Memorandumの小部屋
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USBポートを使って定電流で測ろう この部品は何ボルト基板
1.背景
「MagicEyeレベルメータ[VU6E2-12V]」を製作しようとしたところ27Vの定電圧ダイオードD1が欠品でした。 この対応として手持ちの定電圧ダイオードを実測して代替え品として利用しました。 その際、30V程度出力できる電源を準備したり、電圧降下用抵抗を準備するなどの対応が必要でした。 この対応をきっかけにして、定電流電源回路を有した部品特性測定用の試験回路を用意することにしました。
27V定電圧ダイオード(写真D1)の代品として、手持ちの15V定電圧ダイオードを2本直列接続して使用しています。 ツエナー電圧は実測で28Vでした。 |
【 「MagicEyeレベルメータ[VU6E2-12V] 定電圧ダイオードD1代替え品 】
2. 「この部品は何ボルト基板」の製作
2.1 「この部品は何ボルト基板」 仕様検討
「この部品は何ボルト基板」の仕様について下記表に記載します。
機能 |
電子部品に一定電流を流したときの電子部品両端電圧を測定する。 |
(想定)測定デバイス |
定電圧ダイオード : ツェナー電圧測定 ダイオード : 順方向電圧降下 発光ダイオード : 順方向電圧降下 (輝度比較) |
測定用電流 |
0.1mA / 0.2mA / 0.5mA / 1mA / 2mA / 5mA / 1mA / 20mA / 50mA / 100mA ジャンパーピンによる切替え |
測定用電源電圧 |
5Vdc / 35Vdc SWによる切替え |
測定デバイス電圧測定 |
デジタル式テスターを接続する。 (入力インピーダンス10MΩ以上が望ましい。 最低でも1MΩ以上。) |
電源 |
5Vdc (USBミニBコネクタ or 2Pコネクタ) |
端子 |
測定デバイス用端子台(差し込み式) 電圧測定用端子(ネジ式) |
正常測定判定 |
測定用電流過不足表示LED有り。 赤色 : 過電流。 設定電流以上の電流が流れている。 緑色 : 正常測定。 設定電流の電流が流れている。 青色 : 電流不足。 設定電流以下の電流しか流れていない。 |
測定電流制限抵抗 |
10Ω 1W有り。(回路図R2) ジャンパーピンにより短絡可能。 (測定用電源電圧5Vdc時に測定電圧4V以上確保するため。) |
2.2 「この部品は何ボルト基板」 回路
今回製作した「この部品は何ボルト基板」の回路図を下記に掲載します。
(クリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。)
【 「この部品は何ボルト基板」 回路図 】
測定デバイスの測定用電流を抵抗R31で検出しています。 本回路は、抵抗R31の両端電圧が0.1Vになるように測定デバイスの印加電圧を制御します。 よって、抵抗R31の抵抗値を変えることで測定用電流を設定する(切替える)ことができます。
測定用電流設定は1、2、5ステップで0.1mAから100mAまで設定できるようにしています。 ただし、0.2mA、2mA、20mAレンジは5kΩ、500Ω、50Ωの抵抗が望ましいですが、1本の抵抗で済ますことにしましたので5.1kΩ、510Ω、51Ωを使用しています。 本回路の用途は精度を問わないので、この抵抗値でよいと判断しています。
抵抗R2、抵抗R31a〜R31kは1Wの抵抗を使用しています。 R30は0.5Wを使用しています。
コンデンサC6,C7は定格電圧50Vの部品を使用します。 これは厳守するようにして下さい。 また、USBポート利用を想定していますのでC1、C4、C7の静電容量をむやみに増やさないようにしています。
DCDCコンバータは秋月電子通商で購入した「3W級絶縁型DC−DCコンバーター(±15V100mA)MCW03−05D15 [MCW03-05D15]
通販コード M-04266 」を地用しています。 絶縁型の特徴を利用して、電源電圧5VとDCDCコンバータ出力を直列接続して35Vdcを得ています。
電源はUSBミニBコネクタの他にCN2(2Pコネクタ)を設けています。 これは、USBポート電源のリップルが増加した場合(0.5A以上程度の電流を消費するため)の対応です。 35Vdc電源設定で50mAや100mAで使用すると電源電圧のリップルが増えてしまいます。 通常はこのような設定でデバイス測定は行うことは少ないと思いますが、念のためにこのコネクタを設けて電流容量のある5V電源から供給できるようにしています。
