Memorandumの小部屋
本ページは金銭授受を伴う行為を含むAuctionや商用Web
Pageからの無断リンク・無断参照を禁じます。
無断リンク・無断参照が判明した時点で然るべき処置をとらさせて頂きます。
アルカリ電池1本でMD1枚も聴けない!!!
単三乾電池の放電特性を探る
ヤマダ電機で安売りMDを購入して1年経過した頃から単三乾電池の交換周期頻度がだんだん短くなっているような気がしています。 購入当初はアルカリ乾電池1本でMDを数枚は連続で再生できた記憶があります。 多分MD側の問題なのかと思っていました。 ちなみにこのMDはTMC社のMD−1P(Made in China)と記載してります。
さすがに外観が疲れています。 【 MD外観 】 |
すぐに電池電圧低下となります。 【 操作部 】 |
ところが、最近、旅先で新品のアルカリ乾電池に入れ替えたにも関わらずMD1枚目の再生途中で電池電圧低下となってMDを再生できなくなりました。 たまたまかと思い、何本か交換してみましたが、いずれもMD1枚 分の再生が終わらないうちに電池電圧低下となってしないました。
いつもはmaxellのアルカリ乾電池を使用していたのですが、このときは値段の安い他社アルカリ乾電池を使っていましたので、もしかしてアルカリ乾電池 でも性能に差があるのかなと疑問が沸いてきました。 こうなればMD再生時間短縮の原因を調べるしかありません。
MD側は分解してもどこを見て良いか分かりませんの電池側を調べることとして、MD相当の負荷を接続したときの放電特性を比較してみることにしました。
注意・お願い 本来はスタンダードに則って放電特性を測定すべきでしょうが、知りたいのは実負荷に近い状態ですので我流の測定を行うことにしました。 以下は、あくまでも当方の試験結果の紹介であり、今回の測定結果と各乾電池メーカの保証している性能を比較するこはできませんし、この結果で各メーカの乾電池の性能について言及するものでもありません。 |
【 測定手段 】
今回の測定には通信機能付きディジタル式テスタM3870Dを使い、1秒間隔で電流もしくは電圧の測定値をパソコンでロギングすることにしました。
ロギング用のソフトはM3870Dに付属のScope Viewを使用してもよかったのですが、ログファイルに無駄が多いことやEXCELに読み込む際にシート当たりの行数制限があるので、Scope Viewを使用せずにVisual Basic6.0を使って、えいや〜で自作しました。
|
Window画面をクリックすればM3870D.exeを m3870d.lzh (8307byte) |
【 Scope View 】 | 【 自作M-3870Dモニタ 】 |
【 MD消費電流 】
MDの電流測定に際して手持ちの5V電源に「安定化電源キット(LM350T)」 を使って1.2V程度、できれば1Vの電圧を得ようとしました。 しかし、このキットの出力端子電圧を最小1.3Vまでしか下げることができませんでした。
この対応として負荷電圧のレギュレーションの悪化には目をつぶるることとし、このキットの出力に整流用ダイオードを順方向に接続し、ダイオードの順方向電圧降下を利用して負荷両端電圧を0.7V程度まで下げることができました。 このとき、 負荷電流0.5A程度のとき、整流用ダイオードの順方向電圧降下は0.6〜0.8V、M3870の20Aレンジでの電圧降下は0.07V程度でした。
この状態でMDの電池ライン電圧が1.21V(再生中のMDモータON時)の消費電流を測定した結果を下記に示します。 ちなみにこの時、モータ停止時1.25V、MDオフ時1.32Vでした。
この結果によれば電源ON時にピークで0.6A、モータ動作時に0.4A、モータ停止時に0.14A程度と、けっこう電流が流れているようです。 また、突然バッテリ低下になる現象、正常に再生できていた状態で電源をオフした後に 電池電圧低下によりMDの起動がなくなる現象がこの消費電流を見て初めて理解できました。
また、MDの電池電圧低下検出電圧は、測定結果にばらつきが結構ありますが、電池電圧が1.18Vまで低下すると電池電圧低下と判定するようです。
