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Memorandumの小部屋

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ファンクションジェネレータ出力波形を滑らかにする

アナログアダプタ基板「nameraka」 ADALM2000をもっと便利に!

 

 「高機能アクティブラーニングモジュールADALM2000」のファンクションジェレータ出力信号 が小振幅信号のときに出力波形の階段状変化が目立ちます。 このWebページはこの階段状変化を緩和するために利用しているアナログアダプタ基板「nameraka」を製作した経緯を記録として残した個人的なメモです。  注意していただきたいのは本Webページのアナログアダプタ基板「nameraka」はオーディオ帯域の小振幅信号の正弦波を対象としている点です。 正弦波以外は期待するような波形を得ることはできません。

 とはいえ、制約はあるものの正弦波以外の波形でも階段状変化を低減した小振幅信号を得ることができています。 7節以降にこの経緯を掲載しています。


− 目次 −

1.はじめに

2.アナログアダプタ基板「nameraka」の製作

3.使用例:ボード線図

4.使用例:階段状変化低減

5.使用例:ローパスフィルタ用キャパシタ静電容量の効果

6.使用例:ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位

7.使用例:ゲイン調整、DCレベル調整

8.使用例:入力信号振幅の影響

9.使用例:10Vpp入力信号による小振幅信号の階段状変化低減
 


1.はじめに

 「ADALM2000」はとても便利なツールです。(でも、本Webページ公開時の値段高い! これ では買う気がおきない。)  個人的にはファンクションジェネレータ(特にmHzレベルの超低周波用ファンクションジェネレータ)やボード線図(*1)取得には重宝しています。

(*1 ANALOG DEVICES社の製品紹介ではボーデ線図と表記していますが、本Webページではボード線図と表記します。)

 ファンクションジェネレータの操作画面も使い慣れると扱いしやすいです。 が、設定値だけを頼りに波形出力を期待するとトンでもない波形となります。 正弦波、1kHz、50mVppで設定した ファンクションジェネレータ出力波形を「DS1054Z」で観測したときの波形を下記に掲載します。 なお、 「ADALM2000」にもA/Dコンバータ機能がありますが、観測 波形に対して分解能が適していないため「DS1054Z」で観測しました。

 

【 ファンクションジェネレータ設定 】

 

オシロ波形(黄色)

入力波形 10mV/div

オシロ波形(時間軸)

200μs/div

【 波形観測結果 】

 

 観測波形が階段状に変化するのは当然です。 「ADALM2000」のW1/W2信号の仕様によればスパン±5V、分解能12bitとなっています。 この仕様では最小分解能約2.44mV(=10V÷4095)となると思っていましたが、どうも違うようです。 Constant設定で確認すると、0mV付近(−33mV〜+31mV設定)の観測から約4.1mV刻みで出力が変化している結果となりました。 この結果をどう考えるかは棚に上げて、観測結果から分解能は約4mVと認識することにしました。

 小振幅信号が階段状に変化するのは気持ちの良いものではありません。 やはり連続的な信号変化が欲しいです。 と、いうことでアナログアダプタ基板「nameraka」を製作して利用しています。

 

注意1

 本Webページでは「オフセット調整=入力0V時における出力電圧を0Vに合わせ込む調整」、「DCレベル調整=出力波形にDC成分を重畳する調整」と使い分けています。 

 

注意2

 「デジタルオシロスコープ DS1054Z」を利用して波形観していますが、mVオーダの波形を観測するとノイズが多く観測されます。 そのため、本Webページに掲載している波形は 特に記載していない限りアベレージング16回の波形を利用しています。

 

【 アベレージング未実施(シングルショット波形)の観測波形例 】

 

【 アベレージング16回の観測波形例 】

注意3

 正弦波をSineと表記しています。 これは「ADALM2000」用アプリScopy の表記に合わしています。 

 

