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電池ボックス電子工作(その5)
どこでもリモコンリモコン2(リモコンレピータ)
どこでも電圧安定化回路付き
1.背景
「リモコンリモコン その1 (おまけはリモコンガチャガチャ迷惑防止器!!!)」は電波を使うため送受信モジュールを使用していました。 これはこれで便利なのですが、送受信モジュール使用部品が特殊であり、入手性に難がありました。
今回は、多少性能は劣っても、部品入手しやすい部品で電池ボックス電子工作シリーズとして「どこでもリモコンリモコン2」を2例、製作してみましたので紹介します。
なお、本ページの参考ページとして赤外線リモコン関係の改善方法を掲載しています「50/60Hzはどこにある!! PICマイコン分周器の製作」もご参照されることをお勧めします。
2.どこでもリモコンリモコン2の仕様
前回より作りやすくするために、できる限り汎用部品を使用するようにしました。 また、今回は電池ボックスをケースにして 製作し易さも追求してみました。 また、今回は結果的に電池専用タイプと、ACアダプタ対応タイプの2通りを製作しました。
(1) 部品は、できる限り、秋月電子通商で入手できる部品で構成でしてみました。
ただし、通信販売だと1個売りではなくて何本パックなどのまとめ買いでないと入手できないかもしれません。
(2) 変調周波数は38kHzのみの対応とします。
(3) 周波数変動はありますが、タイマーICである555を使用したCR発振とします。
(4) 赤外線受信は前回同様、専用モジュールを使用して製作再現性を向上します。
(5) 赤外線発光ダイオードを外付けとし、任意の場所に設置できるようにします。
3. 電池専用タイプ どこでもリモコンリモコン2
「電池ボックス 単3×4本用(フタ付プラスチック・スイッチ付)[SBH-341-AS]」を使用して電池ボックス電子工作シリーズ の一環として製作することにしました。
このため、使用部品はできる限り少なくする必要があり、発振周波数立ち上がり不安定性と周波数安定度が心配ではありますが、タイマーIC 555の4番ピンを制御する方法としました。
今回製作した電池専用タイプ「どこでもリモコンリモコン2」の回路図を下記します。
(U1の部分をPICマイコンに置き換えることも可能です。 ここを参照願います。)
【 電池専用タイプ どこでもリモコンリモコン2 】
赤外線受信モジュールは以前購入していたモジュールを使用していますが、現在入手できないようです。 しかし、その他の形式で多種類の赤外線受信モジュールが販売されていますので、
これらのなかで周波数38kHz用が使用できると思います。
SPS-443は赤外線信号未検出時Hレベル、検出時Lレベルの信号を出力します。 もし、この逆のロジックでしたら、下記回路図のQ1,R1,R2なしでOutputを
直接タイマーIC
555の4pinに接続することで対応できます。
タイマーIC 555はC−MOSタイプがお勧めです。 10円高くてもICM7555やLMC555を使用しましょう。
C3のコンデンサはフィルムコンデンサを使用して下さい。 くれぐれもセラミックコンデンサを使用しないで下さい。
赤外線受信モジュールの近くに必ずC1,C2を実装して下さい。 波形を見ていると、電源ラインをしっかりしておかないと誤検出しやすいようです。
VR1は1回転タイプの半固定VRを使用していますが、とても調整し辛いようです。 できれば固定抵抗と半固定抵抗の組み合わせ
て調整範囲を狭く擦る代わりに調整し易くするか、もしくは、多回転VRを使用することをお勧めします。(本ページ公開時、秋月電子通商で10kΩ多回転VRを80円で販売していました。)
Q1,Q2のトランジスタは2SC1815GRを使用していますが、2SC1815Yでも2SC1815BLでも使用可能です。
LEDの発光強度を調整できるようにジャンパーピンJP1を設けています。 通常はオープンで構わないと思います。 必要ないと思われれば、JP1及びR6の回路は削除してもよいかと思います。
外付け赤外線発光ダイオードは、AV機器に付属していたIRコントロールケーブルをそのまま使用できるようにしました。
【 製作例 (カバー内部外観) 】
【 IRコントロールケーブル 】
【 電池専用タイプ どこでもリモコンリモコン2 完成外観 】
発振周波数の調整は、周波数カウンタやオシロスコープがあれば、パルス間隔を測定しながら38kHzになるようにVR1を調整して下さい。 当方は、「DIGTAL STORAGE SCOPE for PC PCS64i」を使用して周波数分析しながら調整しました。
もし、これらの測定器がない場合は、リモコンの発光を受信しながら、「どこでもリモコンリモコン2」の赤外線LEDを機器に向けて、リモコンの操作通りの反応がするようにVR1を調整します。 操作どおりの反応 をする範囲のVR1の位置を記録し、その範囲の中央付近になるようにVR1を調整してみて下さい。
製作後、最初に心配していました発振周波数の電源電圧変動による変動を実測してみました。 この結果より、電源電圧により発振周波数が結構変わっていることがわかりました。 もし、使用していて、「どこでも リモコンリモコン2」が反応しなくなったならば、電池電圧が低下して発振周波数が変動した可能性があります。 この場合、電池を交換するか、VR1を再調整してみて下さい。
