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Memorandumの小部屋

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あっ、圧着機の巻

  JST社(日本圧着端子製造株式会社)のXHコネクタの利用頻度が増えています。 従来、XHコネクタの利用頻度は少なく、XHコネクタ用コンタクトに電線を接続する際は、ラジオペンチで コンタクトの巻き込み部を素線と電線被覆に巻付け、素線部分をハンダ付けしていました。 この作り方では、時たまハンダがコネクタポスト接触部にまで流れ込み、コンタクト挿入ができなくなる場合がありました。 当然、専用の圧着工具を使うべきですが購入する気も失せる価格なので圧着工具利用は諦めていました。

 

出典元 Yahoo!ショッピング(抜粋)

【 正規圧着ツール例 YRS−110 】

 

 が、ある日、ネットショップで安価な圧着機が販売されているのを見かけました。  思わず、「あっ!圧着機がある。 安い!」です。 圧着機によっては素線のかしめ作業と被覆のかしめ作業を個別におこなう圧着機もあるようですが、この圧着機は電線の素線と被覆を一括で圧着できる仕様のようです。 

 

出典元 Yahoo!ショッピング(抜粋)

【 安価圧着ツール例 】

 

 この価格ならば購入できる(使えなくても諦めがつくかも。。。)ということで、商品価格・送料・ポイントを考慮して注文先を決めて注文 しました。(注文先、価格は未公表です。 上記価格の80%未満で購入できました。) 注文品は翌日に届いていました。 (早い!!! こんな世の中でいいのかな?) 早速外観チェックです。

 

【 梱包外観 】

 

【 パッケージ外観(表面) 】

 

【 パッケージ外観(裏面) 】

 

【 裏面説明部分拡大 】

 

【 圧着機本体外観1 】

 

【 圧着機本体外観2 】

 

【 圧着機本体外観3 】

 

電線被覆かしめ側

【 圧着機ダイス部拡大1 】

 

電線素線かしめ側

【 圧着機ダイス部拡大2 】

 

 ダイスのかしめ部横幅寸法をノギスで測定してみました。 大雑把な測定となりますので、下記測定寸法は参考数値です。 下記数値をもとにすると、XHコネクタのハウジングに利用できるのはかしめ位置Aのみとなりますが。。。。。 また、ダイス部の素線部、被覆部の厚みはいずれも約2.5mmでした。

 

かしめ位置

A

被覆側横幅 [mm]

1.95

2.5

2.75

2.9

素線側横幅 [mm]

1.45

1.6

1.85

2.2

注意 : かしめ位置:圧着機端側からA,B,C,Dと番号を割り振っています。 

 

【 圧着機ダイス部拡大3 】

 

【 圧着機ダイス部拡大4 】

 

【 圧着機ダイス部上方外観拡大1 】

 

【 圧着機ダイス部上方外観拡大2 】

 


圧 着 作 業 例

 早速、圧着を試してみました。 この圧着機は不慣れなため正しい圧着作業になっていないかもしれません。 とはいえ、とりあえず使えそうな感触を得ることができました。

 

AWG28(約0.08mmSQ)電線の被覆を説明記載ように約4mmむきました。

【 電線被覆むき 】

 

【 コンタクトセット(ダイス部セット状態) 】

 

【 コンタクトセット(コンタクト返し部位の位置) 】

 

【 圧着状態外観1 】

 

【 圧着状態外観2 】

 

【 圧着状態外観3 】

 上記写真のように素線圧着はうまくできているようですが、被覆の挿入量が不足しているようです。 コンタクトの実測寸法も参考にすると、電線被覆のむき量は4mmではなく3mmが適切ではないかと判断しました。

 次にダイス部のかしめ位置を確認しました。 AWG28の電線をかしめ位置A,B,Cで圧着してみました。

 

上側からかしめ位置A,B,Cの圧着結果です。
(橙色電線は被覆差し込み過ぎの圧着失敗品です。)

【 かしめ位置による圧着状態1 】

 

左側からかしめ位置A,B,Cの圧着結果です。

【 かしめ位置による圧着状態2 】

 

