマ」を使用して充電式シューバーのバッテリーが復活することを祈っています。

 また、ド忘れタイマー用のDC電源を内蔵した紹介例が「DC電源付き ド忘れタイマーの製作」にありますので、参照してみて下さい。


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