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積層セラミックキャパシタを使うと波形が歪んじょる!!!の巻
「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator (キット) トランジスタ技術連動製品 (ADCQ1708CK)」 はとても使い勝手が良く気に入っています。 採用しているデバイスはよく考えられており当方のお手本になっています。(*1) また、公開されている情報を含めて使い勝手がとてもよいです。 意外と助かっているのは赤色LEDのLED1点滅(点滅反転)です。 このLED1が点滅することでパソコンとの接続が正常に行われていることを目視で確認できます。 現在ではEasyComm(Copyright(c) 2000 - 2004 T.Kinoshita)とEXCELを利用して、下記図1のようなGUIにより周波数、出力選択(波形種別)、DC電圧設定をひとつにまとめて、単独もしくは連続(継続時間ごとに シーケンシャルに設定変更)して出力設定できるようにしています。
(*1 ただし、経験・実務からAGND/DGND分離の考え方・方針や現品のアートワークに関しては意見が異なっています。 相当な経験と深慮・気配りが不足していために逆効果にな っていたことが多々ありま した。)
【 図1 「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」 使用例 】
「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」で少し残念なのが出力振幅が約7.5Vpp(Peak to Peak Voltage)までという点です。 通常はこれだけの振幅があれば十分です。 しかし、「ラズベリー・パイ対応!レベル測定ボード (キット) トランジスタ技術連動製品 (ADCQ1708DK)」などの計測器動作確認用の信号源として利用したいときに振幅が若干不足しています。 最低でも「ラズベリー・パイ対応!レベル測定ボード」の仕様に見合う出力振幅10Vpp(20dBV)は欲しいところです。
この対応として、「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」出力を増幅するオペアンプ回路を追設することにしました。 また、 別用途ではありますが、 同時期に位相差を有する方形波2信号から正弦波を得るための回路も必要になってきました。 この対応としてLPF(ローパスフィルタ)+オペアンプ回路構成で下記図2の 回路を試作しました。 (参考までですが、今回からKiCADを利用したデータを用いています。)
上記回路をクリックすると原寸大の回路を閲覧できます。
【 図2 試作回路図 】
最終回路の外観(カップリングキャパシタ:アルミ電解キャパシタ)です。
【 図3 試作回路外観 】
今回の試作回路では、LPFのカットオフ周波数をキャパシタ交換で変更できるようにしています。 また、ブレッドボードとの相性、部品交換の容易さを考慮して、外部接続や部品交換に分割ロングピンソケット(細ピン用)(秋月電子通商 C−10073 FHU−1x40SGN5−B)を用いています。 これを用いることでとてもコンパクトにできました。
また、本回路は使用目的に応じてオペアンプの変更やコモンライン回路を変更することができるようにしました。 最大振幅10Vppを前提にした場合は単電源接続で対応します。 また最大振幅20Vppとしたい場合は±電源接続できるようにしています。 実際の電源ライン接続は下記表1のようになります。 今回はオペアンプはLMC6482、単一電源15Vdcとしています。
出力振幅 | 電源種 |
電源接続 |
10Vpp | 単電源 | P1:電源+側 P2:未接続 P3:電源−側 |
20Vpp | ±電源 | P1:電源+側 P2:コモン(0V) P3:電源−側 |
「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」の最低周波数が10Hzと低い周波数のため、信号のカップリング キャパシタ(C3,C4,C9,C10,C11,C12) はオーディオ用で一般的に採用されている10μFより大きい100μFとしました。 キャパシタの種類は、小型化できる積層セラミックキャパシタ(秋月電子通商 6.3V100μF RD20F107Z0JH5L P− 02243)を用いています。 なお、確認不足のため定格電圧を超えた使い方になっています。 この時点で既にアウトでした。 (これまでこのセラミックキャパシタを5Vdc電源の回路に採用しており、今回も定格電圧を全く気にせず採用していました。 ここが趣味用途のいいとろこです。)
この試作回路に「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」出力を入力信号としたときの入出力観測波形を下記に掲載します。 「あれっ?黄色の出力波形が歪んじょるじゃ。」と呟いてしまいました。 実は部品選定をする際に「静電容量比率計「高低(たかひく)なんぼ」の結果から積層セラミックキャパシタを利用すると静電容量が大きく変化することを実感していましたが、 小型化の誘惑にかられてカップリングキャパシタに積層セラミックキャパシタを採用したのが間違いのようです。
CH2(青色):入力信号 CH1(黄色):出力信号
【 図4 入出力波形(周波数1Hz) 】
上記波形は周波数1Hzの場合です。 そのため、静電容量のインピーダンス(=|1/(ωC)|)の電圧依存性の影響がともて目立つようになったようです。 当然の結果ではありますが、これまで頭では理解していましたが実際に影響を目にしたのは初めてです。 そこで、改めて積層セラミックキャパシタの定量的な影響把握とカップリングキャパシタの選定に関して調べてみました。
多くのデータを掲載していますので、先に結論を記載させていただきます。
結論: 積層セラミックキャパシタをカップリングキャパシタとして利用することは避けたほうがよさそうです。
なお、小振幅の信号(1Vpp未満)、かつ、DCバイアス変化の少ない場合、または、低い周波数(100Hz未満程度)を利用しない場合は積層セラミックキャパシタを用いても実害はなさそうです。
目次
3.オシロスコープのDCカップリング、ACカップリングの影響
図2の試作回路においてカップリングキャパシタ(C3,C4,C9,C10,C11,C12)を以下の6種類のキャパシタにとっかえひっかえして 出力波形を観測しました。 観測は周波数1Hz〜100kHzの範囲の9周波数として、振幅10Vppを目標として観測しました。
No. | 種類 | 仕様/型式 | 備考 (メーカ/コメント) |
1 | 積層セラミック | 6.3V100μF RD20F107Z0JH5L |
Supertech Electronic Co., Ltd. 秋月電子通商 P−02243 |
2 | 積層セラミック | 16V10μF RD20F106Z1CH5L |
