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Q&Aの小部屋

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皆様から頂いたご質問の回答の一部を紹介させて頂いております。

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ご 質 問   

 


 庭にある水車の回転速度に 比例してDC3Vの豆電球の光が強弱し、水車が停止したら光が消える回路を知りたい。 水車は、マブチモーターを回転させるトルクも無い。
 

 

回   答   

 

1 ご質問への回答

 これを実現する方法には2つの課題があると考えます。 1点目は回転速度の検出方法、2点目は豆電球の調光方法です。
また、回転速度の検出(パルス信号)を光量に比例した信号に変換する回路が必要となります。

 以下、これら3点について説明し、最後に製作例を記載します。


2 回転速度検出

 1点目の回転速度の検出です。 ご質問に記載のようにDCモータを発電機として使用するのが手っ取り早いのですが、水車のトルク不足や寿命などを考えれば非接触方式がよいかと思います。 非接触方式としては、光、磁場変化などを検出する方法が考えられます。 また、ドップラー動体検知キット (K-650)なども使用できるかもしれません。
 今回は、比較的安価に実現できるように、回転速度ではなく回転角をパルスに変換し、パルスの発生間隔を回転速度として検出することにします。 早い話がロータリィーエンコーダと同じようなものです。 よって、回転角の分解能より小さい回転は検出できません。 

 今回は光と磁場変化を利用した製作例を回答として紹介します。 今回の製作例を少しでもわかり安くするために水車を準備したかったのですが、手頃なものがなかったので下記のような回転できる車輪のような「水車まがい」を製作しました。 直径は200mmです。 車輪のようなものはダイソーの園芸品売り場に売っていました。 軸となっていものはDVDケースの軸にビニルテープを巻いたものです。 

 「水車まがい」の円周上に、反射光検出用のアルミテープを、また、磁場変化を発生させる磁石を貼り付けています。 この磁石もダイソーのクラフトマグネットNo.173(E−003)を使用しています。

 

【 「水車まがい」製作例 】

 

2.1 光を使用した回転検出

 光を使用する方法では、発光ダイオード等の発光素子の光をフォトトランジスタなどの受光素子で受光する方法があります。 但し、単純に光の有無だけでは外乱光の影響を受けてしまいます。
 この対応として、発光の光を一定の周波数でオンオフさせて、受光側では前記周波数でオンオフする光があるかどうかを検出する方法があります。 身近な例として、TVなどのリモコンもこの原理を使用しています。 実際にはもう少し工夫して、各種コマンドを送信できるようにしています。 今回も安価に仕上げるためにリモコンの部品を使用します。

 発光方法は「電池ボックス電子工作(その 11)  いつどこ リモコンリモコン3(赤外線増幅器)」 の回路を流用します。 但し、赤外線は微弱でよいので赤外線発光ダイオード(赤外線LED)1個で十分です。 このため、赤外線LEDのドライブ回路は簡易化できます。 

 受光側はリモコン用の受光モジュールを使用します。 この受光モジュールの受ける光を水車の回転に応じて受光/遮光できるように水車と発光素子、受光素子の実装を行って下さい。

 光のオンオフ確認方法として、下記写真に示すように直接光を水車の構造物で遮光する方法と、水車に光を当ててその反射光を検出する方法があります。 それぞれ一長一短がありますので、対象とする水車の構造に合う方を選択して頂ければと思います。 それぞれの方法とも、光の遮光もしくは受光をパルス信号として出力します。

 



【 直接光検出方法 】

【 反射光検出方法 】

 

2.2 磁場変化を利用した回転検出

 皆さんの使用されているパソコンによっていは、内蔵されているファンの回転数を知ることができるようになっているものがあります。 これは、ホール素子を使用し、毎秒毎分当たりの磁場変化回数を検出しています。 今回もこの原理を使用することができます。

 例えば、「ホール素子買っちゃた! チャリンコ万歩計を作っちゃえ! 」のようなディスクリート部品で回路を組む方法もありますが、ホール素子入手や回路部品点数も多く、製作が結構面倒です。
 今回は秋月電子通商で販売している「非接触回転速度センサ OH182/E」を使えばとても簡単に回路を組めます。 このセンサは歯車の歯を検出するもので、磁性材料を検出できるようにセンサ自体に磁石が既に実装されています。 これは、外部に設けた磁石の有無も検出することを意味しています。

 水車に磁石や小さな鉄板を複数個貼り付けておき、これをこのセンサでこの磁性材料の有無を検出し、この検出信号をパルスの変換して使用します。 

 

   

【 磁場変化検出方法 】


3 パルス光量制御信号変換

 光や磁場の変化をパルスとして受け取り、このパルスを豆電球の明るさを制御する電圧信号に変換する必要があります。 パルスの周期/周波数を電圧信号に変換する回路としてFVコンバータ回路があります。 しかし、上記センサ構造ではパルスの周波数が0Hzからせいぜい10Hz程度と低いためFVコンバータは非常に使い辛いです。 よって、今回はパルス信号でコンデンサに充放電する方法とします。

 パルス信号自体でコンデンサに充放電するため、入力されるパルス信号のパルス幅を一定にする必要があります。 このためにワンショットマルチバイブレータを使用します。 これで検出方法や検出の論理に影響を受けることなく一定パルス幅のパルスを得ることができます。 具体的な回路を下記に示します。 左側からセンサからのパルス信号(論理はどちらでも良い。)、右側からパルス光量制御信号が出力されます。 パルス光量制御信号は電圧に比例して明るくなる信号です。

【 パルス光量制御信号変換回路例 】

 

