Memorandumの小部屋
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初めてのCPUアップグレード。勇気がいります!!
それは全て、列車の移動時間潰しのためにたまたま購入した日経WinPCの'97年8月号から始まりました。 我が家のパソコンは'95年11月にフロンティア神代(山口県に住んでいればここを利用せねば)で購入したHighgrade 133です。 CPUはP54C 133MHz、マザーボードはP54C 200MHzまで対応しているGIGA-BYTE社のGA-585ATE、VideoカードはCanopusのPowerWindow968(4MB)PCIです。 今となっては下位ランクとなった構成ですね。 マザーボードも旧型のため、CPUのアップグレードがまともにできるか分からないためあきらめていました。(ン万円もするCPUが動かなかったら悲惨ですからね。)
ところが、前記雑誌を読みすすんでいるとP190に我が家と同じマザーボードをP55C 233MHzにアップグレードした記事が載っているではありませんか。(ちなみに外観も同じです。) 記事中にプライマリィのIDEコネクタが接続できないとの注記がありましたが、どうもCPUのアップグレードができるようです。 これを読んでからはもう頭の中はP55C 233MHzのことばかり。 広島を訪問した際にアップグレード用部品を入手できたため、早速アップグレードにチャレンジしました。今回はCPUのアップグレードと24倍速CD−ROM増設です。
【P55C 233MHzへのアップグレード】
- CPU : P55C 233MHz
- ソケットアダプタ : メルコ MTSA-MX
- CPUクーラ : メーカ不明 COOLER MASTER (Made in TAIWAN)
- 放熱用シリコングリス(放熱用シリコンシートでも可)
- 電源分岐ケーブル( 4芯オス(大) → 4芯メス(大) ・ 4芯メス(大) )
- ソケットアダプタ放熱板冷却用ファン及び固定金具ネジ
- ファン電源用2極コネクタ
この場合、「ソケットアダプタ放熱板と定電圧レギュレータICの接触面積が小さくなるのでは?」との危惧がありました。 しかし、メルコのソケットアダプタMTSA-MXは、ソケットアダプタ放熱板と定電圧レギュレータICの取り付け面に伝熱用のシリコンシートの設置やシリコングリスの塗布など伝熱向上対策がもともと実施されていません。 これではまともに放熱できません。 これならば、多少の接触面積低下も伝熱向上対策を実施することで回避できると判断しました。
よって、ソケットアダプタの放熱板を取り外して、この放熱板の位置が上側にずれるように固定用M3タップ穴を2個追加加工しました。 実施例を下記画像に示します。なお、事情があって(タップ穴あけを失敗)放熱板の取りつけは上下逆になりましたが、改造前と同じ向きでも問題ありません。また、放熱板再取り付け時にはシリコングリスを塗布して定電圧レギュレータICとの伝熱をよくしておきます。
なお、雑誌にも記載のようにソケットアダプタMTSA-MXの取り説には「JP1とJP2の両方のジャンパを1-2短絡することは許されていない。」と記載されてました。 とりあえずこの取り説は無視して雑誌のとおりにジャンパ設定(JP1とJP2の両方のジャンパを1-2短絡)を行いました。
ソケットアダプタMTSA-MXはSocket7と形状が異なるため、ファンをSocket7に固定するタイプのファンは使用できません。 ファン選択時にはCPUに固定するタイプのファンを選択する必要があります。
また、新規購入したファンのリード線が短かかったため、一度ファンを放熱板から外してファンのリード線の向きを90度回転しています。
さて、ソケットアダプタ上のCPU用電源ケーブルを接続したのはいいけれど、先端の4芯メスの電源コネクタを接続する先の電源コネクタに余裕がありません。 部品箱をひっくり返してどうにか電源分岐ケーブルを見つけました。(予備で購入しておいてよかった。) これで、HDD用の電源ケーブルから電源を分岐しソケットアダプタに電源を供給することができました。
別途電源コネクタが必要になるなんてパッケージの外側には何も記載されていません。今回はたまたま手持ちの電源分岐ケーブルがあったからよかったものの、せめて接続するために必要なモノについての記載をパッケージ表面にしておいて欲しいものです。 なにせ深夜に開店しているパソコン屋サンはありませんから。
CPU側はちょっと熱いかなという程度でしたが、定電圧レギュレータIC側の放熱板は熱い熱い。 これはイカン!! 何という放熱設計だ!! よく考えてみればシリーズレギュレータ方式の電圧変換器ですから、5V−2.8V=2.2Vの電圧降下分を全てこの定電圧レギュレータICで負担していることになります。 大ざっぱにいって、CPUの発熱量の約6割以上に相当するに発熱が定電圧レギュレータICで発生していることになります。 こんな放熱板でまともに冷却できる訳がありません。しつこく書きますがメルコのソケットアダプタMTSA-MXの放熱設計は間違っている。
ここで、すぐに放熱板をファンで冷却することにしました。 ここに使用するファンはもともと付いていたP54Cの放熱用ファンを流用することにします。 ファンの取り付け方法をカットアンドトライで決め、最終的には右の画像のようになりました。 また、ファン用電源はファン2個の電源線を並列接続して1個のファン用電源コネクタで供給するようにしました。
当初の予定に比べて相当大きくなりましたが、まずはこれでいくつかの関門をクリアしてCPUのアップグレードが完了しました。 下記に最終的な実装状況の画像を掲載します。
【本当にP55C 233MHz ?】
さて、CPUのアップグレード作業はどうにか完了しましたが、本当にP55C 233MHzで動いているのという疑問にぶつかりました。 動作している感じでは何とはなくスピードは速くなったような、そうでもないような・・・・。 正直にいって、今でも本当にP55C 233MHzという疑問が沸いています。