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2.アナログアダプタ基板「nameraka」の製作

 アナログアダプタ基板「nameraka」は基本的にはオーディオ帯域の信号を対象としています。 高くても数10kHzを想定しています。 回路構成は単純な反転アンプを2段直列接続しています。 1段目は積分回路を用いたローパスフィルタ回路、2段目はバッファアンプもしくはゲインオフセット調整回路としました。 回路定数を変更できるようにヘッダーピンを用いたジャンパーを多く設けて、用途に応じて回路や部品定数を調整・変更できるようにしています。 回路図を下記に掲載します。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

【 アナログアダプタ基板「nameraka」 回路図 】

 

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観1 】

 

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観2 】

 

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観3 】

 

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観4 】

 

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観5 】

 

青色電線は−Vddの配線です。

【 アナログアダプタ基板「nameraka」外観6 】

 

 オペアンプの電源仕様は単電源12Vdc以上、2電源では±18Vdc以上をお勧めします。 今回は信号振幅を拡大する用途も考慮してNJM4580DDを利用しました。 特にお勧め の型式はありませんが、入力電圧範囲・出力電圧範囲・使用する信号の周波数を考慮して選定します。

 アナログアダプタ基板「nameraka」の電源はとても重要です。 アナログアダプタ基板「nameraka」で使用するオペアンプの入力電圧範囲、出力電圧範囲は電源電圧に大きく影響を受けます。 外部電源(±12Vdcもしくは±15dcなど)の利用をお勧めします。 外部電源(±12Vdcもしくは±15dcなど)を利用することで「ADALM2000」で取り扱う電圧範囲をそのまま扱うことができます。 ただし、 アナログアダプタ基板「nameraka」で取り扱う入出力信号の電圧が±2Vの範囲であれば、「ADALM2000」の内蔵電源V+・G・V−端子を 電源として利用できると推測できます。 

 JP2はR1とJP2を用いてパッシブタイプのロ―パスフィルタを構成できるようにするものです。 この基板は順次アップデートして製作しました。 当初はR1とJP2でローパスフィルタを構成することを考えていました 。 しかし、低周波域のローパスフィルタではJP 2に接続するキャパシタの静電容量が大きくなり、手持ちの無極性キャパシタ が無い事が多々ありましや。 この場合は単極性信号入力としてJP2に有極性キャパシタを利用していました、 しかし、用途が限られるため現在ではJP2をほとんど利用し ていまません。 R1とJP2は遺産として残しているだけです。 R1はゲイン誤差を増やしているだけなのでJP2・R1は削除しても構いません。

【 JP2用接続部品 回路例 】

 

【 JP2用接続部品 外観例 】

 

 JP3は積分回路のキャパシタC2を変更するために設けています。 3極のピンヘッダとしています。 2極のジャンパーピンで2番ピンと3番ピンを短絡するとC3(製作例では1μF)が有効となります。 1番ピンと3番ピン間に外付けキャパシタC2extを接続することで、別の静電容量のキャパシタに変更することができます。 なお、C2は有極性っキャパシタを利用することはできません。 また、電圧により静電容量が大きく変化する 強誘電体を用いた積層セラミックキャパシタも避けるべきです。 フィルムキャパシタや古くからある円盤状のセラミックキャパシタがお勧めです。

 

【 JP3用接続部品 回路例 】

 

【 JP3用接続部品 外観例 】

 

 JP4は2段目のオペアンプのゲインを変更するために設けています。 「ADALM2000」の ファンクションジェネレータ出力に最大振幅は±5Vですが、 アナログアダプタ基板「nameraka」の出力振幅を±10Vに拡大することを想定して設けたものです。 この場合はJP4の抵抗を可変抵抗器に置き換えて約5kΩに調整し ます。 この場合は アナログアダプタ基板「nameraka」の電源は「ADALM2000」 の内蔵電源(最大±5Vdc)ではなく、±12Vdc以上の電圧を供給することのできる外部電源を利用します。
 JP4は3極のピンヘッダとしています。 2極のジャンパーピンで1番ピンと2番ピンを短絡するとR4(製作例では10kΩ)が有効となります。 1番ピンと3番ピン間に外付け抵抗R4extを接続することで、別の抵抗に変更することができます。 可変抵抗器に変更することで微調整をすることもできます。 なお、外付け抵抗R4extは最小値1kΩとなるようにすることをお勧めします。 絶対に低抵抗値(利用するオペアンプにより最小抵抗値は異なります。)となることのないようにすることが必要です。 1段目のオペアンプ出力が過負荷とならないようにする必要があります。