測定用電流設定はジャンパーピン切替え(JP31)としています。 測定デバイス未接続時にジャンパーピンを未接続した際に、バッファー用オペアンプ(IC1−3)に過大電圧が印加されるため、D1とR30の過電圧防止回路を設けています。 D1は3.3Vの定電圧ダイオードを用いていますが、5V以下(2〜5V)の定電圧ダイオードであれば何Vの定電圧ダイオードでも構いません。
VR1は多回転VRを使用しています。 VR1の調整方法は以下のようになります。
なお、下記は校正点が10mAの場合です。 精度をよくしたい測定用電流設定で調整して頂いても構いません。
(1) 測定デバイスの端子にDC電流計を接続します。
(2) 測定用電流設定を10mAとします。
(3) 電源をオンにして、DC電流計の指示が10mAとなるようにVR1を調整します。
このとき、R31の両端電圧は約0.1Vとなります。
VR2は1回転VRで十分です。 このVR2は細かく調整する必要はありませんので、つまみを中間位置付近にしておけばよいと思われます。
細かく調整したいならば、R31の両端電圧が約0.1Vの場合に、LEDが青色⇒緑色に変化するつまみ位置とLEDが緑色⇒赤色に変化するつまみ位置の中間位置に調整します。
USBコネクタは秋月電子通商のブレッドボード用ミニBメスUSBコネクタDIP化キット [AE-USB-MINI-B-D]を利用しています。
ピンヘッダは使用せずに、錫めっき線でハンダ付けしています。
2.3 「この部品は何ボルト基板」 製作例
上記回路をベースに製作した実例を以下に示します。
【 本体基板外観1 (部品面) 】
【 本体基板外観2 (部品面) 】
【 本体基板外観3 (部品面) 】
今回は秋月電子通商のArduino用ユニバーサル基板(通販コードP-06877)を利用しています。 このサイズのユニバーサル基板は、とても使いやすいように感じます。 周辺の短絡パターンとVカットの取扱いに注意すれば、一般的なユニバーサル基板として流用できます。 |
【 基板部品面外観 (ハンダ面) 】
5 その他
5.1 使用例
「この部品は何ボルト基板」の使用例を下記に示します。 下記使用例は整流用ダイオード1N4007において順方向電流If=100mA時の順方向電圧降下Vfを測定しています。
緑色のLEDが点灯していますので、正常に測定できていることがわかります。
【 「この部品は何ボルト基板」使用例 】
5V電源測定時は、100mA設定でもほぼ正常に測定できますが、35Vdc電源設定ではUSBポートでは電流容量不足となります。
電流容量不足の場合、正常測定判定用LEDが青色、青色と緑色、青色と緑色と赤色が点灯するなどの異常表示します。 この場合の参考例を下図に示します。 下図の場合は、電源電圧のリップルが非常に大きくなっています。
青色と緑色が明るく点灯し、赤色は薄く点灯しています。
【 測定異常児LED表示例 】
5.2 測定結果例
消費電流
35Vdc電源設定時の消費電流を下記に示します。 下記結果より、USBケーブルの電圧降下を考えなければ、USBポートでは測定用電流50mAまでは使用できそうです。 なお、測定に使用した印象では10mAまではほぼ確実に測定できそうです。 20〜50mAではUSBポートの特性やケーブル種類によっては正常に測定できないことがありました。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
基板消費電流[mA]
828
445
217
155
114
93
測定用電流設定 v.s. 実測電流
測定用電流設定に対する電流を実測した結果を下記に示します。 測定用電流設定が小さい場合は設定に対しての誤差の割合が大きくなります。 ただし、今回の用途では再現性優先と考えれば、下記結果は問題とはなりません。(カーブトレーサではありません。)
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
実測電流[mA]
98.6
48.5
19.4
10.0
5.02
1.97
1.03
0.51
0.22
0.12
整流用ダイオード測定
1Aクラスの整流用ダイオードで一般的に使用されている1N4007の順方向電圧降下Vfの実測結果を下記に掲載します。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
1N4007 [V]
0.785
0.754
0.713
0.685
0.653
0.609
0.578
0.544
0.504
0.476
SWダイオード
SWダイオードの順方向電圧降下Vfの実測結果を下記に掲載します。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