右側からかしめ位置A,B,Cの圧着結果です。

【 かしめ位置による圧着状態3 】

 

かしめ位置Aではコンタクトが変形してXHコネクタハウジングに挿入できませんでした。

【 かしめ位置Aの圧着状態 】

 

 かしめ位置Bの電線(赤色)はきつめですがハウジングに挿入できました。 かしめ位置Cの電線(橙色)は被覆圧着部のふくらみが原因でハウジングに挿入することができませんでした。

【 XHコネクタハウジング挿入状態 】

 

 以上の結果より、XHコネクタ用ハウジング向けとしてはかしめ位置Bのみ利用することにしました。 なお、参考までに0.3mmSQの電線でもかしめ位置B,Cの比較した結果を以下に掲載します。 なお、電線被覆のむき量は4mmです。

 

上側からかしめ位置C,Bの圧着結果です。

【 0.3mmSQ電線圧着状態 】

 

 かしめ位置Bの電線(青色)はきつめですがハウジングに挿入できました。 かしめ位置Cの電線(青色)は被覆圧着部のふくらみが原因でハウジングに挿入することができませんでした。

【 0.3mmSQ XHコネクタハウジング挿入状態 】

 

 次に、XHコネクタ用圧着機で圧着したと思われるコンタクト圧着部との比較をしました。 以下の白色電線がXH用圧着機による圧着例、青色電線が今回紹介の圧着器で圧着したものです。 なお、青色電線の電線被覆のむき量は3mmです。

 

【 圧着比較1 】

 

【 圧着比較2 】

 

【 圧着比較3 】

 上記結果より、今回紹介した圧着機による青色電線の圧着状態は、白色電線の圧着状態とほぼ同じようです。 ただし、電線被覆部の幅が少し広くなっています。 そのため、XH用コネクタのハウジングにコンタクトを無理やり差し込むようになります。 やはり正規の圧着機ではないため、適切なダイス寸法にはなっていないようです。 とはいえ、コスト1/30以下の圧着機は使えないことはないと判断しました。

 


圧着部電圧降下比較

 圧着機利用以前は電線素線をコンタクトにハンダ付けしていましたのでコンタクト接続部の接触抵抗を気にすることはありませんでした。 今回は非正規の圧着機ということで、素線部分が正常に圧着されているかどうかが気になりました。 目視ではそれなりに素線が圧着されているように見えます。 念のため、電線の抵抗と圧着部抵抗を合わせた電圧降下を測定して比較してみました。

 測定には以下6通りのサンプルを用い、コンタクト金属部分と他端側電線素線間に電流3Adcを流したときの電圧降下を4端子法で測定しました。

 

電線被覆長はいずれも約55mmです。

【 測定サンプル 】

 

右側:(赤色クリップ側):コンタクト金属、電流供給+側
左側(黒色クリップ側):電線素線、電流供給−側
ICクリップ(2ヶ所):電圧降下測定部位

【 電圧降下測定例 】

 

 以下に測定結果を示します。 測定時のオフセット状態をチェックするために、測定用電流0A時に電圧降下0mVdcであることを確認して測定値を得ています。

 

番号

線サイズ

被覆色

素線接続方法

電圧降下[mVdc]

(3Adc時)

AWG28

黒色

ハンダ付け

42

AWG28

茶色

圧着

42

AWG28

黒色

圧着

44

AWG28

赤色

圧着

40

0.3mmSQ

青色

圧着

13

0.3mmSQ

白色

圧着

14

 

 上記結果より、線サイズごとにほぼ同じ測定結果となっています。 また、ハンダ付けの番号1と圧着の番号2,3,4の結果がほぼ同じことよりハンダ付けと圧着の差は無いようです。 AWG28(≒0.08mmSQ)の電圧降下を42mVdc、0.3mmSQの電圧降下を13mVdcとすれば、圧着部の電圧降下は約2.5mVdc程度となります。 意外と大きいのですね。

 ところで、今回の測定目的からは外れますが、線サイズAWG28の電圧降下は大きいことを改めて認識させられました。 AWG28には微弱電流しか流してはいけませんね。


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