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電池ボックス電子工作(その19)
高エネルギー電磁波検出器
本製作例の検出器は検出性能が非常に悪いようです。 本ページは参考として公開しておきますが、本ページの内容での製作はお勧めしません。 機能 優先であれば「GM管J304βγ こりゃカウントするわの製作」を参考にして下さい。
検出性能確認
秋月電子通商で販売しているPINフォトダイオードS6775で本当に測定できているのか自信がありませんでした。 アマゾンで本を購入するついでに、話に聞いていたマントルを検索すると何種類もヒットしましたので試しに購入してみました。 しかし、いまだに、これって何に使うのか、どのようなものなのか実感がわきませんが、GM管ではカウント数が急増することは確認できました。、
【 今回購入したマントル 】
この事前確認をもとにして「J304ガイガーカウンターキット」と本頁で使用しているS6775で、どの程度の差があるかを調べてみました。
まず、本頁下段で紹介したの「高エネルギー電磁波検出器」回路のセンサ部分だけの回路を製作し、アンプ出力波形をオシロスコープで見て高エネルギー電磁波検出をカウントすることにしました。 オシロスコープで観測することにしたのは、コンパレータでパルスカウント判定の判定レベルを固定化していると小さい変化を検出できない可能性があると推定してのためです。 また、回路の変更(特にオペアンプ)が必要かもしれないとの推測で調査用に、新規にS6775を使った下図の検出回路を製作してみました。
【 S6775を使った調査用高エネルギー電磁波検出器回路図 】
オペアンプはCMOSであれば何でもよかったのですが、丁度、手元にあったLMC662Cを使用しました。
非常にインピーダンスの高い回路のため回路全体の静電シールドを行います。 基板は秋月電子通商のSMDプロトタイピングガラスユニバーサル基板(1.6mm厚)Cタイプ(72x47mm) を使用し、基板裏面ベタパターンはレジストを剥いでコモンライン(0Vライン)に接続しました。
それでも誘導が生じますので基板全体を覆うシールド(アルミホイル)が必須です。 このシールドをコモンラインに接続するために銅板を接続した電線を基板から取り出しています。
下側の緑色電線と銅テープはシールド接続用電線です。
【 調査用基板外観1 】
オペアンプの2番端子の接続部はパターンにはんだ付けせずに空中配線としています。
【 調査用基板外観2 】
基板裏面ベタパターンはレジストを剥いでコモンラインに接続しています。
【 調査用基板外観3 】
信号CH1,CH2を取り出すためにオシロスコープのプローブを接続します。
【 波形観測用プローブ接続 】
シールドと基板を絶縁するために全体をビニル袋で覆います。
【 絶縁用ビニル袋追加 】
左下側に四角い形が判別できますが、この部分にS6775があります。
シールド接続用電線の銅板をアルミホイルで巻き込んで導通を確保しています。
【 シールドで覆った状態 】
この基板に上記のマントルを近づけて波形観測をした結果を下図に示します。 初段オペアンプ出力CH1で約5mVの変化が観測された事例です。 2段目オペアンプ出力としてはプラス側200mVの変化を得られています。 ただし、これは大きな方であり数10mV程度の出力がもっとも多かったようです。 非常にときたまですが600mVを超えることもありました。
このような小さな変化しかなくS/N比がよくありませんのでコンパレータのしきい値設定が難しいと思われます。 よって、さらに信号増幅してS/N比を向上したいとろです。 事実、S6775を使用した回路の多くは、あと1〜2段増幅しているようです。 しかし、各種事例とも増幅器の結合回路回路定数をみると、正確にパルスカウントできるのか疑問がありましたので、今回の回路以上の増幅はあまりしないほうがよいとの印象を持っています。
【 波形観測例 】
このように波形観測できることがわかりましたので、上記のマントルをS6775から約50mm離した状態でカウント数を調べてみました。 また、同様に「J304ガイガーカウンターキット」のカウント数と比較してみました。 その結果を下記に示します。
検出器 |
パルスカウント数 [cpm] |
S6775 (本試作回路) |
