Memorandumの小部屋
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ホール素子買っちゃた!
チャリンコ万歩計を作っちゃえ!
1.背景
秋月電子通商で「デジタルガウスメータ」を購入しておりましたが、最近ではこのキットも販売されていません。 また、センサであるホール素子単体も秋月電子通商で購入することもできなくなりました。 まあ、通常の電気電子工作で磁場を扱うことがほとんどなく、あってもリードスイッチを使ったセンサ類程度ですので、それほど支障があるわけではありません。
普通ならば、このまま月が過ぎるところでしたが、ある日オークションでホール素子1袋で出品されているのを見つけてしまいました。 入札者も少なく、1個当たりの単価で考えればとても安価となります。 つい、いつもの部品事前確保の誘惑に駆られて具体的な用途もないにも関わらず入札したところ、そのまま落札となり、ホール素子を500個入手することになりました。
今回入手したは旭化成電子のInSnホール素子HW-300B(感度C)です。 でも、こんなに買って何にするのでしょうか? そのうちファンセンサでも作ろうかと思っていましたが、ふとしたことから、チャリンコの回転を検出して距離を測ることにしました。 今回の目的と同様の製品は数千円も出せばいくらでもあるようですが、ここは自作魂発揮です。 しかし、ホール素子なんか使うから面倒なアンプも必要となります。 ホールICならば今回の紹介例はもっと簡単になったのでしょうが。。。 自作、自作
2. 「チャリンコ万歩計」電子回路の製作
今回はホール素子のアンプ回路とカウンタの2つの回路が必要です。 ホール素子の回路は初めての経験ですので、参考図書を調べます。 トランジスタ技術増刊センサ・インターフェーシングNo.3にホール素子の使い方が掲載されています。 この参考図書に掲載の「図22 ホール素子を用いた交流/直流電流計」の回路を使用させて頂くことにしました。 これより、今回の回路ではホール素子を定電圧駆動としました。 差動アンプ回路はあまり好き(得意)ではないので、同相電圧除去回路があるので、ホール電圧信号増幅回路は簡単になりました。
ところで、回転数をカウントするカウンタです。 通常ならばPICマイコンを使えばいろいろな機能を持たせることができますが、そこまでやるならば市販品を買うべきです。 ここでは如何に簡単にカウント表示するかです。 ふと頭に浮かんだのはダイソーの歩数計です。 人間に万歩計があるならばチャリンコにも万歩計があっても良いではないか、どうせならばチャリンコ万歩計にしちゃえということで、ダイソーに行って歩数計を入手して来ました。
【 ダイソー 「200円ー歩数計−2」 】
ただ、心配なのは最高入力パルス周波数です。 当然、チャタリン防止回路が入ってるはずなので、入力パルス周波数がとても低く設定されているはずです。 チャリンコでも坂道では結構スピードが出ますのでタイヤ径を考慮して、最低でも10pps、できれ20pps程度の応答は欲しいところです。
この点をうまくクリアできるか、入力回路を改造できるか、まずは分解して調べてみました。 運良く、裏フタはネジ止めとなっており簡単に外せます。 また、センサは振動センサではなく振り子式となっていました。 ただ、肝心のカウンタ用ICはモールドされているので電子回路は全く不明です。 触れる範囲で調査を開始です。
振り子センサにNE555を使用したパルス信号を無電圧出力する試験回路を試作して、この歩数計でパルスをカウントするところまでは簡単にできました。 しかし、心配していたとおり、最高入力パルス周波数はせいぜい2pps程度です。 これでは今回のカウンタとして使えません。
歩数計の入力回路とGND間にセラミックコンデンサが入っていましたので、これを除去してトライしましたがほとんど改善しません。 入力回路にオシロのプローブを接続すると最高入力パルス周波数は若干上昇することに気付き、入力回路に抵抗を接続すしてみましたが、やはり大して改善しません。
どうも入力回路にフィルタを設けることでチャタリング防止しているようではありません。 次に考えられるのはハード、もしくは、マイコンを利用してカウントしているはずなのでクロックを決めている可能性のあるチップ部品の影響を調べようと手始めに680kΩのチップ抵抗に並列に抵抗を接続して最高入力パルス周波数を調べてみました。 どうもビンゴだったらしく、最終的に並列に47kΩの抵抗値を接続すると25pps程度までのパルスはカウントしてくれるようになりました。 最終的に、下記のように歩数計を改造することでチャリンコ万歩計として使用できるようになりそうです。
下記に歩数計の改造方法を下図に示します。
【 歩数計改造図・配線接続部位 】
ここまでくると、チャリンコ万歩計は実現できそうです。 ホール素子のアンプ回路及び歩数計の改造を実施してチャリンコ万歩計の電子回路部分が完成です。 今回製作したチャリンコ万歩計の回路図を下図に示します。
【 チャリンコ万歩計回路図 】
電池駆動させますので、消費電流の少ないオペアンプとしてTLC271CPを使用しました。 ちょっと特殊なオペアンプですが、不要部品再活用の小部屋
で提供しております。 TLC271CPはBIASモードをLOWモードで使用しますので8番ピンを+電圧に接続しております。
回路のコモン(GND)レベルはオペアンプU3の出力端子としています。 BAT1のマイナス側ではありませんので、注意が必要です。
電源は9Vの006Pを使ったBAT1と、単三乾電池を使ったBAT2の2電源です。 消費電流は環境温度にもよりますが、両方とも10〜16mA程度です。
デジタル歩数計の電源用に単三乾電池を追加しております。 本来は歩数計のボタン電池LR44を使えばよいのでしょうが、BAT2でホールICの定電圧駆動をしているので消費電流が10mAを超えています。 このため、内蔵のボタン電池ではなく、追設の単三乾電池としました。 よって、ボタン電池を歩数計に絶対に入れてはいけません。
