Memorandumの小部屋
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電話つかちょる ピカピッカ
1.背景
固定電話では、普通の人は通話後に受話器を電話機本体に戻します。 でも受話器を戻さないと、いつまでたっても外部からかかってくる電話を着信ができません。 電話をかけてくる人には、「あんたー長電話が好きじゃね」と思われているに違いありません。 いえいえ、そんなことはありません。 ちょっと受話器を置き間違えただけなのです。 さあ、受話器を戻していないとピカピカするインジケータをつくりましょう。 これで、長電話ともおさらばです。
そうそう、我が家は未だにISDNを利用しており、個人所有のISDNルータと電話器の間のアナログ電話回線を使っています。 今回の紹介対象はこの個人所有の財産の範囲を対象にしています。 NTTの財産ではありません。 また、この紹介内容を参考にして何か不具合、支障が生じたとしても、当方は一切関知しません。
なお、「つかっちょる」は、地元の方言で「使っている」を意味します。 「浸かっている」も「漬かっている」も「つかっちょる」ですが、ここでは「使っている」のつもりです。 ちなみに山口県PR本部長キャラクターは”ちょるる”というそうです。
2. 「電話つかっちょる ピカピッカ」の製作
2.1 「電話つかっちょる ピカピッカ」 構想
「電話つかっちょる ピカピッカ」による受話器状態の検出方法として、当初、電話器本体の液晶表示状態を光の強弱で検出しようと考えていました。しかし、この方法だと外乱光の影響を受けるし、検出器の電源も必要になります。 なによりも回路が複雑、調整も必要と面倒です。
そういえば、テレホントランスミッタキットがあるったなと昔を思い出し、今回はその回路を利用させて頂くことにしました。 この回路を参考にすれば「電話つかっちょる ピカピッカ」の電源を電話回線から取ることができます。 これは便利ですし、外乱も考えなくで済むので確実に受話器状態を検出できます。
テレホントランスミッタキットの回路図を学ばさせていただくと、どうも直列に追加回路を挿入しています。 あまり面白くありませんが、仕方ないでしょう。 今回もLED(発光ダイオード)をアナログ回線に挿入することにします。 今回製作する「電話つかっちょる ピカピッカ」をアナログ回線に直列に挿入接続する際に、既存のアナログ回線配線への取り付けや取り外しを簡単にできるようにしないといけません。 幸いにもアナログ回線用にはいろいろなアダプタがあります。 早速ダイソーに行って用途に合うアダプタを探してきました。
【 ダイソー テレホンコードG501 】
【 内部接続状況 】
2分配ジャック部の配線を確認すると、ジャック・プラグとも単純に4心が並列接続されているだけのようです。 2分配ジャック部内部のこの配線を下図のように改造しました。
【 テレホンコードG501 接続改造後の接続図 】
LINE側モジュラジャック(電話回線側)は2心しか使用しませんので、このジャックの外側両方のコンタクトは取り外しています。 取り外す必要はないのですが、不要な配線は除去するとの考えで取り去っているだけです。
電話機側モジュラジャックは4心ですが、2分配ジャック部側の配線は切断しました。 これも不要配線除去の考えからです。
2分配ジャック部内部のジャックのうち、一方をLINE側モジュラジャックとして利用し、もう一方のジャックをLED回路側への接続コネクタとして利用することにしました。 同一形状のジャックですので、プラグ接続間違いの可能性もありますが、そこは自己責任ですから気にしないことにします。
改造後の接続状態を下記に掲載します。
末端、中継部は収縮チューブで絶縁しています。
【 テレホンコードG501 接続改造後の配線状態 】
次に「電話つかっちょる ピカピッカ」のケースの検討です。 最初は小さいアクリルケースを考えていましたが、ダイソーでテレホンコードを探した際に下記のような”プッシュライトミニ3LED”を見つけて、これを利用することにしました。 ちなみに、このライトは透明カバーを押すことで3個の並列接続されたLEDを点灯、消灯する機能を有しています。
もし、このスイッチが小さいようでしたら、もう一回り大きいサイズのプッシュライトもあるようです。
上記は予備用で、今回の製作には水色カバーのライトを使用しています。
【 ダイソー プッシュライトミニ3LED 】
裏側の電池ボックスにLED回路を設けることにしました。 電池固定用の部分を削り取って基板スペースを確保しました。
【 電池ボックス内部の改造状況 】
電池ブックスの裏面に三角形のLED基板が取り付けてあります。 この基板をそのまま利用することができます。 しかし、後述の着信表示も行うことにしましたので、今回はLED基板を新規製作しました。 よって、もともと付いている三角形のLED基板を取り外して、基板取り付け部分の出っ張り先端部分をカットしました。 出っ張りの残り部分は追加LEDが基板を基板のスペーサとして流用しました。
【 LED基板実装面側の改造状況 】
2.2 「電話つかっちょる ピカピッカ」 仕様