 

【 JP4用接続部品 回路例 】

 

【 JP4用接続部品 外観例 】

 

 JP5は出力振幅を小さくするために設けています。 また、積分回路にすることもできます。 もともとは「ADALM2000」の最大振幅設定状態のまま、 アナログアダプタ基板「nameraka」の出力振幅を小さくして階段状の変化を小さくすることを想定して設けたものです。

 

【 JP5用接続部品 回路例 】

 

【 JP5用接続部品 外観例 】

 

 JP6は出力電圧のオフセット調整用VRを有効にするために設けています。 「ADALM2000」の ファンクションゲネレータ出力波形0mV設定時に生じている数mVのオフセットをキャンセルしたい場合があります。 この際、JP5に高抵抗(100kΩ以上)を接続してVR1(10kΩ)で オフセット調整(0点補正)をします。 なお、R6extの抵抗値を小さくすることで変更範囲を拡大できます。 この場合は0点補正ではなく DCレベル調整用と名目用途を変更しています。

 

【 JP6用接続部品 回路例 】

 

今回利用した抵抗の色の識別が難しいです。 右側の抵抗のカラーコードは茶・黒・橙です。

【 JP6用接続部品 外観例 】

 

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3.使用例:ボード線図

 小振幅信号時の階段状変化を低減するためには信号の周波数によりC3もしくはC3extの静電容量を変更する必要があります。 静電容量を選定する際に目安となるのがボード線図です。 今回は C3もしくは C3extのキャパシタ静電容量を10pF・100pF・1nF・10nF・100nF・1μFに変えてボード線図を採取してみました。 ボード線図取得は当然、「ADALM2000」とアプリScopyを利用しています。 

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

1Vpp

周波数

1Hz〜5MHz (測定毎に調整)

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

10pF・100pF・1nF・10nF・100nF・1μF

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図1 】

 

【 ボード線図 (C3・C3ext 未接続、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C3ext=10pF、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C3ext=100pF、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C3ext=1nF、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C3ext=10nF、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C3ext=100nF、NJM4580DD) 】

 

【 ボード線図 (C2=1μF、NJM4580DD) 】

 

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4.使用例:階段状変化低減

 アナログアダプタ基板「nameraka」に小振幅信号を入力したときの入出力波形を比較しました。 入力信号波形は「ADALM2000」のファンクションジェネレータで設定できる波形としていま した。 当初の目的である正弦波は基本波成分が支配的なため、期待に沿う波形を得ることができます。 それ以外の波形は高調波成分が多いため入力波形に対していびつな波形となっています。  アナログアダプタ基板「nameraka」は正弦波を対象と していますので、正弦波以外の波形では期待に沿わない出力波形となります。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

C3ext 1nF(1000pF)

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図2 (階段状変化低減) 】

 

【 正弦波(Sine)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較(初期) 】

 

 このまま測定を継続しようと思いましたが、出力波形の振幅変化(高調波成分起因)とオフセット電圧の変化が目立ちましたので出力波形のゲイン調整・オフセット調整をすることにしました。 方法としては、JP 4に可変抵抗、JP6に抵抗100kΩを接続しました。 JP4の半固定抵抗で出力波形の振幅を調整し、半固定抵抗VR1でオフセット電圧を調整しました。 これで出力波形の最大電圧と最小電圧を入力波形に近づけています。 このように、 アナログアダプタ基板「nameraka」のシャンパー設定を変えることでゲイン調整・オフセット調整をすることができます。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

C3ext 1nF(1000pF)

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

100kΩ抵抗

【 測定回路図3 (ゲイン調整・オフセット調整) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 】

 

【 方形波(Square)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 方形波(Square)入出力波形比較 】

 

【 三角波(Triangle)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 三角波(Triangle)入出力波形比較 】

 

