Memorandumの小部屋
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やっぱり音量調整はつまみが一番!!
(パソコン用小型プリメインアンプの製作)
【 前置き 】
今でこそベイ内蔵のアンプを簡単に入手できますが、AT互換機を購入した'95年頃にパソコン用の小型プリメインアンプを片田舎で入手することはできませんでした。 そのため、押入の奥から昔のラジカセを引っぱり出して使うことにしました。 ただし、スピーカは設置場所の都合でPC9801のFM音源ボード用の小型の別置きミニスピーカを使用しました。
次の関門は、パソコンに付属していた音声用ケーブルです。 このケーブルは、パソコン側がステレオミニプラグで、アンプ側がモノラルミニプラグ×2本、というちょっと困ったケーブルのため、ミニプラグ→ピンプラグ変換コネクタ(ケーブル)を必要とするものでした。
さて、やっと音を聞くことができるようになりましたが、音量調整が面倒です。 音量調整はラジカセのVOLUMEやソフトで行うことができますが、ラジカセまで手を伸ばすのが面倒、マウスでの音量調整は敏速な調整や微妙な調整ができない等の不自由を感じるようになりました。 また、ヘッドフォンを接続するのも面倒でした。
そうこうしているうち、手持ちのミニスピーカの音があまりにも貧弱なためアンプ内蔵のミニスピーカを購入しました。 しかし、2種類のスピーカそれぞれ得手不得手があるようで左右合わせて4つのスピーカを同時に使用したくなります。
と、ここまでくると、自分にとって最も使い勝手が良いようなプリメインアンプを自作するしかありません。 このようにして手持ちの部品を使って製作したのがこの画像のパソコン用小型プリメインアンプ(黒いフロントパネルでツマミが5個ついているケース)です。
以下、このプリメインアンプの自作内容について記載します。 ちなみに回路的にはごくありふれた回路です。 それと、このプリメインアンプは’95年11月05日に製作したもので、まだまだ現役です。
最後に、音量調整をつまみにしているため、我が子でも音量調整ができます。 作っててよかった旧式小型プリメインアンプ。
【 基本仕様 】
外 形 | パソコン本体の上においても邪魔にならない大きさ。 手持ちのアルミケースYM−130(130×30×90)を使用しました。 |
入 力 | 2系統 モノラルミニプラグ×1系統 ピンジャック×1系統 |
出 力 | 2系統 ライン出力×1系統 スピーカ出力×1系統 (ヘッドフォン出力対応) |
調 整 | TREBLE調整つまみ BASS調整つまみ BALANCE調整つまみ ライン出力調整つまみ スピーカ音量調整つまみ |
電 源 | ACアダプタ 電圧 9V〜15V程度 |
【 回路図 】
プリアンプ部・出力アンプ部・電源部を4つに分割して、それぞれの回路図を記載します。
なお、使用部品は下記4つの回路図を参考にして下さい。 オペアンプはNMJ4580以外のオペアンプでも、単一電源・最小動作電圧が4V程度のオペアンプ(例えばLM358等)であれば代替え品として使用できます。
注意 : | 単一電源にこだわらなくても、±2Vで動作できるオペアンプでも可。 実はNMJ4580もカタログ上は2電源用です。 |
また、ちょっと特殊な部品としては半固定VRがあります。 VR1・VR2・VR4・VR5の4つに2連VRが使用されています。
下記図1はプリアンプ部の回路図です。 U1が入力信号ミキサ部、U2がトーンコントロール部、U4はバイアス電圧(仮想中性点電位)としてVcc/2の電圧を発生するバイアス電圧発生部です。
もともと雑音(S/N比)がどうこう言うようなレベルの用途ではありませんので、入力信号の過大入力対応としてU1の−入力〜出力感の10kΩの抵抗値を4.7k〜8.2kΩの範囲で少し小さくしたほうが良かったかもしれません。
図1 プリアンプ部
下記図2
は出力アンプ部(ライン出力アンプ部)の回路図です。 U3はライン出力アンプ部で、ゲインは1以上となるようにします。 このため、入力側の3.3kΩは3.3〜8.2kΩの範囲であればどのような値でもかまいません。 出力の150Ωはライン出力の短絡時保護用(のつもり)です。 この抵抗はなくてもかまいませんし、多少抵抗値が変わっても何ら問題ありません。(但し、接続先のアンプ等によっては問題が発生するかも。) この150Ωの抵抗追加はちょっとした趣味の問題です。
図2 出力アンプ部(ライン出力アンプ部)
下記図3 は出力アンプ部(スピーカ出力部)の回路図です。 U5・U6はオーディオアンプ用ICであれば何でも構いません。 ここでは最もポピュラーで入手することが容易なLM386で製作しました。 もう少し音量が欲しければLM380に変えることをお勧めします。 (参考までですが、パソコン用ではLM386で十分です。) 出力の220μFは470μF程度の方が良かったかなとちょっと反省。
図3 出力アンプ部(スピーカ出力部)
下記図4は電源部です。 D1は定格電流1Aクラス程度の単相全波整流用ダイオードブリッジです。 D1を設けていますので入力DC電圧はできれば9V以上が望ましいですが、低電圧降下タイプ(PNPトランジスタ仕様)の3端子レギュレータであれば8Vあれば十分です。
ACアダプターを使用する際には図4のように必ずD1を設けるようにしています。 D1の単相全波整流用ダイオードブリッジを使用することでACアダプターの極性について気にしなくてすみます。 誤って逆電圧を印加したときのダメージは大きいので必ずこのようにしております。
また、C1・C2は下記静電容量を参考にして適当な大きさの静電容量のコンデンサを使用して下さい。 ちなみにC2にタンタルコンデンサを使用するのが私の趣味です。 また、パスコン用の0.1μFは0.01〜0.1μF程度のセラミック・積層フィルムコンデンサであれば十分です。 また、パスコンとしてチップコンデンサを使用すれば部品実装が相当楽になります。
完成後、例え正常に動作しているようでもオシロスコープで電源電圧波形を観測することをお勧めします。 音量を大きくするとVcc波形にリップルが現れることがあります。 このようなときはもっと電圧の高い、もしくは、(出力インピーダンスが低いもしくは出力電圧の高いことを期待して)電流容量の大きいACアダプタに交換しなければなりいません。
図4 電源部
【 完成品画像 】
正面から見た外観です。 このプリメインアンプは右手側に設置しています。 したがって、つまみは操作する頻度の多い順番に、左側からVOLUME・LINE
OUT・BALANCE・ TREBLE・BASSの順番に並べています。 また、ヘッドフォンを左側の一番手元に近い部分に設けています。
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内部の外観です。 基板に出入りする電線本数が多いので配線は丁寧に行わなければいけません。 はい、電線側の迎えハンダが少なかったために半断線部位をなかなか特定出来なかったのは私です。 画像の右側にあるのがD1・C2・3端子レギュレータ7805などの電源部の入力側です。 ケースの高さに制約があるので、7805は専用の放熱板を設けずケースの底板にとりつけています。 樹脂製ケースの場合は必ず専用の放熱板を設けるようにして下さい。 |
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背面の外観です。 画像の左側からミニプラグ用入力・ピンプラグ用入力・ラインアウト出力・スピーカ出力・ACアダプタ用のDCジャックです。 |
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