「電話つかっちょる ピカピッカ」の仕様を下記表に記載します。 とてもシンプルな機能しかありません。
機能1 |
電話機本体から受話器を外すと橙色のLEDが点滅する。 ケースの透明カバーを押すことで、LEDを消灯することができる。 |
機能2 | 着信時に赤色LEDが点滅する。 |
電源 |
不要。 アナログ回線の信号を利用。 |
今回の試作で、機能1のLED点滅は通話中に目障りだったのでLEDが基板を消灯する機能を設けています。 この機能を実現するためにスイッチが必要ですが、このライトはもともとLEDを点灯・消灯するためのスイッチが実装されていましたので、そのスイッチをそのまま利用することにしました。 このライトは大きさといい、スイッチといい、今回の用途にぴったりです。
2.2 「電話つかっちょる ピカピッカ」 仕様
今回製作した「電話つかっちょる ピカピッカ」の回路図を下記に掲載します。
(クリックすると原寸大の回路図をダウンロードできます。)
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」 回路図 】
LED基板回路の上側の回路は機能1の回路です。 テレホントランスミッタキットを参考にしました。
LED基板回路の下側の回路は機能2の回路です。 Ringing Signal Light Kit / FK325を参考にしました。
LEDの発光色、サイズ、型式は手持ちの関係で上記のようにしています。 型式、サイズに特に意味はありません。 お好みに合わせてLEDを剪定することができます。 その際、LEDのVf,Ifや個数により電流制限抵抗R3,R4,R5,R12の抵抗値、定格電力を見直す必要があります。
機能1のLEDの点滅制御は、秋月電子通商で取り扱っているM34−2Lを使用しています。 この型式では点滅周期が短すぎて目障りとなりました。 このためSW1を設けて機能1の回路を無効してLEDのを消灯できるようにしています。
もし、点滅させる必要がなければ、M34−2Lを使わずに、LED1、LED2、LED3のカソードをDB1のマイナス側に接続します。 そうすると電話機本体から
受話器を外すと橙色のLEDが常時点灯します。
M34−2LのLEDの端子のシンク電流(流れ込む電流)に制約があります。 M34の電源電圧、LEDの並列個数、電流制限抵抗の抵抗値によりシンク電流が決まります。 使用状態によりこのシンク電流が変化しますので、M34−2Lを定格範囲内で使用できているかを確認しておいた方がよいです。 今回がR3,R4,R5の100ΩはD1の定格3.3Vで考えれば抵抗値が小さすぎます。 当方のアナログ回線のライン抵抗値が高いせいかM34−2LのVdd−Vss間電圧が2.4V程度しかないため、やむを得ずこの値にしているものです。 もし、回路図のLEDのを使用して、かつ、3.3V確保できると思われるならば、R3,R4,R5を220Ω以上にした方がよいと思われます。
コンデンサC11,C12は手持ち部品の関係でこのような並列接続となりました。 なお、定格電圧は最低でも200Vのコンデンサを使用します。
参考まにで、上記回路の試作時の波形を掲載します。 下記波形はトリガ部分のみの波形であり、全体的な波形概要を表しているものではありません。 今回の観測に使用しました”DSO Quad − 4 Channel Digital Storage Oscilloscope”はバッテリ駆動なので、アナログ回線波形観測でも回り込みを考えなくて済み、安心して観測できました。
【 受話器を外したときのR1両端電圧(アナログ回線の電流値を観測) 】
【 着信時のR11両端電圧(LED11、12、13への供給電流を観測) 】
2.3 「電話つかっちょる ピカピッカ」 製作例
上記回路をベースに製作した製作例を以下に示します。
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED回路基板(部品面1) 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED回路基板(部品面2) 】
【 LED回路基板組込み外観1 】
【 LED回路基板組込み外観2 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED基板(部品面1) 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED基板(部品面2) 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED基板組込み外観1 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」LED基板組込み外観2 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」組み立て外観1 】
【 「電話つかっちょる ピカピッカ」組み立て外観2 】
【 受話器を外した状態 】
【 着信時の状態 】
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