また、単三乾電池を使用する決断をしたのはホール素子出力のノイズ低減のためです。 当初、ホール素子用電源をオペアンプを使って作っていましたが、ホール素子の出力波形がノイズっぽい状態でした。 消費電流調査の過程で、たまたま単三乾電池でホール素子を駆動するとノイズ低減できたため、そのまま単三乾電池を使用することにしました。 ただ、この結果、全体的に消費電流が大きくなりました。
基板とが居ず配線は「基板への電線接続にはワイヤーハーネスを利用しよう!!」で紹介した2Pと5Pのワイヤーハーネスを使用しています。 やっぱりワイヤーハーネスはとても便利です。
【 基板外観図 】
デジタル歩数計の改造図を下図に示します。 緑の電線がCN1−5、黄色の電線がCN1−4、橙の電線がCN1−3に接続されています。 また、680kΩのチップ抵抗の右側のランドに47kΩの抵抗を追加でハンダ付けしています。
【 デジタル歩数計の改造図 】
チャリンコ万歩計電子回路部全体を下図に示します。 ホール素子に磁石を近づけて123カウントさせたときの例です。 ちなみに中央のホール素子をカバーしている水色カバーはダイソーで100円で購入した収縮チューブです。
【 チャリンコ万歩計 電子回路部 】
3. 「チャリンコ万歩計」センサ部の部品集め
電子回路部分はできましたが、実際にチャリンコに取り付けてカウントさせてみます。 そのためにはチャリンコに磁石を付けなければなりません。 そのためのグッズをまたもやダイソーで購入してきました。 どうせ、頭で考えるようにうまくは行かないだろうと思い、下図のようにいろい購入してきました。 100円だど、いつ、買いすぎちゃいます。
スポークに磁石を取り付けるために反射板を使用することを考えて反射板を購入。
【 反射板 「自転車−No.85」 】
検出用の磁石はいろいろ取りそろえました。 余ったものは何に使おうかな?
【 磁石1 「磁石セット JS−300」 】
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【 磁石2 「マグネット No.12」 】
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【 磁石3 「マグネット No.65」 】
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【 磁石4 「マグネット No.70」 】
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【 磁石5 「マグネット No.67」 】
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しかし、電気電子工作にここまでダイソーの部品が利用されるようになるとは。 いろいろな部品や工具を安く入手できますので大変助かります。
3. 「チャリンコ万歩計」センサ部の製作
これらの部品を使って回転検出部を製作していきます。
まず、反射板「自転車−No.85」に磁石5「マグネット No.67」を貼り付けてカウントできるかどうかを確認してみました。 磁石取付面の組み合わせはピッタリでした。 あたかもこの組み合わせのためかのように反射板に取付面がありました。
取付後、ゆっくりタイヤを回転させると難なくカウントが進みます。 これでokとチャリンコに乗ってタイヤの回転を上げると、残念なことにカウントできなくなりました。 多分、磁石の通過時間が短いため、パルス幅が短いのが原因でしょう。
【 センサ部試作1 】
そこで、磁石2「マグネット No.12」を使って磁石の検出幅を広げ、また、取付位置をタイヤの中心側に移動してみました。 磁石はダイソーで3本100円で買ったビニルデープで仮止めです。
【 センサ部試作2 】
カウントはできるのですが、時々一度に2カウントするようです。 棒状の磁石なので、磁場のSNの組み合わせの問題なのかと思い、磁石1 「磁石セット JS−300」の大きい方の円形磁石を取り付けて見ました。
【 センサ部試作3 】
これでもやはり2カウントすることがあります。 仕方ありませんので、波形観測です。 ホール素子の上を磁石を通過させることを、いろいろと試していると下図のような波形を観測できました。 確かに2パルス出ています。 こ の現象が原因のようです。
【 2パルス波形 】
しかし、当初は何故このようになるのか原因がわかりませんでした。 何度も何度も何度も何度も何度も繰り返していると、やっと上記の現象の出し方がわかりました。 最終的には磁石の面に対してホール素子の向きが水平 か垂直かの違いでした。
2パルス出力発生有り 【 磁石面とホール素子面が水平の場合 】
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2パルス出力発生無し 【 磁石面とホール素子面が垂直の場合 】
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結局はホール素子の取付方向を変えるだけでokとなりました。 ついでに磁石の検出時間を少しでも長くとるために磁石を車輪中心部に取り付けるために磁石4「マグネット No.70」を使って下図のようなセンサ部としました。 試作時 は耐久性を必要としませんので磁石の磁力だけで磁石を車輪に引っ付けています。
【 センサ部試作4 】
こんな雑な取付でもうまくカウントしてくれるようになりました。 早速、性能確認として距離表示のある近所の国道に出かけてカウンタの確認です。 500mの距離を往復して行きと帰りのカウント数を調べてみました。 但し、チャリンコはゆったりとしたスピードでカウントです。 その結果、行きも帰りも244カウントです。 カウント数がピッタリ一致したのは予想以上の再現性でした。 記念にその時の写真を下記に掲載します。 (この写真で当方の住んでいる地域もわかりますね。)
【 244カウントで記念写真 】
実用までにはセンサの固定などまだ工夫が必要ですが、これでチャリンコによる距離測定ができそうです。
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