【 台形波(Trapezoidal)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 台形波(Trapezoidal)入出力波形比較 】

 

【 立上りのこぎり波(Rising Ramp Sawtooth)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 立上りのこぎり波(Rising Ramp Sawtooth)入出力波形比較 】

 

【 立下りのこぎり波(Falling Ramp Sawtooth)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 立下りのこぎり波(Falling Ramp Sawtooth)入出力波形比較 】

 

【 階段波(Stair Step)ファンクションジェネレータ設定値 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 階段波(Stair Step)入出力波形比較 】

 

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5.使用例:ローパスフィルタ用キャパシタ静電容量の効果

 アナログアダプタ基板「nameraka」の通常のローパスフィルタカットオフ周波数はC3もしくはC3extの静電容量により決 まります。 この静電容量を変えたときの入出力波形を比較してみました。 

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続、または、
10pF・100pF・1nF・10nF・100nF・1μF

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

100kΩ抵抗

【 測定回路図4 (ローパスフィルタ用キャパシタ静電容量の効果) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (JP3未接続) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3ext:10pF) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3ext:100pF) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3ext:1nF) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3ext:10nF) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3ext:100nF) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs/div

g【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (C3:1μF) 】

 


6.使用例:ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位

 ローパスフィルタ用カットオフ周波数を決めるキャパシタはJP2、JP3,JP5に接続することができます。 カットオフ周波数を決める対となる抵抗は、JP2はR1(1kΩ)、JP 3はR2(100kΩ)、JP5はR4(10kΩ)となりますので、同じ静電容量でもカットオフ周波数が変わります。 試しに1nFのキャパシタを夫々の部位に接続したときのボード線図を採取した結果を下記に掲載します。 これは手持ちキャパシタ1種類で3通りのカットオフ周波数を設定できることを意味しています。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

1nF(1000pF)

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図5 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:未接続) 】

 

【 ボード線図 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:未接続) 】

 

 

se sf

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

1nF(1000pF)

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図6 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP2) 】

 

【 ボード線図 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP2) 】

 

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

1nF(1000pF)

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図7 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP3) 】

 

【 ボード線図 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP3)) 】

 

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mV

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

2番〜3番ピンを短絡

ジャンパーJP5設定

1nF(1000pF)

ジャンパーJP6設定

未接続

【 測定回路図8 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP5) 】

 

【 ボード線図 (ローパスフィルタ用キャパシタ接続部位:JP5) 】

 


7.使用例:ゲイン調整、DCレベル調整

 JP4に抵抗もしくは可変抵抗器を接続して、抵抗R4(10kΩ)の抵抗を置き換えることで、2段目のゲインを小さくしたり大きくしたりできます。 ここではゲインを大きくする例を 示します。 例えば、ファンクションジェネレータの振幅を 5Vpp(信号電圧範囲−2.5V〜+2.5V)に設定した状態でゲインを約2倍にすることで出力振幅を10Vppにできます。  また、+2.5VdcのDCレベルを重畳することで出力電圧範囲を0V〜+10Vにできます。 正弦波と三角波の例を下記に示します。 なお、入出力信号の電圧仕様の制限がありますので、アナログアダプタ基板「nameraka」の電源を外部電源(±12Vdcもしくは±15dcなど)から供給 しました。
 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

5Vpp

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

10kΩ抵抗

【 測定回路図9 (ゲイン調整、DCレベル調整:入力5Vpp) 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 2V/div

時間軸

200μs/div

0Vレベル

黄色・水色ともに下から2div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (入力5Vpp) 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 2V/div

時間軸

200μs/div

0Vレベル

黄色・水色ともに下から2div

【 三角波(Triangle)入出力波形比較 (入力5Vpp) 】

 

 同じ測定回路でファンクションジェネレータの振幅を50mVpp (信号電圧範囲−25mV〜+25mV)に設定した状態でゲインを約2倍にすることで出力振幅を100mVppに調整しました。  また、+25mVのDCレベルを重畳することで出力電圧範囲を0V〜+100mVにしました。 正弦波と三角波の例を下記に示します。  出力波形の階段状変化も約4mVから8mVに増幅されています。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mVpp