 入力のR60,C60はセンサのパルス信号に本来の検出以外のノイズを除去するためのローパスフィルタです。 赤外線受光モジュールはとても感度が高いため、ちょっとした類似信号にも反応する可能性があります。 このような誤った検出をすることを防止するために設けています。

 IC6の74HC123がワンショットマルチバイブレータです。 R61,C61により決まる一定パルス幅のパルスを得ることができます。 上記例は入力のパルス信号の立ち上がりエッジを検出しますが、立ち下がりを検出したい場合は端子にパルスを入力するように変更すれば対応可能です。

 D61、R62,R63,C62が心臓部の変換回路部分です。 パルスが入力されたときの発光時明るさ立ち上がりを決めるのがR63・C62の定数です。 パルス入力終了時の発光消灯具合を決めるのがR62・C62の定数です。 これらの定数、及び、R61・C61は実際に水車を回転させて、好みに合うように調整して下さい。

 D61は順方向電圧降下Vfの小さいショットキーバリヤダイオードを使用して下さい。 シリコンダイオードを使用できないこともありませんが、パルス光量制御信号の最大電圧が小さくなる可能性があります。

 R63は小さすぎるとIC6のIOHの制限を超えてしまいますし、大きすぎるとパルス光量制御信号の最大電圧がR62/(R62+R63)の割合で小さくなってしまいます。

 上記定数では、パルス信号が入力すると直ぐに明るくなり、0.1s後に直ぐに暗くなります。 パルス光量制御信号の立ち下がり波形のC62静電容量依存性の実測値を下記に示します。 パルス光量制御信号と明るさの関係は、発光デバイスにより異なりますので、実際に光らせて調整する必要があります。 フィラメント式の豆電球の場合、個人的には10μs程度が良いように思えました。 発光ダイオードだと、4.7μFくらいとの感覚です。

 

【 パルス光量制御信号応答例 】


4.豆電球の調光方法

 パルス光量制御信号を用いてフィラメント式の豆電球を調光する方法は、「パルス幅制御ICが欲しい! PICでDuty制御」を用います。

  「パルス幅制御ICが欲しい! PICでDuty制御」 の頁にはプログラムが2例掲載されていますが、末尾側に記載しているjsk45_b.hex (改良版)を利用して下さい。 

 


5 試作例

 光学式と磁場変化式の試作例を以下に掲載します。

5.1 光学式試作例

 発光側の回路は「電池ボックス電子工作(その 11)  いつどこ リモコンリモコン3(赤外線増幅器)」を利用した下図の回路で試作しました。

【 光学式 LED発光回路 】

 

 赤外線LEDを1個にしていますのでのドライブ回路が簡略化されてます。

 本ページ作成時に秋月電子通商では赤外線LEDは100本単位でしか購入できない状況でした。 1個しか必要ないのに100本購入するのは無駄ですので、不要になった赤外線リモコンから赤外線LEDを取り外して使用することも考えて下さい。

 VR70が10kΩと大きいと思われるかもしれません。 赤外線受光モジュールの感度がすごく高いようで、10kΩの半固定抵抗でないと誤検出を防止できませんでした。 現状5kΩくらいでしょうか。 室内レベルではこれでよいでしょうが、実際にが現品のセンサの取り付け状態に合わせて定数の見直しをして下さい。

 次に受光、電球調光回路を掲載します。 

【 光学式 受光、電球調光回路 】

 

 主要部品はほとんどを秋月電子通商で購入できると思います。

 74HC123の替わりに、74HC121なども使用できます。 ただし、VOHを高くとりたいのでHCタイプなど5V電源のC−MOS品を使用して下さい。

 負荷としてダイソーで購入した自転車用6Vの豆電球を内蔵した自転車用ランプを利用しています。 ご質問では3Vの豆電球といことでしたが、本試作の電源電圧が5Vでしたので6Vの豆電球を用いました。 どうしても3V品を使用されたい場合は2個直列でご利用頂くか、直列に1〜数Ωの電流制限抵抗を設けて下さい。 この抵抗値、定格電力は電源電圧、豆電球の電力から求めて下さい。

 回路の試作例を下図に示します。 左側が発光部、右側が受光、電球調光回路部です。 直接光方式、反射光方式ともに同じ回路で、赤外線LEDとセンサの配置を変えるだけでいずれの方式にも使用できます。

【 光学式 LED受光、電球調光回路試作例 】

 反射式方式の場合、予想以上に反射光を検出します。 あまり近づけ過ぎると豆電球がランダムに点滅を繰り返して見苦しくなりました。 光り方が気に入らない場合は、センサを遠ざける、もしくは赤外線LEDの電流を小さくしてみて下さい。

 

5.2 磁場変化式試作例

 磁場変化式の試作回路を下記に掲載します。

【 磁場変化式回路 】

 秋月電子通商で販売している「非接触回転速度センサ OH182/E」はとても便利ですが、電源電圧が5Vで使用できるようではありますがデータシートでは何ら謳っていませんので面倒でも5V→12Vの昇圧用DCDCコンバータのモジュールIC10を追加しています。 これも秋月電子通商で購入できます。

 以下に回路の試作例を示します。 左側がDCDCコンパータ、センサ部、右側が電球調光回路部です。 

【 磁場変化式回路試作例 】


6 その他

 回路関係は上記で対応できると思いますが、一番大変なのは屋外設置をどのように行うかだと思います。 特にセンサの防水、防湿対策が必須です。

 また、電源供給方法をどうするかも悩ましいところです。 豆電球は消費電流が大きいので電源電圧変動の原因にもなります。 今回の試作でも、豆電球を点灯させると電力制御のDutyがふらつく(ジッタが大きくなる)現象が何度も発生しています。 電源ラインの引き回しには注意が必要です。


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