Memorandumの小部屋
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昔のデジタル時計1
蛍光表示管式デジタル時計の製作
1.背景
2007年にデジットを訪れていつものようにジャンク品を見て回っていると下記写真のように蛍光表示管と時計用LSIがセットになった部品セットがありました。 (現在あるかどうかは不明です。)
【 時計用部品セット 】
この蛍光表示管はただの数字4桁にコロンがあるだけの基本的なものです。 最近では、このような蛍光表示管式の時計は古いビジネスホテルでしかお目にかかれるくらいです。 とはいうこのの、最近の表示器はとても味気ないものですが、蛍光表示管の淡い色あいは嫌いではありません。 動作できるかどうかわかりませんが、とりあえず購入です。 購入の際に、レジにて「使用部品を購入する必要ありませんか。」と言われましたが、 手持ち部品で対応することにして何も追加購入しませんでした。
自宅に戻って開封すると蛍光表示管、時計用LSI東芝製T9605T、水晶発振子の3点セットとB4サイズの説明書1枚でした。
【 時計用部品セット 構成部品 】
このLSIは相当古いようで、流通在庫品もほとんど無いようです。 データシートも見つかりません。 唯一、付属の説明書に記載の回路図が頼りです。 この付属は下記のようにB5サイズ2枚分で作成され、これをB4サイズでコピーしたようです。
説明書の感じを掴んで頂くために、説明書の外観を下記に示します。 (これ以上の解像度の高い画像の公開は差し控えさせて頂きます。
【 説明書 1枚目 】
【 説明書 2枚目 】
但し、T3605Tのデータシートが不明なため、この取扱説明書から基本的な回路部部を抽出した回路を下図に掲載します。 この図象をクリックすると元サイズの図象にアクセスす ることができます。
この回路の電源回路に示すように12VDCの供給のようです。 通常、GND記号として使用されている記号はICの0Vラインではありませんので、注意が必要です。 ICの0VラインはVDDとして示されています。 スイッチの 用途は、後述の製作例を参照願います。
【 T3605 基本回路図 】
2. 蛍光表示管式デジタル時計 回路/仕様
今回製作した蛍光表示管式デジタル時計の回路を下図に示します。 下記画像をクリックすると原寸サイズの回路図を表示します。
【 蛍光表示管式デジタル時計 回路図 】
取扱説明書の回路図だけの判断ですが、T3605では基本的な時計機能しかないようです。 しかも12時間機能だけで、AM/PMの区別もつかないようです。 せめてAM/PMだけでも判別させようと、外付け回路でAM/PM信号を作っているようです。
AM/PM信号用として、10時間、1時間用7セグメントの点灯、消灯の組み合わせを使って11時から12時に変わるときに立ち上がりエッジとなるバルスを作成しています。 これは、7セグメントをスタティック駆動しているから出来る回路です。 なお、コンデンサC4は時間遅れをつくって、確実に安定したパルスを作成するのに必須のコンデンサです。 なお、セグメント用信号は、セグメント点灯時が+5V、消灯時が−5V以下となっていました。
AM/PM信号用を出力するD−FF用ICとして、説明書では4013、もしくは、74HC74で記載されています。 後述の製作例のように回路を製作して動作確認すると、LEDの点灯の反転が思ったように動作しませんでした。 原因調査としてオシロを接続すると動作が安定します。 回路変更をして原因調査しましたが、原因がはっきりしません。 あまり時間もかけたくなかったのでバイポーラロジックの74LS74Aに変更しました。 これによって、動作は安定しました。 よって、回路図では74LS74Aにしています。
動作確認後、何社かの74HC74でも試してみましたが、やはり74HC74では正常動作しないようです。
AM/PM表示LEDはオリジナルの回路ではツエナーダイオードを使用してVEEに接続しています。 これは、オリジナルの回路ではロジック用の5V電源もツエナダイオードで生成しているため、LEDのIF電流をロジック用0Vラインに流すことができないからでしょうか。 今回は三端子レギュレータを使用していますのでVEEラインに接続しない回路としています。 また、上記にあるようにIC2をバイポーラロジックにする事も想定していましたので、+VccラインにLEDを接続してIC2の出力シンク電流(Lowレベル)で点灯するようにしました。
電源は+ラインを基準にした+接地の回路図の方がすっきりしています。 今回の回路図も+接地で作成したかったのですが、慣れを優先して一般的なロジック回路の0Vラインを基準にした回路図 で作成してました。 しかし、基本は+接地ということで、+5Vをつくる三端子レギュレータは負電圧出力の7905を採用しています。 通常の正電圧出力の7805でがありませんので、注意して下さい。
ロジック用の電源電圧は、付属説明書では5.6Vツェナーダイオードで作っています。 正しい電源電圧の範囲が不明ですが、後述の製作例でも5Vでそれなりに動作しているので、5Vでもよいのでしょう。
BLANK、BRIGHTの切替スイッチはオリジナルでは2C接点センターオフタイプのトルグスイッチとなっていますが、このようなスイッチの手持ちはありません。 今回は1×3Pのスライドスイッチを2個(SW1,SW2)使用した回路としています。
3. 蛍光表示管式デジタル時計の製作製作例
今回製作した時計を下図に掲載します。
操作スイッチは左から以下のとおりに配置しています。
S2 : 時間カウントアップ |
【 完成品外観 】
【 操作スイッチ部側から見た側面外観 】
【 蛍光表示管側から見た側面外観 】
左下の淡い水色っぽい抵抗がR8です。 回路図は2Wとなっていますが、手持ち部品の関係で3W品を使用しました。 この抵抗の両端電圧は10V程度ですので計算上では2Wでも問題ありませんが、表面温度が60℃を超えているようですので、3W品に方が結果的によかったようです。 蛍光表示管用ソケットはDIP用ICソケット18pin用と16pin用をそれぞれ中央で切断して使用しています。 |
【 蛍光表示管を取り外したときの基板部品面外観 】
【 蛍光表示管を取り外したときの基板部品面外観(斜視図) 】
通常はハンダ面を公開しませんが、今回は特別?公開です。 |
【 蛍光表示管を取り外したときの基板部品面外観(斜視図) 】
12V電圧を供給して「12:34」を表示させたときの表示例です。 写真では撮影用の照明の関係でコントラストが良くありませんが、現物は数字は明瞭に認識できます。 AM/PM用LEDも明るすぎるので白キャップをかぶせて光量を低下しています。 動作時の消費電流は12V時82.3mAでした。 電源投入時は0:00表示ですが、その後は11時表示の次は12時表示となり、時間表示の時間表示が0になることは無いようです。 |
【 蛍光表示管式デジタル時計動作例 】
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