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Memorandumの小部屋

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デジカメを連続利用したい!!!の巻

はじめに

 本Webページの写真撮影にはデジカメPanasonic製DMC−TZ40(2013年発売)を利用しています。 このデジカメの選定理由は、デジカメ撮影時に振動などで画像がブレることを避けるためにタブレット端末(NEXSUS7)とWiFi接続できたのが主 な理由でした。 このデジカメの撮影に際してはリチウムイオン電池を利用することになります。 当初はUSB接続することで外部給電しながら撮影できるのかと思っていましたが、USB接続中は撮影できない仕様となっていました。

 

【 ACアダプタ接続時の起動メッセージ 】

 

 メーカ純正のリチウムイオン電池は高価なため2ndソース品のリチウムイオン電池(「電池容量はまだ残っちょる???の巻」参照)や専用の充電器を購入して利用していましたが、電池容量がそれほど大きいわけではなく連続撮影には不向きでした。 連続撮影途中でバッテリ切れすると撮影を中断して電池交換→WiFi再接続→デジカメ再設定→撮影状況再確認(撮影範囲、水平/回転、照明)などの 再開定作業が必要でした。 撮影中断となると作業効率が低下するうえに、撮影に集中する気持ちも途切れていまいます。 そのため、いつかは外部給電できるようにして連続撮影できるようにしたいと思っていました。

 特に連続撮影したくなるのは、「IchigoJamプリント基板完全組み立てキット T  (ICHIGOJAM-KKIT-T)」などの一部のキット類の紹介において基板製作途中の状況を写真撮影する場合です。 このような場合はデジカメは固定したままで よく、可搬性は必要とされません。 可搬性を犠牲にしてでも連続撮影できることが望まれます。  今回はこのようなケースに対応するデジカメの外部電源利用を試みた経緯を紹介します。

 最終的には秋月電子通商のACアダプタNP12−U0523(5Vdc 2.3A)と「TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット (K-06194)」 を採用して実現しました。 現在利用中の様子を以下に掲載します。

 

【 外部給電利用時の様子1 】

 

【 外部給電利用時の様子2 】

 


−  目次 −

1.接触部取出しアダプタ

2.電源アダプタ仕様

3.NJM2845電源アダプタ

4.KA350電源アダプタ

5.PQ033電源アダプタ

6.OKL−T/6−W12N−C(K−07728)

7.LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)

8.入出力2.5V〜15V同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)

9.TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)


1.接触部取出しアダプタ

 先日、「電池容量はまだ残っちょる???の巻」で銅板を用いて電池電圧測定をしましたが、その際に銅板を利用すれば デジカメに外部給電可能できるのではと思うようになりました。 早速、デジカメの電池部分をそのような視点で確認しました。

 

【 リチウムイオン電池格納状態 】

 

【 リチウムイオン電池接触部状態 】

 

 電池の上下部に銅板を通す若干の隙間はありそうです。 また、電池電極の接触金具も銅板に接触させやすい形状になっています。 この状況から、リチウムイオン電池を利用して、銅板を介して外部電源を電池接触金具に給電できるかを確認することにしました。

 利用するリチウムイオン電池は「電池容量はまだ残っちょる???の巻」で電池容量を測定した結果より、最も容量の小さいリチウムイオン電池を用い て接触部取出しに利用することにしました。

 

【 利用するリチウムイオン電池 】

 

 リチウムイオン電池は電池として利用するのではなく、接触部と銅テープの接触確保に用いる接触部取出しアダプタのボディとして利用します。 そのため、リチウムイオン電池の端子はポリイミドテープで絶縁します。 ポリイミドテープを採用した理由は、絶縁性に優れ、薄く、機械的強度に優れているためです。

 銅板は相当以前に購入していたダイソーの銅テープを利用しました。 この銅テープの再販は残念ながらないようです。 ダイソーなどの100円均一ショップを訪問する度に類似品を探しています、なかなか適切なものは見当たりません。

 

【 ダイソーの銅テープ 】

 

 比較的最近見つけたのは園芸用の下記商品です。 まだ未使用でハンダののりは不明ですが、量は相当少なくなっています。 

 

【 最近見つけた銅テープ 】

 

左:防虫銅テープ  右:今回利用したた銅テープ

【 銅テープ 新旧比較 】

 

 これらの部品を利用して接触部取出しアダプタを組み立てました。 何度か試作して最終的な接触部取出しアダプタの外観を以下に掲載します。

 