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

10kΩ抵抗

【 測定回路図9 (ゲイン調整、DCレベル調整:50mV時) 】

 

黄色

入力波形 20mV/div

水色

出力波形 20mV/div

時間軸

200μs/div

0Vレベル

黄色・水色ともに下から2div

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 (入力50mVpp) 】

 

黄色

入力波形 20mV/div

水色

出力波形 20mV/div

時間軸

200μs/div

0Vレベル

黄色・水色ともに下から2div

【 三角波(Triangle)入出力波形比較 (入力50mVpp) 】

 

 改めて入力5Vpp時の階段状変化を確認すると下記の結果となりました。 上記のように8mVの変化ではなく、階段状に変化が目立たなくなっています。 この結果から階段状変化を低減する別の方法もあることがわかります。 本件は次の節に続きます。

 

黄色

入力波形 2V/div
→ 時間軸が1μ/divのため水平に見えます。

水色

出力波形 20mV/div  (波形表示は飽和しています。)

時間軸

1μs/div

0Vレベル

黄色・水色ともに下から2div

【 三角波(Triangle)入出力波形比較(出力波形段差確認) 】

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8.使用例:入力信号振幅の影響

 アナログアダプタ基板「nameraka」は入出力信号ともオーディオ帯域の小振幅信号を対象としています。 そのため1LSB分変化するまでの時間は数μs〜数100μsと長くなります。 これは アナログアダプタ基板「nameraka」で使用しているオペアンプが応答できる周波数帯域ともほぼ合致します。 一方、ファンクションジェネレータの出力振幅 を大きくすると1LSB分変化するまでの時間は1μs以下と短くなります。 そのため、オペアンプは応答できなくなり 、階段状の波形が低減、もしくは、確認できなくなります。 つまり、アナログアダプタ基板「nameraka」のローパスフィルタを用いた「階段状変化を連続変化させる」機能を利用せずとも階段状の変化を低減できることになります。
 ただし、オペアンプの応答を利用する方法は、使用するオペアンプ特性のばらつき(個体差、ロット間差、2ndベンダー間差の各ばらつきは予想以上に大きいです。)や 同一ピン配列の別型式オペアンプにより出力波形は変わります。 このようなオペアンプ性能に大きく依存する回路は避けるべきです。

 が、このアナログアダプタ基板「nameraka」は個人的・特定目的の利用です。 目的を達すればよいということで、オペアンプの特性に依存する方法を探求してみます。  まずは三角波の振幅を変更したときの0V付近の入出力波形の変化を観測してみました。 回路は前節回路図9のままです。

 

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

50mVpp〜10Vpp(三角波)

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗 (ゲイン2倍)

ジャンパーJP5設定

未接続

ジャンパーJP6設定

100kΩ

【 測定回路図10 (入力信号振幅の影響) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div

水色

出力波形 20mV/div

時間軸

100μs/div

【 三角波形 入力振幅50mVppの場合(時間軸100μs/div) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div (波形表示は飽和しています。)

水色

出力波形 20mV/div (波形表示は飽和しています。)

時間軸

50μs/div

【 三角波形 入力振幅100mVppの場合(時間軸50μs/div) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div (波形表示は飽和しています。)

水色

出力波形 20mV/div (波形表示は飽和しています。)

時間軸

5μs/div

【 三角波形 入力振幅1Vppの場合(時間軸5μs/div) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div (波形表示は飽和しています。)

水色

出力波形 20mV/div (波形表示は飽和しています。)

時間軸

1μs/div

【 三角波形 入力振幅5Vppの場合(時間軸1μs/div) 】

 

黄色

入力波形 10mV/div (波形表示は飽和しています。)

水色

出力波形 20mV/div (波形表示は飽和しています。)

時間軸

500ns/div

【 三角波形 入力振幅10Vppの場合(時間軸500ns/div) 】

 

 上記のように入力振幅を大きくすることで階段状変化を低減していました。

 

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9.使用例:10Vpp入力信号による小振幅信号の階段状変化低減