Supertech Electronic Co., Ltd. 秋月電子通商 P−02184 |
3 | 積層セラミック | 50V0.1μF PRE131F104Z50 |
村田製作所 以前、秋月電子通商で500個入り袋で購入したストック品です。 現在は取り扱っていないようです。 海外製のキットにおいて0.1μFのカップリングキャパシタを採用していましたので参考までに測定しました。 |
4 | アルミ電解 | 100μF 16V 85℃品 (VXシリーズ) |
ニチコン株式会社 既に廃品種となっています。 |
5 | アルミ電解 | 10μF 16V 85℃品 (シリーズ不明) |
メーカ不明 相当前に東名電子産業 から音声信号カップリング用キャパシタ用途として購入したストック品です。 テーピング品です。 |
6 | 無極性 | 10μF 16V 85℃品 (シリーズ不明) |
メーカ不明 相当前に購入していたストック品です。 久しぶりに取り出して利用しました。 |
左からNo.1 ・・・・ No.6の外観です。
【 図5 測定に用いたキャパシタ 】
試作回路の調整は、最初に最大ゲインとなるように可変抵抗器を調整してその後は再調整していません。 また、LPFのキャパシタは22pF(カットオフ周波数880kHz)を実装してLPF回路の影響が出ないようにしています。 その後、試作回路の出力振幅が10Vppになるように「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」のVR1を調整しました。 「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」のVR1は1回転タイプになっていますので微調整できません。 そのため、VR1を多回転半固定ボリュームたて型3296W10kΩ(秋月電子通商 P−00975)に交換して微調整ができるようにしました。 このVR1の周波数特性が気にはなりま したが、特に支障はなかったようです。
一連の測定において10Hz(0.01kHz)以下ではカップリングキャパシタのインピーダンスが大きくなる影響により試作回路のゲインが低下していますした。 また、20kHzを超えるとオペアンプLMC6482の周波数特性の影響により振幅10Vppを得ることができませんでした。 特に100kHzでは出力振幅が飽和していたため、入力振幅を小さくして出力振幅が飽和しない状態で測定しています。 100kHzは今回の測定の目的から外れますが、参考までに測定結果を掲載しております。
測定結果として入出力の電圧振幅Vppの他に歪率を掲載しています。 歪率はオシロスコープ(デジタルオシロスコープ DS1054Z)でサンプリングしたデータから波形1周期のデータ を抽出して以下のVBAを用いて算出しています。 このVBAには以下を利用させていただきました。 この場を借りて御礼申し上げます。
参照URL : |
露本伊佐男のブログ 研究と教育と追憶と展望 2007年3月29日 (木) 高速フーリエ変換 Excel VBA用FFTプログラム |
結果からいえば、今回の用途ではNo.4 アルミ電解キャパシタ100μが最も良い結果となりました。 この場合のアルミ電解キャパシタの極性に注意する必要があります。 今回の単電源の場合、C3/C4はR V1,RV2側が+側、C9/C10はU2の出力側が+側、C11/C12はU3の出力側が+側となります。
以下に各キャパシタ毎の測定結果を掲載します。
項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
10Hz未満では歪率が大きくなっています。 その影響で試作回路のゲインも低下しています。 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
|
2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
10Hz未満では静電容量のインピーダンスが大きくなり試作回路のゲインが低下しています。 また歪率も大きくなっています。 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
|
2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
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10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
|
10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
1kHz未満では歪率が大きく、試作回路のゲインも低下しています。 音声回路としては使えません。 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
|
2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
|
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100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
1Hzでも歪率が小さく、試作回路のゲイン低下もほとんどありません。 今回測定したなかでは最も良い結果です、 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
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2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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|
5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
10Hz未満では静電容量のインピーダンスが大きくなりゲインが低下しています。 また歪率も若干大きくなっています。 ただし、表3−2の積層セラミックよりは相当良い結果です。 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
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2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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項目 | 結 果 | 備 考 |
測定 結果 まとめ |
10Hz未満では静電容量のインピーダンスが大きくなりゲインが低下しています。 また波形歪も若干大きくなっています。 ただし、歪率は表3−5のアルミ電解よりさらに良い結果です。 | |
1Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合 |
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2Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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5Hz | CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 Hz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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1 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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10 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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20 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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100 kHz |
CH1 : 黄色 Output CH1 G1端子 2V/div DC結合
CH2 : 水色 Input CH1 A1端子 1V/div DC結合
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表3−1〜表3−6において、低い周波数における歪率悪化は、積層セラミックキャパシタの静電容量がDCバイアスによって低下することが主因です。 この影響は積層セラミックキャパシタのデーターシートに掲載されていますが、 体感すべく実測を試みました。
DCバイアスの影響を測定した回路を図6、測定回路外観(ブレッドボード)を図7、図8に掲載します。 R54は1kΩの抵抗を実測した値990Ωを記載しています。
上記回路をクリックすると原寸大の回路を閲覧できます。
【 図6 DCバイアス影響測定回路 】
キャパシタC52の電圧測定部位にはオシロスコープのCH1とCH2の2CHを接続しています。 CH1ではDC成分、CH2ではAC成分を測定しました。 DC成分は歪率が小さいという前提でCH1のVmaxとVminを測定して(Vmax+Vmin)/2で算出しています。
【 図7 DCバイアス影響の測定回路外観1 】
【 図8 DCバイアス影響の測定回路外観2 】
図7、図8のDCバイアス影響の測定回路外観では入力部にアルミ電解キャパシタが実装されています。 しかし、測定結果にアルミ電解キャパシタが影響を及ぼしたため測定時には回路的に接続していません。
今回の測定に際して、可変抵抗器RV51をブレッドボードに固定できないことによる接触不良が多発して調整の再現性がとれなくて困っていました。 この対応としてブレッドボード用トグルスイッチDIP化キット (K-12197)に用いられている「3PトグルスイッチDIP化基板」(秋月電子通商 P-11549)にRV51を取り付けて利用しました。 その後はつまみを回転した際のブレッドボードとの接触不良は激減しました。
図9に積層セラミックキャパシタ100μF、アルミ電解キャパシタ100μFの静電容量DCバイアス依存性測定結果を掲載します。 なお、積層セラミックキャパシタの定格電圧は6.3Vですので、定格を超えた測定をしています。
【 図9 静電容量DCバイアス依存性測定結果 】
静電容量はオペアンプ出力のAC成分電圧振幅(オシロスコープのCH3)と被測定キャパシタに印加されているAC成分電圧振幅(オシロスコープCH2)の比から算出しています。 算出に際して被測定キャパシタの損失(tanδ)≒0としています。
参考までに被測定キャパシタの「高精度LCRメータDE−5000」測定結果(直列等価回路 Cs+Rs)を表4に掲載します。
周波数 | 積層セラミックキャパシタ 100μF | アルミ電解キャパシタ 100μF |
100Hz | 48.14μF + 3.8Ω | 95.11μF + 0.097Ω |
1kHz | 35.47μF + 0.22Ω | 87.56μF + 0.524Ω |
10kHz | 33.1μF + 0.04Ω | 76.0μF + 4.18Ω |
100kHz | 測定不可 | 15.85μF + 8.26Ω |
3.オシロスコープのDCカップリング、ACカップリングの影響
図6のDCバイアス影響測定回路に記載のようにCH1とCH2は同一部位の波形観測をしています。 本来、CH1とCH2の交流成分は同じ値(振幅波形)になるはずですが、低い周波数では DCカップリング振幅 > ACカップリング振幅 のように観測されました。 オシロスコープのDCカット用のキャパシタの影響が出ているようです。 これでは振幅比から静電容量を算出できません。
図9の測定結果を得る際には、まず(最低電圧が0V付近にならないように)DCバイアスを可能な限り小さくしました。 その次にCH1、CH2ともにDCカップリングにして所定の振幅に調整してほぼ等しい振幅値であることを確認しました。 その後 、DCバイアス調整とCH2、CH3をACカップリングに変更しています。
オシロスコープ(デジタルオシロスコープ DS1054Z)のDCカップリングとACカップリングの影響を調べるために、「ラズベリー・パイ対応!波形発生器Wave Generator」出力(約6Vpp)をCH1:DCカップリング、CH2:ACカップリング/DCカップリングで測定しました。 観測されたAC成分の振幅比に関して周波数特性を測定した結果を図10に掲載します。 20Hz以下では振幅の直読は避けたほうがよさそうです。
【 図10 ACカップリングの影響 】
参考までに1Hzと1kHzにおけるオシロスコープの観測波形を表5に掲載します。 低い周波数の ACカップリング測定においては、波形の絶対値、位相は全く当てにならないようです。 1kHzではDCカップリングとACカップリングの差は無りませんでした。
周波数 | カップリング | 波形 |
1Hz | CH1:DC結合 5.84Vpp
CH2:AC結合 4.16Vpp
|
|
1Hz | CH1:DC結合 5.84Vpp
CH2:DC結合 5.84Vpp
|
|
1kHz | CH1:DC結合 6.00Vpp
CH2:AC結合 6.00Vpp |
|
1kHz | CH1:DC結合 6.00Vpp
CH2:DC結合 6.00Vpp
|
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