【 接触部取出しアダプタ外観1 】

 

【 接触部取出しアダプター外観2 】

 

 リチウムイオン電池の接触部と銅板が短絡しないように.リチウムイオン電池の接触部をポリイミドテープでマスキングします。

【 接触部取出しアダプター外観3 】

 

 今回製作した接触部取出しアダプタをデジカメに格納したときの様子を下記に掲載します。 銅板を取付けたことで抜き差しが難しくなりるのではと心配していましたが比較的に容易に出し入れできました。

 

【 接触部取出しアダプタ格納状態 】

 

 銅板や銅板に接続した電線をデジカメに固定するために、これらを電池格納部にポリイミドテープで貼り付けています。 そのため、電池格納部にあるSDカードをアクセスできなくなりました。 この対応として、専用のUSBケーブルを接続して、SDカードのデータをUSB経由で読み出すようにしました。 そのため、デジカメきは電源用電線とUSBケーブルが接続されるとになり、可搬性はとても悪くなりました。 (「はじめに」の外部給電利用時の様子の写真を参照願います。)

 


2.電源アダプタ仕様

 次に接触部取出しアダプタに接続する電源アダプタが必要です。 検討当初の電源アダプタ仕様を以下のようにしました。

出力電圧:

 リチウムイオン電池の代わりに利用しますので3.6〜4.2Vdcの範囲の安定化電源としました。 目標電圧は中央値である3.9Vdcとしました。
 

安定化回路:

 電圧可変する必要はありませんので、電圧固定の3端子レギュレータを利用することにしました。 希望する電圧範囲の出力電圧となる3端子レギュレータをストックしていませんでしたので、整流用ダイオードの順方向電圧降下(Vf=約0.7V程度)と3.3Vdc出力の3端子レギュレータを利用して希望する電圧を得ることにしました。
 

出力電流:

 リチウムイオン電池(1250mAH)の負荷電流が不明でしたので、約0.5Cと想定して625mA以上の3端子レギュレータを選定することにしました。 万一、過負荷電流となった場合にデジカメに少しでもダメージを与えないように余分な電流を流さない3端子レギュレータを選定することにしました。
 

入力電源:

 電源アダプタは、AC・DC変換に5V出力のACアダプタを利用することにしました。 このACアダプタの出力に電圧安定化回路を組み合わせることにしました。 ACアダプタは、手持ちの秋月電子通商で購入したNP12−U0523(5Vdc 2.3A)を利用することにしました。
 

 


3 NJM2845電源アダプタ

 最初に3端子レギュレータとして定格出力電流800mAの低ドロップ電圧のNJM2845(3.3V 800mA)の利用を検討しました。 この仕様で製作したNJM2845電源アダプタ の回路図を以下に示します。(回路図作成にはKiCADを利用しています。)

【 NJM2845電源アダプタ回路図 】

 

  NJM2845のGND端子に接続するダイオードD1は手持ちの1N4007を利用しました。 1N4007に限定する必要はなく、一般的な定格1A程度の整流用Siダイオードであれば型式にこだわる必要はありません。

 3端子レギュレータのGND端子電流変動によりD1の順方向電圧の変動を低減するために、D1にバイアス電流を流すようにR1を設けました。 R1は、D1に少なくとも数mAを流すために1kΩの抵抗 としました。 R1は3端子レギュレータの出力側に接続する方法もありますが、出力から無駄な電流を流したくないためR1を入力側に接続することにしました。 その弊害として、入力電圧に比例してD1の順方向 電圧降下が変動する、抵抗R1の損失が大きくなるなどの影響があります。 (今思えば、抵抗R1は出力側に接続しておけばよかったかなと若干後悔しています。)

 以下に製作例を掲載します。

 

【 NJM2845電源アダプタ外観1 】

 

【 NJM2845電源アダプタ外観2 】

 

【 NJM2845電源アダプタ外観3 】

 

【 NJM2845電源アダプタ外観4 】

 

  上記NJM2845電源アダプタの負荷として自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定しました。 電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。  下記の測定結果は、0mA〜約1200mAを何回か繰返した際のプロットです。 この測定結果より約1Aを超えると過電流保護が働いて出力電圧が低下しています。   
 なお、入力電圧は本基板の入力端子の電線接続部分で測定しています。 この部位はACアダプタ→DCジャック経由で接続されており、この間の電圧降下により入力電圧が低下して ると推測しています。 ACアダプタの出力電流容量 がそれなりにあってもACアダプタ電線の抵抗、DCジャック接触抵抗などにより電圧降下が生じることを意識しておく必要があることがわかります。

