Memorandumの小部屋
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GM管LND712使用 カウントしかしないガイガ−カウンタですの巻
1.背景
「GM管J304βγ こりゃカウントするわの製作」ではGM管J304βγの外形寸法が大きく、高電圧電源も「蝿取りラケット DCDCコンバータ基板」を使用していたため電源 の効率が悪く、消費電流が100mAを越えていました。 可搬性を高めるためは、小型化・消費電力低減が必要であり、そのためにGM管としてLND712、500V出力のDCDCコンバータを入手して製作してみました。
また、センサ部分だけでガイガーカウンタ機能を有するようにしました。 はい、カウンタです。 単位はパルス回数です。 決して世の中でまかり通っているCPMや何とかシーベルトでは測定できません。
2. カウントしかしないガイガ−カウンタの製作
2.1 カウントしかしないガイガ−カウンタ 回路
今回製作した「カウントしかしないガイガ−カウンタです」の回路図を下記に掲載します。
(クリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。)
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 回路図 】
回路構成は基本的に「GM管J304βγ こりゃカウントするわの製作」を踏襲しています。 前回同様に高電圧電源出力電圧の安定化を行っています。
ニッケル水素電池4本での駆動を考慮して入力電圧を有効に利用するように変更しています。
(a) 逆電圧印加防止用のダイオードD1を配線で短絡しています。
(b) 500V出力のDCDCコンバータへの入力を3.3V電源から電源入力から直接とるようにしています。
この変更のため、Q01、Q21の回路に変更しています。
上記対応で、NJM7044Dの1回路が余りましたので万歩計の電源供給回路に利用しました。 基準電圧が1.5Vに近い電圧ですので基準電圧をそのまま利用するバッファ回路で使用しています。 なお、電源オフですぐにカウンタ数値が消えることを防止するためにC22(47μF)を設けています。 この回路は手抜きしていますので、少なくともD21は設けておく必要があります。
パルス幅設定の74HC123Aに使用するコンデンサを前回はフィルムコンデンサにしていましたが、今回はセラミック積層コンデンサ(チップコンデンサ)に変更しました。 それほど厳密に時間設定する必要もないので、フィルムコンデンサにするまでもなかったと思います。
万歩計用の74HC123Aバルス幅時定数は今回見直しています。 万歩計でカウントできる程度にパルス幅を短くしています。 実際にはコンデンサの大きさの問題で、0.1μFのチップコンデンサを用いることができるようにしています。 事前確認(マージン確認)不足でチップコンデンサ0.1μF1個で回路製作をしましたが、環境の変化に対してのマージン不足でカウントできない場合があったので、チップコンデンサを2段重ね(C44,C45)としました。
検出回路(C46,R45)に電流制限抵抗を設けていませんのでZD41は意味がありません。 回路図にも製作品にもZD41を設けていますが、次回作成するならばZD41は不要です。
LND712はアノード検出が推奨されていますが、今回は前回と同様にカソード検出方式としています。 まだ実感はありませんが、耐ノイズを考えればアノード検出方式に変更すべきだと思います。
DCDCコンバータ出力に接続されているR02,R03,R05の10MΩの抵抗、C09の1000pFは定格500V以上の部品を使用します。 C09は1kV品を持っていましたが、R02,R03,R05は手持ちの関係で今回は300V品を使用しています。 自己責任、自己責任。
2.2 「カウントしかしないガイガ−カウンタ」 製作例
上記回路をベースに製作した実例を以下に示します。
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 全体外観 】
今回は、SOPやチップ部品を使用しますので秋月電子通商の「ユニバーサル両面スルホール・ガラス・ユニバーサル基板Bタイプ1.27mmピッチ(95x72mm) [AE-2M]」を利用しました。 この基板上に回路、GM管LND712、万歩計を実装するようにします。 1.27mmピッチのためランド径が小さく接着力が弱いので両面スルーホールタイプのユニバーサル基板を使用します。 片面タイプもありますが、今回の製作では適さないと判断しています。
DIPタイプのIC09は外形が大きいのでSOPの部品をできる限り利用しました。 74HC123AなどのSOP部品は鈴商で入手することができます。 鈴商の品揃えにはとても助かります。