【 周波数変動 (電源電圧依存性) 】
また、発振周波数の立ち上がりを実測しましたが、オン開始時の1つめのパルス間隔が33.13μsと長目になっていますが、2つ目以降は安定して25.94μs(*1)となっていました。
(*1 : 発振周波数が約38.5kHzと高いようですが、この程度のずれでは問題なく使用できるようです。)
4. ACアダプタ対応タイプ どこでもリモコンリモコン2
電源電圧変動に弱いことが分かりましたので、ACアダプタ対応の「どこでもリモコンリモコン2」も製作してみました。
最近は安定化された5VのACアダプタもありますが、いろいろな(不要となった)ACアダプタに対応するように汎用性を持たせるために安定化回路を電池ボックスで製作するようにしてみました。
ACアダプタ対応タイプ「どこでもリモコンリモコン2」の回路図を下記します。
【 ACアダプタ対応タイプ どこでもリモコンリモコン2 】
【 ACアダプタ対応タイプ どこでもリモコンリモコン2部 】
【 ACアダプタ対応タイプ どこでも安定化回路部 】
【 ACアダプタ対応タイプ 赤外線LED部 】
【 ACアダプタ対応タイプ どこでもリモコンリモコン2 完成外観 】
「どこでもリモコンリモコン2」部分は同一回路です。
赤外線発光LEDについては、今回は自作してみます。 LEDは「「リモコンリモコン その1 (おまけはリモコンガチャガチャ迷惑防止器!!!)」の残品であるTLN105Bを使用しました。 特にこのLEDにこだわる必要はありません。 不要となったリモコンから赤外線LEDを取り外して使用して頂ければと思います。
回路図の下側が安定化回路です。 一般的なACアダプタは電圧が安定化されていません。 3端子レギュレータICを使って安定化します。 また、ACアダプタの極性に影響を受けないようにするために、ダイオードブリッジを設けています。 この関係で、ACアダプタは電圧10V〜18V、電流150mA以上の定格のものを使用することをお勧めします。
安定化回路のダイオードD1は必須ではありませんが、おまじないで追加しています。 今回のように用途が限定されている場合はD1は削除しても構いません。
電池とACアダプタの電源切替は、「どこでもリモコンリモコン2」側内蔵の電源スイッチで行います。 電源スイッチONで内蔵電池、OFFでACアダプタ側になるようにします。
この対応のために電池のマイナス側電極とスイッチの接続を手直しする必要があります。
電池ボックス内のスイッチを押さえている部品をゆっくり上側に引き上げてスイッチ端子を露出させます。 その後、下図のように配線を手直しします。 スイッチの中央端子の配線が「どこでもリモコンリモコン2」基板のマイナス側に接続されている配線です。
【 スイッチ配線変更部 】
4. まとめ
今回製作した「リモコンリモコン2」の外観をまとめて下図に掲載します。 これでリモコンのリモコンが「リモコンリモコン その1 (おまけはリモコンガチャガチャ迷惑防止器!!!)」と合わせて3セットになりました。
【 どこでもリモコンリモコン2 外観 】
この3台を使い、「リモコンリモコン その1 (おまけはリモコンガチャガチャ迷惑防止器!!!)」 → 「電池専用タイプどこでもリモコンリモコン2」 → 「ACアダプタ対応タイプ どこでもリモコンリモコン2」の3台を経由してTVのリモコン操作を試してみました。
今回製作した「どこでもリモコンリモコン2」は受光モジュールが少し奥に入っている関係か、検出角度がそれほど広くないようです。 若干光軸あわせに手間取りましたが、見事、この3台を経由してTVのリモコン操作に成功しました。
まだ使用時間がとても短いため安定性など未確認ですが、リモコンのレピータとして使用することはできるのではと思っています。 リモコンの死角が有る場合など、ご利用できるのではないかと思います。
5. Q&A
Q1 |
制御したい機器が複数ある場合、リモコンリモコン2は、その台数分必要ですか? |
A1 |
38kHz対応の一般のリモコンでしたら、複数のリモコンに対してリモコンリモコン2は1台で対応できます。 つまり、複数のリモコンを順次操作する場合は使用可能です。 但し、同時に複数台のリモコンから同時に発光させるような場合は、当然使用不可能です。 |
Q2 |
少し離れている機器を同時に制御するこはできますか? |
A2 |
今回使用している赤外線LEDの発光の広がり角度がそれほど広くないため、制御される複数の機器が離れている場合、1個の赤外線LEDの発光範囲にそれらの機器がすべて入らない場合があると思います。 また、赤外線LEDの実装位置の制約で1つの赤外線LEDでカバーできなことも考えられます。 このような場合は、赤外線LEDを3個程度まで増設することで対応できます。 その場合の接続例を下図に示します。 JP1は短絡し、またそれぞれのLEDに10Ωの抵抗を追加します。 これで1個〜3個まで任意の赤外線LEDにすることができます。
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今回、電源電圧依存性の確認を後回しにして製作に入ったため、発振周波数変動の大きさに後になって認識した次第です。 もし、これに最初に認識していれば別の回路方式にしていたでしょう。
PIC12F683-I/Pを使用したリモコンリモコン3を公開してますので参照してみて下さい。
End of This Page.