 

【 出力測定結果 】

 

 次に、自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて約0mA〜約1000mA出力における基板出力端のリップル、スイッチングノイズをデジタルオシロスコープDS1054Zで測定しました。  この測定では入力電源にシリーズレギュレータPS−304(最大30A出力)から5Vdcを供給して入力電源からのノイズ混入を低減しました。 さすがシリーズレギュレータ方式の結果となっています。
 

   0mA

100mA

500mA

1000mA

 

 参考までに環境のノイズ状況を観測した結果を下記します。 なお、上記測定とは異なる日時(11日後)に測定しています。 環境のノイズとして周期的なインパルス状のノイズが観測されました。 

 下記はデジタルオシロスコープDS1054Zのプローブ先端で信号用先端とGND用クリップを短絡して空中に放置したときの波形です。

 

【 プローブ短絡時の観測波形 】

 

 下記は被測定対象がノイズのアンテナになっていないかを確認するために、被測定対象としてOKL−T/6−W12N−C使用 小型高効率DCDCコンバータ可変電源キットの入力端子にプローブを接続した際の観測波形です。  この際、被測定対象は通電していない状態で、プロ―ブを接続しただけです。 この結果より被測定対象自体がノイズのアンテナになっているようでした。

 

【 プローブをDCDCコンバータに接続した時の波形観測 】

 

 当初、このNJM2845電源アダプタでデジカメを正常にオンできていました。 その際に、通電後の撮影待ち時の消費電流を測定した結果を下記に掲載します。

 

【 NJM2845電源アダプタの消費電流 】

 

 カメラの状態で消費電流は変動していましたが、リチウムイオン電池から600mAを超える電流が流れるようです。 当初予想した0.5Cの設計に近い値ですが、正直、思った以上に電流が流れることがわかり3端子レギュレータに余裕が少なく、 3三端子レギュレータの選定が適切ではないと思われました。

 次に、負荷電流が増加すると推測されるフラッシュ撮影の状態を確認づるためにフラッシュ強制発光設定にした途端、突然、レンズが出た状態でデジカメが電源オフしました。 再起動しようと電源を再投入しましたが、 直ぐに電源おhジュとなったり、レンズ 出し入れ動作リセット完了後に再びデジカメが電源オフする現象に陥りました。 何度電源オンしてもこの現象は再現して、状態を復旧することができなくなりました 。 最終的には電源をリチウムイオン電池に戻すことで復旧することができました。

 NJM2845電源アダプタの電圧・電流の変化をモバイル型絶縁高電圧入力レコーダ NR−2000を利用して瞬時変動を観測しました。  この測定器の時間分解能は3ch測定では10μsと若干荒いですが、A/D分解能14bitで長時間記録(秒単位)できますので小さい変化も捉えることができます。 本来はオシロスコープの方が時間分解能を短くできますが、A/D分解能が8bitと荒く記録時間もそれほど長く測定できないために、今回はNR−2000を利用しました。

 最初にフラッシュ停止状態でデジカメの電源をオン→電源オフ→電源オン→フラッシュ強制発光設定をしたときのNJM2845電源アダプタの出力電圧、出力電流をサンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。

 

【 デジカメ電源オンオフ/強制発光設定時 電圧・電流測定結果 】

 

 上記結果よりデジカメ消費電流は電源オン直後にピークで1Aを超えること、撮影待ち時は約400mA〜約800mA流れること、フラッシュ強制発光時に1400mAを超える電流が流れていることがわかりました。

 改めてサンプリング間隔10μsで観測した結果を下記に掲載します。 サンプリング間隔を短くすることで、瞬時に約1700mA流れること、電圧も3Vdc以下になることがわかりました。

 

【 デジカメ強制発光設定時の電圧・電流測定結果 】

 

 上記結果より、デジカメの消費電流が増加するために3端子レギュレータの過電流保護機能が働いて電圧が低下することを確認しました。 このためデジカメへの供給電圧不足となってデジカメ電源オフとなっているようです。 デジカメの消費電流が増加するのはフラッシュ発光用のコンデンサに充電する機能が動作するためではないかと推測しています。