38、31、30、20、19、38、29 (7回測定) ⇒ 平均 29.3 |
863、753、878 (3回測定) ⇒ 平均 831.3 |
上記のようにGM管に比べてS6775は約3.5%しか検出できない結果となりました。 この結果から、通常の自然環境では、S6775で検出できているのかどうか判断できないのも納得できました。
以上の結果より、通常レベル状態ではS6775ではほとんどカウントできず、カウント数自体も誤差をとても多く含む結果と判断します。 このため、カウント数は測定数値として意味を成さないと判断できます。 よって、このような検出器にお金と時間をかけても無駄であること考えます。
高エネルギー電磁波検出器 (記録用)
1.背景
秋月電子通商の店頭で、PINフォトダイオードS6775を使用した高エネルギー電磁波検出回路の回路図がレジの横にあったのでPINフォトダイオードS6775を試し買いをしておりました。 この高エネルギー電磁波検出 器はどんなものか試作をしようと思い立ち、まずはプロト版を製作後に、可搬性を見直した正式版として製作を行いましたので紹介します。
なお、参考までに、本製作のプロトタイプについての記録を残していますので、参考にして下さい。
2.高エネルギー電磁波検出器の製作
今回の回路設計に際して浜松ホトニクスのWebページの技術資料「Siフォトダイオード応用回路例10(si_pd_circuit.pdf)」を参考にしました。
2.1 回路検討
回路設計をするに際しての検討を下記に掲載します。
PINダイオードに比較的高い電圧を逆バイアスとして印加していますが、今回は電源電圧の1/2の電位差を逆バイアスとしました。
プロト版は2電源としていましたが、今回は可搬性を考慮して1電源としました。 電源電圧は充電式電×4本を前提として、アナログ回路はDCDCコンバータを使用して昇圧するようにしました。
本検出器の電源電圧は4.5〜5.5Vです。 DCDCコンバータMAX662Aの入力電圧絶対定格が6Vとなっていますので、過電圧には注意が必要です。 単三乾電池4本組みの電池ボックスを使用する場合、1.2Vの充電式電池4本組みは使用できますが、普通の1.5V乾電池4本組では絶対定格を越えますので絶対にこの組み合わせでは使用しないで下さい。 また、4.5V以下となるとアンプ回路の電源電圧が12Vから低下していきますので、検出感度が低下していくと推測していますので、電池残量にも注意が必要です。
DCDCコンバータは当初「1W級絶縁型DC−DCコンバーター(12V84mA)MAU104 」を検討していましたが、無負荷状態でも20mAも流れる、安定度が悪すぎる、リップルが多そうなため使用することを止めました。 過去に使用したMAX662Aに思いっきりフィルタ用コンデンサを追加することで対応する事にしました。
1電源化により電源回路を簡略できましたので基板1枚に集約するようにしました。
出力は3.3V電源HCロジック信号による負論理パルス出力とします。 また、波形整形として74HC123Aを使用して最小100μsのパルスにしています。 74HC123Aはリトリガブルのため、100μs以下で連続的にパルスを検出すると、100μsのパルス幅の時間を延長して1パルスとして出力します。
パルス数カウントとしてダイソーのデジタル歩数計B縦型を改造して接続できるようにします。 この対応として、約1.3Vの電圧信号負論理出力も取り出しています。
プロト版ではパルス検出レベルを可変抵抗で調整できるようにしていましたが、今回は電源電圧の約5%程度の変化を検出レベルとして固定します。
2.2 回路図
高エネルギー電磁波検出器の回路図を下記に掲載します。
(クリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。)
【 高エネルギー電磁波検出器回路図 】
C306(積層セラミック10μF)はDCDCコンバータ出力波形を観測して追加したコンデンサです。 このため、新規に製作する場合は、もともと付けていたC305(積層セラミック0.1μF)は不要です。
DCDCコンバータ出力からL301までの配線が極力最短となるように部品実装して下さい。
フォトダイオードS6775アノード〜IC303の2番PINはハイインピーダンス回路ですので、空中配線で漏れ電流を低減し、かつ、誘導による誤動作を防ぐために最短で配線して下さい。
