Memorandumの小部屋
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DC電源付き ド忘れタイマーの製作
注意
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1.背景
「ド忘れタイマー 手抜き充電式器具用タイマーの製作」で紹介しましたタイマー回路の電源は別途準備する必要があります。 このため、下記画像のようにACアダプタや電源三つ又などを用いていますが、タイマ本体より大きなスペースを占めています。
【 「ド忘れタイマー 手抜き充電式器具用タイマーの製作」使用例 】
このタイマーの消費電流は数10mA(使用リレーにより異なる。)ですので、それほど大きなACアダプタは不要ですが、このタイマーに見合う大きさのACアダプタが、なかなか見あたりませんでした。 抵抗による電圧降下と定電圧電源回路を用いた非絶縁のDC電源回路を組むことも考えましたが、抵抗分の損失が数W(=100V×50mA程度)にもなり、抵抗の発熱が気になります。 この対応として、簡易スイッチングレギュレータを製作するか、お金を出して小型のACDCコンバータユニットでも購入しようかと思っていました。
そうこう思っていたところ、下図のようにトランスレス電源ICが安価に販売されました。 早速、これを入手して「ド忘れタイマー」回路への適用を行ってみました。
出典 : 秋月電子通商のホームページからの転載です。
【 トランスレス電源IC 販売画面 】
2. ド忘れタイマー用トランスレス電源IC「FSD210B」
トランスレス電源IC「FSD210B」を秋月電子通商から購入しました。 いつものようにチャック式の樹脂袋にトランスレス電源IC「FSD210B」2個とデータシート抜粋版が付属していました。 IC自体は8PINのDIPですが、沿面距離確保のために6番ピンが有りません。
【 トランスレス電源IC「FSD210B」 】
付属のデータは抜粋版であり、電気的特性の記載がありませんのでしたので、結局インターネットでデータシートを入手して電気的特性の確認とアプリケーション例(下図)を確認しました。 その結果、付属データに記載の使用例に加えて若干の説明が記載されていました。 なお、下記回路図でD1,D2は UF4004となっていますが、データシートに掲載されている部品リストではUF4007と記載されていました。 100VACの場合はUF4004で問題ないでしょう。
出典 : FAIRCHILD FSD210Bデータシートからの転載です。
【 トランスレス式DC12V電源回路例 】
この回路をベースにして手持ち部品などを使用して、この12V電源を製作することにしました。
3. DC電源付きド忘れタイマー回路/仕様
今回製作したDC電源付きド忘れタイマーの回路を下図に示します。 下記画像をクリックすると原寸サイズの回路図を表示します。
【 DC電源付きド忘れタイマー回路図 】
タイマー回路の機能は「ド忘れタイマー 手抜き充電式器具用タイマーの製作」と全く同じです。
12V電源からPICマイコン用の5V電源をつくることにします。 今回は秋月電子通商で購入したTA4805Sを使用しました。
ダイオードブリッジDB1は秋月電子通商で購入したDF06Mを使用しました。
UF4004の代わりに秋月電子通商で購入したUF2010(D11,D12)を使用しました。 一般整流用のダイオードではなく、スイッチングレギュレータに使用する整流用ダイオードならば代替え可能でしょう。
1N759Aは12Vツェナーダイオードです。 製作後の実測で、ツェナー電圧より1V程度高めの出力電圧となっていましたので、この部分は1本の9Vツエナーダイオード(ZD11)と複数のスイッチングダイオード( 今回の場合はD13,D14,D15)の順方向電圧降下を利用して出力が約12Vとなるように調整しています。
トランジスタKSP2222Aの代替えとして2SC1815(Q11)を使用しています。 (データシート上ではIFBが1mA以下なので代替え可能との判断で採用しました。
110Ωは120Ω(R13,R14)、750Ωは680Ω(R15)にしました。 この程度の回路ならば、数列は、原則E12シリーズを使用するべきで、E24シリーズはほとんど意味ないと考えています。
1000μF(C15)は470μFに変更しています。 12V回路は負荷電流が50mA程度のリレー用ですので少々のリップルは多少許容でき るので470μFでも問題ないでしょう。 この変更により。コンデンサの高さを低くでき、ケースに収納できるようになりました。
雑音低減用にC12の0.1μFを追加しています。
タイマー回路のリレーは手持ちの関係で12Vに変更しています。 5Vのリレーの場合は「ド忘れタイマー 手抜き充電式器具用タイマーの製作」に掲載の回路図のリレー部分を参照して下さい。
ダイオード1S1588の代わりに1N4148など、一般的なスイッチングダイオードに変更することは可能です。
JP0,JP1,JP2は、ジャンパー短絡でLow(論理0)、ジャンバー開放でHigh(論理1)となります。
突入電流制限用抵抗R11は4.7〜22Ωで1W以上、R11〜R16は1/4W以上、それ以外の抵抗は1/8Wもしくは1/6W以上の抵抗を使用して下さい。
C11(電解コンデンサ),C12(セラミックコンデンサ)は耐圧250Vdc以上のコンデンサを使用して下さい。