 瞬時的な消費電流増加ですのでNJM2845電源アダプタの出力に電解コンデンサを追加することで電圧降下を低減できないかを確認してみました。 2200μFのコンデンサを3本並列し た計6600μFの電解コンデンサを接続した状態でフラッシュ強制発光設定してみましたが、やはりフラッシュ強制発光設定時に電源オフとなりました。

 

【 電解コンデンサ追加状態 】

 

 参考までに電解コンデンサ有無時におけるNJM2845電源アダプタの出力電圧、出力電流をサンプリング間隔10μsで測定した結果を下記に掲載します。

 

【 電解コンデンサ追加無し 】

 

【 電解コンデンサ6600μF追加有り 】

 

 上記の時間100m付近から電解コンデンサの効果が現れていますが、約126ms付近の電流増加には対応できずに出力電圧が低下しています。 また、NJM2845と電解コンデンサ容量増加の相性はよくないようであり、電圧に振動(ノイズ?)が生じています。 この結果より電解コンデンサでも改善はできないと判断しました。

 


4 KA350電源アダプタ

 デジカメの消費電流により過電流保護機能が動作しない手持ちの3端子レギュレータを探して、可変3端子レギュレータKA350(最大3A)を利用することにしました。   この3端子レギュレータの難点はドロップ電圧が3V以上あることです。 つまり、目標仕様である入力電源5Vdcを満足しないことになりますが、最大消費電流確認のデータ採取のために試行しました。 この仕様の回路図、製作例を以下に示します。 (回路図作成にはKiCADを利用しています。)
 ドロップ電圧3V対応として、今回はACアダプタの代わりにシリーズレギュレータPS−304(最大30A出力)を用いて入力電圧を可変して測定をしました。

【 KA350電源アダプタ回路図 】

 

【 KA350電源アダプタ外観1 】

 

【 KA350電源アダプタ外観2 】

 

【 KA350電源アダプタ外観3 】

 

【 KA350電源アダプタ外観4 】

 

  上記KA350電源アダプタの負荷として自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定しました。 電源供給は入力電圧を可変できるPS−304を用いて、入力電圧5Vdc〜7.5Vdcの範囲で可変しました。   下記の測定結果は、出力電圧が3V付近となるか0mA〜約2500mAの範囲で何回か繰返した際のプロットです。 この測定結果より入力電圧約7Vあれば2.5Aを超えても出力電圧低下のないことを確認しました。  なお、入力電圧が低下しているのはPS−304電源からKA350電源アダプタ入力部までの電線抵抗などに起因する電圧降下によるものです。

 

【 出力測定結果 】

 

   KA350電源アダプタを利用するならば、入力電源用のACアダプタの出力電圧7V以上を選定する必要があります。 手持ちのACアダプタとして秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−US0913(9V/1.3A)を用いることにしました。   測定結果を下記に掲載します。 下記は0mA〜約2500mAを何回か繰返した際のプロットです。 この測定結果より 約2Aを超えるとACアダプタの過負荷保護回路が動作して、(入力電圧が若干回復していることから推測するに)更に、約2.4Aを超えると KA350電源アダプタの過電流保護が働いて出力電圧が低下しています。 
 

【 出力測定結果 】

 次に、自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて約0mA〜約1000mA出力における基板出力端のリップル、スイッチングノイズをデジタルオシロスコープDS1054Zで測定しました。  この測定では入力電源にシリーズレギュレータPS−304から9Vdcを供給して入力電源からのノイズ混入を低減しました。 さすがシリーズレギュレータ方式の結果となっています。  (環境のノイズ状況を観測した結果はNJM2845電源アダプタを参照願います。)
 

   0mA

100mA

500mA

1000mA

 

 次にKA350電源アダプタを用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 今回は一連の動作を正常に 行うことができました。 その際のKA350電源アダプタの出力電流をサンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。  今回はKA350電源アダプタの出力電圧の低下もなく電流を測定できています。 

 

【 KA350電源アダプタ 消費電流 】

 

 上記結果よりデジカメ消費電流は電源オン直後にピークで1Aを超えること、撮影待ち時は約400mA〜約800mA流れること、フラッシュ強制発光時に1400mAを超える電流が流れていることがわかりました。 瞬時電流を調べるためにサンプリング間隔10μsで再度測定した結果を下図に掲載します。 出力電流のピークは約1.7Aで、そのときに出力電圧低下もありませんでした。 この結果より常時0.8A、短時間1.4A、瞬時1.7A程度の供給能力があればよいことを確認できました。  またACアダプタの選定NP2−1S0523(5V/2.3A)は要求仕様を満足することを確認できました。