高エネルギー電磁波のみを検出するためにフォトダイオードはアルミ箔でカバーする必要があるようです。 また、ハイインピーダンス回路部分もありますので、回路全体をアルミ箔で覆うようにします。 このアルミ箔はコモンライン(0Vライン)に接続します。
小型化のために、手持ちのチップ部品を多用しております。 C321(2pF)、C323(5pF)もチップ部品を採用しています。 但し、高抵抗値の抵抗R321(10MΩ)、R323(1MΩ)は(仮に有ったとしても)チップ部品を使用しないで下さい。
2.3 製作例
上記回路をベースに製作した実例を以下に示します。
【 高エネルギー電磁波検出器基板 部品面 】
【 高エネルギー電磁波検出器基板 ハンダ面 】
【 高エネルギー電磁波検出器基板 部品面斜視図1 】
【 高エネルギー電磁波検出器基板 部品面斜視図2 】
電池ボックスは「単3×2本用(フタ付プラスチック・スイッチ付)
[SBH-321-AS]」を使用しています。 |
【 高エネルギー電磁波検出器基板 電池ボックス設置外観 】
基板をビニル袋で覆い、その上からアルミ箔で覆っています。 |
【 高エネルギー電磁波検出器基板 アルミ部品面 】
2.4 パルス積算カウンタ
パルス積算カウンタとしてダイソーのデジタル歩数計B縦型を改造して使用しています。 このような改造は「ホール素子買っちゃた! チャリンコ万歩計を作っちゃえ! 」でも実績がありますが、今回はパルス電圧変化でカウントするようにします。 なお、今回はパルス積算カウンタの電源はデジタル歩数計B縦型内蔵のLR44を使用します 。 以下に改造方法を記載します。
【 改造方法1 (部品取り外し) 】
【 改造方法2 (部品取付け) 】
【 完成時外観 】
4 動作例
「電池ボックス電子工作(その19) 高エネルギー電磁波検出回路」のパルス出力を「パルス入力機能付き いつどこGPSロガー7」 に入力として動作させたときの事例を下記に掲載します。
【 パルス入力機能付き いつどこGPSロガー7 使用例 全体外観 】
写真位置 |
製 作 品 |
備 考 |
左端 |
パルス積算カウンタ |
ダイソーのデジタル歩数計B縦型を負論電圧信号入力に改造して使用しています。 電源は内蔵のLR44を使用します。 |
左から2番目 |
浜松ホトニクスのWebページのSiフォトダイオード応用回路例10(si_pd_circuit.pdf)を参考にしています。 |
|
左から3番目 |
パルス入力機能付き いつどこGPSロガー7基板 |
いつどこGPSロガー7本体です。 今回は可搬性は考慮せず、長時間運用の外部バッテリを前提としました。 この基板単体は電池ボックス電子工作(その16) いつどこGPSロガー6 ( プラットフォーム プロトタイプ にパルス入力機能を付加したものです。 |
右端 |
GPSセンサ (GPSモジュール GPS−74A(A)−058) |
「いつどこGPSロガー6 ( プラットフォーム プロトタイプ )GPSセンサ部」で紹介している各種センサを使用できます。 |
電源動作5V消費電流
No. |
GPS7+GPS−74A |
消費電流 |
|
1 |
オフ (FT2332RL給電) |
オフ |
0.1mA |
2 |
GPS7 SDメモリ(1GB)読み出し |
オフ |
9.9mA |
3 |
オフ (FT2332RL給電) |
オン |
31.5mA |
4 |
GPS7 SDメモリ(1GB)クリヤ |
オン |
41.2mA |
5 |
GPS7 ロギング |
オン |
60.8mA |
なお、本製作で動作確認を連続で行っていますが、間違いなく検出できたとの確証をまだ得ておりません。 一時、カウントする現象が確認できたので、間違いなくカウントしているのか検出器にストレスを与える調査していくと、軽い衝撃を与えるとカウントする現象を確認できました。 今回はICソケットなどの接触部を無くして全てハンダ付けとしていますので、振動には強いと思っていましたが期待外れでした、 この原因元を辿っていくと、PINフォトダイオードS6775の検出面を軽く指の爪側ではじくと検出パルスを発生することが判明しました。 単なる誘導?、まさか圧電効果?、アルミ箔を叩くと荷電粒子が発生するの? 取り合えず、測定に際してはとても優しく扱わないといけないようです。
End of This Page.