  前節の結果より入力信号振幅を大きくくることで出力波形に含まれる階段状の変化を低減できることがわかりましたので、「ADALM2000」のファンクションジェネレータで出力できる最大振幅10Vppを入力信号として、アダプタ基板のゲインを約1/200として50mVpp出力波形を確認してみました。

 

sm sn

上記回路図をクリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。

測定用信号振幅

10Vpp

周波数

1kHz

ジャンパーJP2設定

未接続

ジャンパーJP3設定

未接続

ジャンパーJP4設定

100kΩ半固定抵抗

ジャンパーJP5設定

470Ω(ゲイン約1/200)

ジャンパーJP6設定

10kΩ抵抗

【 測定回路図11 (10Vpp入力信号による小振幅信号の階段状変化低減) 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 正弦波(Sine)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 方形波(Square)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 三角波(Triangle)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 台形波(Trapezoidal)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 立上りのこぎり波(Rising Ranmp Sawtooth)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 立下りのこぎり波(Falling Ranmp Sawtooth)入出力波形比較 】

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 10mV/div

時間軸

200μs

【 階段波(Stair Step)入出力波形比較 】

 

 上記のようにローパスフィルタを用いなくても階段状変化を低減(見かけ上ほぼ無し)にできました。 インパルス状波形でない限り、任意のオーディオ帯域の入力波形そのままに小振幅信号として得ることができました。
 なお、ファンクションジェネレータ信号の周波数が低くなると低減効果が無くなると推測されました。 三角波、周波数1Hzで出力波形を確認した結果を下記に掲載します。

 

黄色

入力波形 2V/div (16回平均波形)

水色

出力波形 10mV/div (16回平均波形)

時間軸

100ms

【 1Hz三角波(Triangle)入出力波形比較 】

 

 上記波形では出力波形に階段状変化を確認できませんでした。 波形平均化が起因して階段状変化が判別でなくなっている可能性があります。 出力波形用プローブを×10から×1に変更して電圧分解能を1mV/divにしてシングルショット波形で確認しました。 その結果を下記に掲載します。 シングルショット波形のためノイズだらけの波形ではありますが、入力波形には階段状変化をはっきりと確認できましたが、出力波形では明らかな階段状変化を捉えていません。

 

黄色

入力波形 20mV/div (シングルショット波形)

水色

出力波形 1mV/div (シングルショット波形)

時間軸

100μs

(黄色波形中央付近で1LSB分突出しています。 DDS機能に問題有り?)

【 1Hz三角波(Triangle)入出力波形比較(拡大) 】

 

 ただし、良い点ばかりではありません。 細かく見ていくと不要な高調波成分が生じたり、比較的低い周波数でも波形の意図しない歪が生じることが確認されています。 とにかくオペアンプの特性に大きく影響を受けています。 一般的な電子回路としては再現性に問題が有ります。 (再び、)しかし、このアナログアダプタ基板「nameraka」は個人的・特定目的の利用 です。 目的を達すればよいということで、オペアンプの特性に依存する方法を採用することにしました。 当初の目論見からは逸脱していますが、結果良ければ全て良し。

 参考までに注意点を記載しておきます。 

注意1

 ステップ状の変化では出力波形にリンギングが生じます。 リンギングの状態はオペアンプによって大きく変化します。 動作不具合やノイズの原因となります。

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形 20mV/div

時間軸

500ns

【 リンギング波形例 】

 

注意2

 出力波形が歪むことがあります。

  下記は20kHzの三角波を入力した場合です。 三角波の頂上部分を越えた後に段差状に波形がわずかに急変しています。 これは入力信号の振幅に関わらず生じているようです。 オペアンプの1段目出力(3番ピン)波形も確認しましたが、既に1段目出力で歪が発生しています。  これもオペアンプの特性の影響を大きく受けているようです。

 

黄色

入力波形 2V/div

水色

出力波形(2段目アンプ) 20mV/div

桃色

出力波形(1段目アンプ:反転出力) 2V/div

時間軸

5μs

【 波形歪例 】

 


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