まず、BIOSです。 当初はVer.2.29(96-02-15)でした。 起動時のCPUの認識表示はPENTIUM-S 200MHzと表示しています。 そこでGIGABYTE社のホームページからもっとも新しいVer.2.30(96-04-12)をダウンロードしてBISOをアップデートしました。 しかしCPUの認識表示は同じくPENTIUM-S 200MHzのままでした。まあ、もともとPentium 200MHzまでしかサポートしていないマザーボードですから、これ以上深追いすることは止めました。
次にベンチマークテストです。下記テストは解像度1152×864フルカラーで実施しております。
Wintach (C32:テスト用Windowは1024×768)
項 目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
Word Processing | 162.61 | 221.18 |
CAD/Draw | 1195.62 | 1895.21 |
Spreadsheet | 234.49 | 247.39 |
Paint | 479.64 | 510.97 |
Overall | 518.09 | 718.69 |
Winsock
項 目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
CPU | 972 | 1591 |
VIDEO | 2211 | 2906 |
DISK | 2000 | 3595 |
MEMORY | 519 | 554 |
WINDOWS | 1489 | 232 |
Speedy
項 目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
CPU | 100.63 | 116.13 |
メルコベンチマーク
項 目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
総合 | 435 | 535 |
スクロール | 302 | 256 ? |
画像編集 | 645 | 797 |
図形描写 | 245 | 262 |
CPU | 616 | 1130 |
メモリ | 472 | 495 |
ハードディスク | 440 | 471 |
CD−ROM | 313 | 333 |
WB/V(Windows Benchmark for DOS/V magazine)
項 目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
CPU & MEM | 1.4 | 2.1 |
DISK | 9.8 | 12.2 |
Windows | 0.5 | 0.5 |
Text | 4.3 | 4.3 |
Vector | 3.4 | 3.4 |
Bitmap | 4.2 | 4.2 |
Winsock及びメルコベンチマークのCPU値から推定するに、どうも233MHzで動作しているようです。 また、従来、ソフトMIDIプレーヤでのMIDI再生で、CPU負荷が軽く80%を越えてしまい音切れがひどかったのが、最大でもCPU負荷が60%程度に低下して音切れ無しにMIDI再生できるようになりました。 また、MMX専用と記載のある試用ソフトも何ら問題なく動作しました。
また、EQUIP95 for Win32 v2.20β4【Copyright (C) 喜多狼 1996-1997】でチェックしたところ、
Pentium 200MHz w/MMX Integer=226MHz / Float=230MHz
MMX Technology Suport : Suppoerted
の結果を得ました。
以上の状況証拠から、多分P55C 233MHzで動いているような気がします。
【 CD−ROMの増設 】
AVIファイル再生時などに、音飛び・再生フレーム数低下がひどい状況でした。 特にこれで支障があるわけではありませんが、ただ悔しいだけの理由で24倍速CD−ROMを増設することにしました。この増設は、何度もケースを開けるのは面倒であり、CPUのアップグレードに合わせて増設することにしました。
当初はSCSIタイプを探したのですが、入手できなかったためIDEで我慢することにしました。
増設するCD−ROMは24倍速のPANASONIC CR-585-Bです。
セカンダリィIDEに今回増設する24倍速CD−ROMをマスター、既設の8倍速CD−ROMをスレーブに設定してパソコンを起動すると、24倍速CD−ROMは認識するものの8倍速CD−ROMは認識してくれません。
ごちゃごちゃプライマリィ・セカンダリィ/マスター・スレーブの組み合わせを替えて(実は半日以上かかりましたが)、最終的には確実に両方を認識する、セカンダリィのマスターに8倍速CD−ROM、スレーブに24倍速CD−ROMと割り当てる組み合わせで妥協することにしました。やっぱり少し待ってでもSCSIにすればよかったかなと少し反省。
体感速度としては、24倍速自体が効いているというよりアクセス速度の向上が効いている感じですが、音切れ・再生フレーム低下が目立っていたものが、音飛び無し、再生フレーム数の明らかな向上が見受けられました。 でも、CD−ROMに多くをきたいすること自体に無理があると思います。この程度で満足すべきなのでしょう。
結局、記憶装置は下記のようになりました。
A : 2MODE 3.5インチ 内蔵FDD
C : EIDE 1.6GB 内蔵HDD
D : SCSI2 1.0GB 内蔵HDD
E : SCSI 外付けZIP
F : IDE 8倍速内蔵CD−ROM(Stingray 8422)
G : IDE 24倍速内蔵CD−ROM(PANASONIC CR-585-B)
これで、しばらくは記憶装置病はおさまるでしょう。
【 連続動作確認 】
以上のアップグレード及び増設を行ったのち、連続65時間通電を行いましたが何ら問題なく動作しました。 残念ながらパソコン内部の温度測定はできませんでしたが、ケース外側の温度上昇も以前とほとんどかわらないようです。
今回の改造はこれにて終了。
End of This Page.