コネクタCN1はハーフピッチコネクタ「1.27mm(ハーフ)ピッチコネクタセット [P-01151]」を使用しています。 実際に製作したところハーフピッチコネクタが必要なほど部品が込み入りませんでしたので、このコネクタに拘る必要はありませんでした。
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 回路図部分部品面 】
今回は電源ラインのハンダ充填不足気味です。(手持ちハンダのストック切れ間近です。)
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 回路図部分部品面 】
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 回路図部分部品面斜視1 】
【 「カウントしかしないガイガ−カウンタです」 回路図部分部品面斜視2 】
2.3 「カウントしかしないガイガ−カウンタ」 調整例
GM管LND712の高電圧調整方法を記載します。
Step1 DCDCコンバータ出力電圧検出回路特性を測定します。
DCDCコンバータ出力電圧とIC02の7番ピン電圧の関係を同時に測定します。 そのために電圧計(テスター)が2台必要になります。 なお、DCDCコンバータの出力電圧を測定するためには750Vdc以上を測定できる入力インピーダンス10MΩ程度の電圧計が望ましいです。 また、必ず同時に測定して下さい。 1台で交互に測定すると測定誤差が大きくなります。 この電圧の関係をもとに、DCDCコンバータ出力電圧はIC07の7番ピンの電圧から推測するようにします。
測定に際して、電源電圧5Vdc程度、DCDCコンバータ上の可変抵抗は75%程度(可変抵抗矢印上無期状態から左へ約30°回転)にしておきます。 その後、VR21を調整して0%側にして、徐々に電圧を上昇して電圧計の値を読み取ります。 測定に際して550Vdcを超えないように注意して下さい。
今回の製作例における測定結果例を下記に掲載します。 動作電圧475Vの場合、下記よりIC02の7番ピンが0.514Vになるように電圧調整をすればよいことがわかります。 なお、この電圧は使用部品のばらつきによって変わります。
DCDCコンバータ出力電圧 [Vdc] | IC02 7番ピン [Vdc] |
100 | 0.112 |
200 | 0.220 |
300 | 0.327 |
400 | 0.434 |
450 | 0.488 |
460 | 0.499 |
470 | 0.509 |
475 | 0.514 |
480 | 0.519 |
490 | 0.530 |
500 | 0.541 |
525 | 0.568 |
Step2 DCDCコンバータの出力調整をします。
電源電圧が低下した際に、電源電圧が何Vまで高電圧出力を維持させるかをDCDCコンバータの可変抵抗で調整します。 今回使用するDCDCコンバータは、出力電圧ではなくDCDCコンバータのこの可変抵抗の調整で決まります。 消費電流はこの調整で決まります。
3〜5Vdc程度を調整できる可変電源を準備します。 この可変電圧から本回路に電源を供給します。 また、DCDCコンバータ上の可変抵抗は75%程度(可変抵抗矢印上無期状態から左へ約30°回転)にしておきます。
電源電圧を5VにしてVR21を調整してIC02の7番ピンが0.514Vになるようにします。
電源電圧を本回路の最低動作電圧まで低下させます。 今回の製作例では4.4Vに設定しました。
IC02の7番ピンが0.514Vを維持できるところまではDCDCコンバータ上の可変抵抗を右側に回します。 これで調整完了です。
3 その他
3.1 完成状態
本回路の消費電流は約30mAとなりました。 GPS部分と合わせて消費電流は100mA以下にすることができそうです。
「GM管J304βγ こりゃカウントするわの製作」と「カウントしかしないガイガ−カウンタ」の外形寸法を比較してみました。 基板外形自体は少ししか小さくなっていませんが、万歩計も実装できるようになっています。
【 「GM管J304βγ こりゃカウントするわの製作」との比較 】
3.2 万歩計の改造
万歩計の改造は「ホール素子買っちゃた! チャリンコ万歩計を作っちゃえ! 」に掲載のダイソーのデジタル歩数計B縦型の改造品を使用しています。 但し、+Vccラインと信号入力ラインに22kΩのプルアップ用抵抗を追加しています。 これは「カウントしかしないガイガ−カウンタ」回路の逆電流防止のD22に起因するもので、Highレベル電圧入力時の信号入力ライン電位確定のためです。 この抵抗は万歩計内部ではなく、「カウントしかしないガイガ−カウンタ」回路側に設けてもよいかと思います。
【 万歩計改造状態 】
【 万歩計動作状態 】
End of This Page.