【 KA350電源アダプタ ピーク出力電流 】

 


5 PQ033電源アダプタ

 目標仕様である入力電源5VdcのACアダプタNP2−1S0523(5V/2.3A)を利用するために、改めて短時間1.4Aを流せそうな手持ちの3端子レギュレータを探しました。 その結果、PQ033EZ1HZ(3.3V /1.5A)を試してみることにしました。 この仕様の回路図、製作例を以下に示します。 (回路図作成にはKiCADを利用しています。)

【 PQ033電源アダプタ回路図 】

 

【 PQ033電源アダプタ外観1 】

 

【 PQ033電源アダプタ外観2 】

 

【 PQ033電源アダプタ外観3 】

 

【 PQ033電源アダプタ外観4 】

 

  上記PQ033電源アダプタの負荷として自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定しました。 電電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。  下記の測定結果は、出力電圧が3V付近となるか0mA〜約2200mAの範囲で可変した際のプロットです。 この測定結果より約1.8Aまでは出力電圧低下のないことを確認しました。  なお、入力電圧が低下しているのはACアダプタNP2−1S0523(5V/2.3A)からPQ033電源アダプタ入力部までの電線抵抗などに起因する電圧降下によるものです。


 

【 出力測定結果 】

 

 次に、自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて約0mA〜約1000mA出力における基板出力端のリップル、スイッチングノイズをデジタルオシロスコープDS1054Zで測定しました。  この測定では入力電源にシリーズレギュレータPS−304から5Vdcを供給して入力電源からのノイズ混入を低減しました。 さすがシリーズレギュレータ方式の結果となっています。  (環境のノイズ状況を観測した結果はNJM2845電源アダプタを参照願います。)
 
 

   0mA

100mA

500mA

1000mA

 

 次にPQ033電源アダプタを用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 今回は一連の動作を正常に 行うことができました。 その際のPQ033電源アダプタの出力電流をサンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。  今回はKA350電源アダプタの出力電圧の低下もなく電流を測定できています。 

 

【 KA350電源アダプタ 消費電流 】

 

 デジカメ電源オン時の出力電流においてフラッシュ設定によってピーク電流に相違があるようでしたので、サンプリング間隔10μsで観測しました。 その結果を下記に掲載します。

【 デジカメ電源オン時出力電流(フラッシュ停止設定) 】

 

【 デジカメ電源オン時出力電流(フラッシュ強制発光設定) 】

 

 この結果よりフラッシュ強制発光設定時に対応するためには常時0.8A、短時間1.4A、瞬時1.7A程度の供給能力が必要であることがわかります。 NJM2845電源アダプタではデジカメ電源オン時にすぐに電源オフする現象がありましたが、この結果から電源オフが過電流保護回路が働いたためと確認できました。

 PQ033電源アダプタを利用することにしようと思いましたが、そういえば3端子レギュレータの放熱検討が済んでいません。 3端子レギュレータの損失は約1W(電圧ドロップ1.1V×常時電流0.8A=0.88W)になります。 製作例で利用した放熱器をもう少し大きい放熱器に変更したほうかよさそうです。

 発熱を考えるとノイズ発生を気にして検討を避けていたDCDCコンバータについても利用可能なキット類を検討しておくことにしました。 手持ちのキット類のなかから利用できそうな秋月電子通商の下記4点を測定・検討することにしました。

通販コード

キット名称

K−07728

OKL−T/6−W12N−C使用 小型高効率DCDCコンバーター可変電源キット(降圧)

K−09982

LXDC55使用DCDCコンバータキット (降圧 可変出力)

K−11212

入出力2.5V〜15V 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキット LTC3111使用

K−06194

TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット (注意:シリーズレギュレータ)

 


6.OKL−T/6−W12N−C(K−07728)

 OKL−T/6−W12N−C(K−07728)(出力電流6A)の詳細はリンク先を参照願います。 参考までに外観を下記に掲載します。

 

【 OKL−T/6−W12N−C(K−07728) 外観 】

 

 OKL−T/6−W12N−C(K−07728)に自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定し た結果を下記に掲載します。 電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。  下記の測定結果は、0mA〜約3000mAを何回か繰返した際のプロットです。 この測定結果より約3Aを超える供給能力があることを確認できました。
 