SW用 1S1588 [V]
0.907
0.848
0.783
0.742
0.704
0.640
0.618
0.594
0.555
0.526
SW用 1N4148 [V]
0.887
0.833
0.771
0.734
0.697
0.650
0.618
0.582
0.543
0.513
ショットキーバリヤダイオード
整流用と信号用のショットキーバリヤダイオードの順方向電圧降下Vfの実測結果を下記に掲載します。 整流用と信号用では大きく異なります。 信号用はバイアスをほとんどかけずに使用しないといけないことがよくわかります。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
整流用 1S4 [V]
0.349
0.329
0.302
0.284
0.266
0.241
0.224
0.206
0.184
0.168
整流用 RK16 [V]
0.323
0.301
0.275
0.257
0.236
0.213
0.196
0.178
0.156
0.140
信号用 1SS108 [V]
3.821
3.340
1.384
0.773
0.473
0.280
0.211
0.163
0.122
0.100
Geダイオード
昔から検波用に使用されているGeダイオードの順方向電圧降下Vfの実測結果を下記に掲載します。 1N60は違う店舗で購入した2種類のダイオードを測定しました。 なお、測定不可と記載されている条件では、測定結果が急変するために測定できませんでした。(こんなに大きな電流を流したらダメということでしょう。)
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
検波用 1N34A [V]
測定不可
3.357
2.017
1.308
0.876
0.549
0.417
0.320
0.240
0.198
整流用 1N60(赤) [V]
測定不可
2.072
1.225
0.853
0.608
0.414
0.334
0.272
0.218
0.189
信号用 1N60(黒) [V]
測定不可
測定不可
3.114
2.063
1.309
0.705
0.481
0.335
0.231
0.185
発光ダイオード
LEDの順方向電圧降下Vfの実測結果を下記に掲載します。 なお、測定不可と記載されている条件では、測定結果が急変するために測定できませんでした。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
赤外線用 OSIR5113A [V]
1.418
1.315
1.226
1.184
1.149
1.107
1.080
1.049
1.010
0.982
赤色LED 秋月 [I-01679] [V]
測定不可
測定不可
1.944
1.813
1.730
1.657
1.619
1.582
1.541
1.514
青色LED 秋月 [I-01710] [V]
測定不可
測定不可
3.089
2.921
2.788
2.662
2.602
2.554
2.509
2.479
黄色LED 秋月 [I-01719] [V]
測定不可
測定不可
2.089
2.016
1.948
1.872
1.827
1.786
1.740
1.710
緑色LED 秋月 [I-01719] [V]
測定不可
測定不可
2.169
2.043
1.945
1.886
1.848
1.816
1.782
1.759
定電圧ダイオード
定電圧ダイオードのツェナー電圧の実測結果を下記に掲載します。 定電圧ダイオードを適切に使うのは難しいことを改めて認識されます。
測定用電流設定[mA]
100
50
20
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
27V用1N4750 [V]
測定不可
測定不可
測定不可
測定不可
26.59
26.29
26.16
26.18
26.08
26.13
12V用1N4742 [V]
測定不可
測定不可
測定不可
11.59
11.51
11.46
11.45
11.44
11.44
11.45
5.1V用1N4733 [V]
5.255
5.180
5.072
5.052
4.973
4.802
4.634
4.412
4.100
3.867
3.3V用1N4728 [V]
3.299
3.052
2.701
2.463
2.234
1.956
1.783
1.615
1.428
1.308
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