ちなみに、C11はCRTディスプレイを分解して基板から取り外したジャンク部品を利用しています。 CRTディスプレイの基板は商用電圧や、比較的高い耐圧部品の宝庫です。 古くとも10年前くらいのブラウン管式TVセットやCRTディスプレイを廃品回収してもらう際には基板だけでもばらして部品を取っておくことをお勧めします。(あまり古いと部品劣化していますので、本当のジャンク部品となっている確率大です。)
上記回路に使用するPICマイコンのHEXファイル、及び、設定時間を下記表に掲載します。 下記設定の詳細は「ド忘れタイマー
手抜き充電式器具用タイマーの製作」を参照して下さい。 また、PICマイコンにHEXファイルを書込む手順、EEPROMのみを書替える手順をQ&Aの小部屋の「PICマイコンのプログラム書込み、データ変更方法がわからない。」に記載しています。
ド忘れタイマ用PICマイコン(PIC12F683-I/P) Revision 3.0
時間単位選択 1min |
jsk35a2.hex |
時間単位選択 1 0min
|
||||||||||||||||||||
jsk35a3.hex |
ド忘れタイマ用PICマイコン(PIC12F683-I/P) Revision 3.0 EEPROMデータ
アドレス |
データ名称 |
内 容 |
デフォルト |
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0 |
タイマ0 |
タイマ0 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 3 (3分) | |||||||||
1 |
タイマ1 |
タイマ1 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 60 (60分) | |||||||||
2 |
タイマ2 |
タイマ2 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 75 (75分) | |||||||||
3 |
タイマ3 |
タイマ3 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 90 (90分) | |||||||||
4 |
タイマ4 |
タイマ4 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 105 (105分) | |||||||||
5 |
タイマ5 |
タイマ5 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 135 (135分) | |||||||||
6 |
タイマ6 |
タイマ6 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 150 (150分) | |||||||||
7 |
タイマ7 |
タイマ7 : 0〜255 (単位はアドレス9番地による。) | 120 (120分) | |||||||||
8 | GP5出力論理設定 | 出力論理 0 : タイムアップ時Highレベル(デフォルト) |
0 | |||||||||
9 | 時間単位選択 | タイマ0〜7 単位選択 0 : 1秒 【参考】 プログラムの下記アドレスでOSCCONレジスタ設定を行っています。 このレジスタの設定を変えることで時間のレンジを変える(短くする)ことができます。
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2 | |||||||||
10 | OSCTUNE | PIC12F683のOSCTUNEレジスタ設定用 内蔵のクロックは調整してあるというものの、それほど正確ではありません。 その際、OSCTUNEレジスタの値を調整して合わせ込みをしてみて下さい。
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0 | |||||||||
11 | LED点滅用 | タイマカウント点滅周期設定用 4Hzでカウントアップする1バイトのデータと、この設定値を論理和し、もし、0で無ければGP4をHighレベル、0であればGP4をLowに設定する。 例 H'01' : 点滅周期 0.5s |
2 |
4. DC電源付きド忘れタイマー製作例
上記の仕様で製作した基板を下図に掲載します。
基板中央にある黒い四角い部分が時間選択のジャンパーピンで、右から左にかけてJP0、JP1、JP2です。 写真ではすべて開放状態となっていますのでGP0,GP1,GP2ともに Highレベルでありタイマー7が選択されています。
ケースの高さ制限のためリレーは裏向きに実装しています。
スタートボタンを押してタイマー開始までに1〜2秒かかります。 少し長目にスタートボタンを押して下さい。 ちなみに、「ド忘れタイマー 手抜き充電式器具用タイマーの製作」の場合は、スタートボタンを押して直ぐにタイマー開始します。
100VAC、140VDCが印加されているDC電源部パターンと、弱電のド忘れタイマー回路パターン間は、5mm以上の沿面距離を確保するようにしています。
【 DC電源付きド忘れタイマ 基板部分拡大 】
【 DC電源付きド忘れタイマ ケース収納状態 】
【 DC電源付きド忘れタイマ ACコード含む 】
基板裏面には絶縁シートを設けています。
【 DC電源付きド忘れタイマ 側面外観 】
【 DC電源付きド忘れタイマ 正面外観 】
End of This Page.