【 出力測定結果 】

 次にOKL−T/6−W12N−C(K−07728)を用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 この一連の動作を正常に 行うことを確認できました。 その際のOKL−T/6−W12N−C(K−07728)の出力電流を サンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。 

 

【 OKL−T/6−W12N−C(K−07728) 出力電流 】

 


7.LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)

 LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)(出力電流1.5A)の詳細はリンク先を参照願います。 参考までに外観を下記に掲載します。

 

【 LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982) 外観 】

 

 LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)に自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定し た結果を下記に掲載します。 電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。 測定結果より約2.5Aを超えると出力電圧が低下しています。
 

【 出力測定結果 】

 次にLXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)を用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 この一連の動作を正常に 行うことを確認できました。 その際のLXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982)の出力電流を サンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。 

 

【 LXDC55使用DCDCコンバータキット(降圧 可変出力)(K−09982) 出力電流 】

 


8.入出力2.5V〜15V同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)

 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)(出力電流3A)の詳細はリンク先を参照願います。 参考までに外観を下記に掲載します。

 

【 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212) 外観 】

 

 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)に自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定し た結果を下記に掲載します。 電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。 測定結果より約2Aを超えると出力電圧が低下しています。
 

【 出力測定結果 】

 次に同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)を用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 この一連の動作を正常に 行うことを確認できました。 その際の同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212)の出力電流を サンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。 

 

【 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットLTC3111使用(K−11212) 出力電流 】

 


9.TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)

 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)(出力電流1A)の詳細はリンク先を参照願います。 参考までに外観を下記に掲載します。 この電源キットの出力電流は1Aと常時電流0.8Aを満足していますが、短時間電流1.4A、瞬時電流1.7Aは満足していません。 通常なが ら仕様的には対象外ですが、シリーズレギュレータのためノイズ発生が非常に小さいこと、放熱効率のよい基板(ECOOL)を採用している点から対象に含めました。

 

【 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194) 外観 】

 

 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)に自作電子負荷動(FET+抵抗)を用いて出力電圧v.s.出力電流の出力特性を測定し た結果を下記に掲載します。 電源供給は秋月電子通商で購入したACアダプタNP12−1S0523(5V/2.3A)を用いています。  下記の測定結果は、0mA〜約2300mA〜0mAと変化させた際のプロットです。 この測定結果より約1.5Aを超えると過電流保護が働いて出力電圧が低下しています。 今回の用途で生じるピーク出力電流1.7Aはどうにか利用できるようです。
 

【 出力測定結果 】

 

 次にTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)を用いてデジカメ の電源オン→フラッシュ強制発光→電源オフ→電源オン→フラッシュ停止設定→出源オフ→電源オン→電源オフの操作をしたときの消費電流を測定しました。 この一連の動作を正常に 行うことを確認できました。 その際のTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)の出力電流を サンプリング間隔1msで測定した結果を下記に掲載します。 

 

【 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194) 出力電流 】

 

 最終的にPQ033電源アダプタではなく、放熱しやすいTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)を利用することにしました。 そうです、個人利用です。 動けばいいのです。 自己責任です。 ( 何て都合のよい話だ!!!!! 仕事では絶対にありえません。)

 出力電流に余裕がありませんのでフラッシュ強制発光設定時、電源オン時の出力電圧低下有無の確認をしました。

 

【 フラッシュ強制発光設定時 】

 

【 デジカメ電源オン時出力電流(フラッシュ停止設定) 】

 

【 デジカメ電源オン時出力電流(フラッシュ強制発光設定) 】

 

 上記結果より常時/短時間/瞬時電流において出力電圧の低下は生じていないようです。 動けばよいということでTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)を正式採用することにしました。 なお、TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット(K−06194)の紹介Webページに掲載しています放熱器を取付けています。

 ところで、常時電流を測定していると、撮影している画像で出力電流が変化しているようでした。 参考までに背景白と背景黒の場合の出力電流を測定してみました。 結構、違いがあるようです。

 

【 背景白 】

 

【 背景黒 】

 


 以上、デジカメの外部電源利用は成功しました。 その後、24時間連続通電の確認も済ませました。 今回の一連の試みで特に印象に残ったのはデジカメの消費電流の大きさとリチウムイオン電池の性能のすごさです。 デジカメの小型化にリチウムオン電池が如何に寄与しているかを思い知らされました。


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