Memorandumの小部屋
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見たくないものは見えません! 電池液漏れリモコン修理失敗の巻
1.はじまり
とある日、とあるお宅のエアコンのリモコンが電池の液漏れのために動作しないとの相談がありました。 一度様子を見ましょうとお話をしていたところ、正常に動作しはじめたとの連絡がありました。 電池の液漏れで基板パターンがダメージを受けていないか気になりましたので、念のために確認しましょうということで持ってきてもらいました。
早速、リモコンの電池ボックスを確認したところ、−側電池接続金具が腐食していましたので電池の電気的接触の劣化を防止のためにハンダメッキをしました。
【 リモコン裏面電池ボックス部外観 】
【 −側電池接続金具(左側) ハンダメッキの様子 】
次に基板パターンを確認しようとしたところ、金具の隙間から基板部分が全面シルク印刷されていることを確認できました。 「お! これは凄い! 液漏れを想定して見える部分に全面シルク印刷を施している」と勝手に思い込み、リモコンの分解確認をするまでもないと判断しました。
(全面シルク印刷 → よく考えれば、液漏れをしても基板に影響が及ばないような設計にすべきなのですが、ここでも自分に都合の良いように思っていました。)
今になって見ると、液漏れの影響が丸わかり(金具下のスルーホールが変色しています。)なのですが。。。。。 自分のリモコンではないので、できればリモコンを分解したくないとの気持ちがありました。 そのためか、見たくない物は見えない状態に陥っていました。
その後、電池をセットするとリモコンが正常に立上り時刻設定を要求してきました。 時刻設定後、てリモコンが正常動作していることを確認して返却しました。 これで作業終了のはずでした。。。。。
2.翌日のこと
翌日、「リモコンの時刻設定ができない」との連絡が来ました。 あれっ?????? 再び、出戻りのリモコンを操作してみると、確かに時刻設定のスイッチに反応がありません。
【 時刻設定入力待ち画面 】
リモコンを分解して基板を取り出しました。 古い設計なのか、マイコンがここにいるぞ!と強く主張している基板でした。 また、スイッチも機械式のタクトスイッチが誓われていました。 タクトスイッチ付きのリモコンはなかなかお目にかかれません。 通電前にタクトスイッチの接点開閉をテスターの抵抗測定で確認をしました。 タクトスイッチは正常でした。 電池を接続して通電すると、やはり時刻設定ができませんでした。
【 基板取出し後の時刻設定入力待ち画面(基板操作面側) 】
その後、テスターで要所要所の電圧チェックをしていると、ランダムに時刻数値が変化することに気付きました。 振動で症状(動作)が変化しているようです。 その気になってもう一度基板を凝視していくと、何と液漏れによる電解液結晶がスルーホール(ビアホール)の穴に残っていることに気付きました。
【 基板裏面側外観 】
【 電池接続金具付近外観 】
【 電池液漏れ結晶付着状態1 】
【 電池液漏れ結晶付着状態2 】
3.対策方針・対策作業
電池液漏れ結晶が小さい穴に入り込んでいるため、これを除去するのは難しそうです。 洗浄液で基板ごと洗浄することも考えましたが、液晶パネルが実装されているため洗浄は諦めました。 最終的に、電池液漏れ結晶が入り込んでいるスルーホールが腐食で接触不良になるとの想定で、当該スルーホールの前後パターンを電線で接続しておくことにしました。
接続用電線はスルーホール穴を貫通できる細い電線が望まれます。 今回は「ロジック回路の配線にはワイヤーペンを使おう!!」で紹介しているワイヤーペン用のポリウレタン電線を利用することにしました。 ポリウレタン電線は久々の出番となりました。
【 ワイヤーペン外観 】
【 手持ちのポリウレタン電線リール(ボビン) 】
実際の作業としては、当該スルーホールの前後パターンをポリウレタン電線1とポリウレタン電線2の合計2本のポリウレタン電線で接続しました。
【 ポリウレタン電線1(基板操作面側) 】
【 ポリウレタン電線1 接続位置(上側)(基板操作面側) 】
【 ポリウレタン電線1 接続位置(下側)(基板操作面側) 】
【 ポリウレタン電線2 接続位置(下側)(基板操作面側) 】
【 ポリウレタン電線2(基板裏面側) 】
【 ポリウレタン電線2 接続位置(上側)(基板裏面側) 】
【 ポリウレタン電線2 接続位置(下側)(基板裏面側) 】
【 ポリウレタン電線1 接続位置(上側)(基板裏面側) 】
4.動作確認
以上の作業を実施した後に動作確認をしました。
スイッチ入力ができることを確認できました。
【 時刻設定入力待ち画面 】
【 時刻設定完了後の待機画面 】
正常に立ち上がることを確認できました。 やはり、修理では、過去の経験に素直にしたがい、見たくない物もしっかり見ることが大切であることを痛感しました。
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