この測定結果より単三乾電池の放電特性は平均的な負荷電流相当の負荷として6Ω、モータON時相当の負荷として2.8Ωの抵抗負荷で測定することにしました。
これより、測定回路構成として下記画像のように、単三乾電池の電池ボックスに負荷抵抗を接続しました。
|
放電特性測定回路 |
【 測定対象 】
放電特性を測定した単三タイプの乾電池を以下に示します。
No. | 形式・定格(タイプ) | メーカ/発売元 | 仕様 |
1 | OHMアルカリ | オーム電機 | アルカリ乾電池 LR6 1.5V
|
2 | ALKALINE ACE | maxell | アルカリ乾電池 LR6(K) 1.5V
|
3 | D052 | Gold Peak Group | NiMH乾電池(ニッケル・水素電池) 1.2V 1300mAh MD付属品
|
4 | ダイソー乾電池 | 大創産業 | マンガン乾電池 R6 1.5V
|
5 | Megacell | 大創産業 | マンガン乾電池 R6P 1.5V
|
6 | GigaEnergy | 東芝 | ニッケル電池 ZR6 1.5V
|
【 測定状態、測定結果 】
右図は測定の様子です。 単純に電池の両端電圧を測定しているだけです。 当初、測定に際して電流もモニタしようと思っていましたが、電流計の電圧降下が無視できないくらい大きい値になりますので電圧だけのモニタとしました。 また、測定に際して抵抗自体の昇温はほとんどないようで、手で触っても暖かくも感じませんでした。 これから負荷抵抗の温度係数は無視することにしました。 このようにして測定した結果を以下に掲載します。
|
|
||||||||||||||||||||||||||||
6Ω抵抗負荷では電池電圧低下に至る1.18V未満になる時間は以下のとおりでした。
|
||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||
2.8Ω抵抗負荷では電池電圧低下に至る1.18V未満になる時間は以下のとおりでした。
注意 推定連続MD運転時間は、MD消費電力をベースに計算した値であり、1.18V到達時間から求めた値ではありません。
|
【 結論・今後の対応 】
今回の測定結果から当然の如く マンガン電池 < アルカリ乾電池 < NiMH乾電池 < GigaEnergy乾電池 の順番で長持ちすることが確認されました。
アルカリ乾電池もメーカ間の差はほとんど無いようです。 これらの結果から、乾電池の持ちが悪くなったのは乾電池の問題ではなくMD自体の問題のようです。
MD自体のどこがどのように悪いのかさっぱり見当がつきませんが、アルカリ電池での使用は避けたほうがよさそうです。
メーカ間の差はほとんど無いことから、現在愛用していますMaxellアルカリ乾電池から価格の安いOHMアルカリ乾電池に乗り換えです。
NiMH乾電池の性能を目の当たりにして、早速使う機会が減った秋月電子通商で購入していたHITACHI CellAce NH-11AAを引っぱり出してきて「単3Ni-Cd電池8本充電チャージャーキット」で充電を行い始めました。
GigaEnergyはデジタルカメラ専用でアルカリ乾電池に比べて撮影枚数が約5倍と宣伝されています。 しかし、MDの連続運転時間で比べると2倍程度にしかなりません。
GigaEnergyの大きな特徴は、放電時に他の乾電池に比べて比較的高い放電電圧を維持できる点にあります。 例えば2.8Ω負荷の場合、1.3V以上の電圧が必要な機器では、GigaEnergyはアルカリ乾電池に比べて10倍以上の放電時間となります。
このように、高価なGigaEnergyは、負荷電流が大きく、また、運転時に比較的高い電圧を必要とする機器用に使用しなければば、コスト的に見合わないことになります。
高出力電池に関する説明が月刊アスキー2002年4月号の資料請求No.065にも掲載されていますのでお持ちの方はご一読されるとよいでしょう。
End of This Page.