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 超音波デジタル距離計キット 

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データ番号    62
区 分    キット
分 類    計測器
品 名    超音波デジタル距離計キット
発売元    秋月電子通商   
価 格    3,000円
主要部品    T40-16 R40-16
電 源    8.5〜12V 150mA (50mA改造可)
概略仕様    測定距離:0.1〜3m(定数変更で0.5〜10m可)

超音波周波数:40kHz

温度補正:手計算(15〜25℃では±1cm)

表示分解能:1cm

最大表示:999cm

測定回数:40回/s(3m時)

付属基板    専用基板 (AE-40RM)
付属ケース    無し
外形寸法    基板単体完成時 W 72mm D 94mm H 20mm
追加購入部品   

詳細は製作例参照。

  • 超音波発振周波数40kHz調整用:基板用多回転半固定VR 20kΩ × 1個

  • 距離測定用発振周波数調整用:基板用多回転半固定VR 10kΩ × 1個

  • 超音波受信感度調整用:固定 1kΩ〜22kΩ + VR 100kΩ × 1個

  • 切り替え用ロータリSW:5回路4接点以上のロータリSW × 1個

3回路4接点2段(6回路4接点相当)を千石電商で購入。

  • 安定動作表示回路部品

小信号用トランジスタ(2SC945や2SC1815等) × 1個

抵抗33kΩ、抵抗1kΩ × 各1個

LED × 1個

  • セラミックコンデンサ 24V以上 0.1μF × 1個

  • フィルムコンデンサ  24V以上 0.1μF × 1個

コメント     取説にタイミングチャートの記載があり、測定原理がよく分かる。

 測定距離を10mにする場合は、エネルギー拡散提言・誤検知防止のため紙で音響ホーンを製作する必要有り。簡単な製作方法の記載があるが、結局のところカットアンドトライとのこと。

 製作記事が非常に紛らわしい。製作に関しては、基板シルクで部品番号記載がないため、回路図と基板パターンを対比させながら製作しなければならない。電子工作初心者には相当難しいキットである。

 送信回路のタイミングパルス発生回路のR2の定数が10k , 33k , 47k , 150k といろいろ記載されている。 一体どの定数がよいのか混乱する。 特に3mまでの場合は3通りの定数が記載されている。 同様にJ14横のコンデンサについても0.01μ , 0.02μ , 0.1μの3通りの記載あり。

  •  3mの場合 47kΩ(製作後、33kΩの方が良かったかなと反省) および 0.01μF
  • 10mの場合 150kΩ および 0.01μF+0.1μF

 ジャンパが26カ所あり。ジャンパが多いうえにICの下にもジャンパがある。ジャンパは最初にハンダ付けすることを推奨。

 スイッチングダイオードとショットキーダイオードの区別が付かない。 取説ではショットキーは白線2本・スイッチングは黄緑線3本となっているが、添付ダイオードはいずれも取説と一致しない。 また、両方とも3個入っており数量でも区別できない。 さらに、スイッチングダイオードの型式が1S1588と1N4448の2通りが記載されている。

 テスタでダイオードの順方向電圧降下を測定して推測すると、

  白線+黒線のダイオード : 測定値 VF = 0.157V  ショットキー

  緑線1本のダイオード   : 測定値  VF = 0.577V スイッチング

改 造     下記製作例を参照。
その他

(製作例)   

1 キット構成部品

  構成部品を下の画像に示す。結構部品点数が多い。また、検出距離や電源の仕様による不必要部品(9V電源用IC 7809等)や調整用の抵抗など最終的にどの部品が残るのか製作しないと分からない。 

kit062a4.jpg (29647 バイト)

【 キット構成部品 】

2 キット製作上の注意事項

 キット製作上の注意事項は上記コメントを参照。

 その他の注意事項として、回路図に記載されているコンデンサ種類識別記号(C)(F)をよく見てコンデンサの実装を行うこと。

  • (C)/(F)はセラミックコンデンサ(円形の茶色のコンデンサ)、フィルムコンデンサ(角形で半透明の樹脂や水色)のどちらでもよい。

  • (F)はフィルムコンデンサを使用。

3 製作仕様

  1. 測定距離3mと10mをスイッチで切り替えできるようにする。

  2. 電源は9Vとする。また、7セグメントLEDの電流制限抵抗は1kΩとする。

4 製作結果

 4.1 切り替えSW部

 検出距離切り替えスイッチは電源オンオフも兼ねるものとする。このためには最低でも、4回路4接点以上のロータリSWは必要となる。

 今回は千石電商で購入した3回路4接点2段(6回路4接点に相当)のロータリSWを使用。ロータリSWのつまみ位置での機能は時計方向で次のようにした。

  • 電源オフ
  • 電源オン 3m測定
  • 電源オン 10m測定
  • 電源オン 10m測定+近距離反射波キャンセル

 追加したロータリSW関連の回路図を下の画像【回路図1】に示す。

  • 追加ロータリSW(SWa)と記載した部分が該当部である。全6回路中5回路を使用。

  • コンデンサCbはパスコンでセラミックコンデンサで十分である。コンデンサCcはフィルムコンデンサ(F)である。これらのコンデンサをロータリSW側に実装した。

  • Timing Pulse OSC用タイマIC555に接続される抵抗値をロータリSWで切り替えることで距離切り替えを行っている。これらの抵抗をロータリSW側に実装した。

  • 下の画像の@の配線は、下記回路図1の次の画像【回路図2】に@と記載した部分に接続する。

 4.2 回路変更部

 実際に製作、調整を行った結果、下記の変更を加えた。

  •  距離変更に伴い超音波受信感度調整も必要となった。また、この調整値もまわりの障害物により異なるようであった。

     このため、GAIN調整をVRで行うこととした。回路図2のGAIN調整部に該当回路図を示す。Raは1kΩ〜22kΩの範囲の固定抵抗、VRaは、パネル取付用のVR(100kΩ)を使用。

     なお、感度を自由に調整できるようになった反面、感度調整に伴い検出結果が変化してしまう。これは検出した超音波検出信号の波形立上がり時間が変化することが原因である。

  •  カウンタIC4553のLE・MR入力用のバッファIC4069のピン番号が基板パターンと取説記載回路図で違いがあった。

     基板のパターンから調べた現状の回路図を、回路図2の回路図相違部に示す。

  •  GAIN調整部追加による超音波受信感度調整に伴い、調整の目安として安定動作表示回路を追加した。

     該当回路図を回路図2の安定動作表示回路に示す。LEDが点灯している場合、正常に距離測定が出来ていることを示している。

     抵抗Rcは、7セグメントLED用電流制限抵抗のうち、最上段の未使用抵抗(1kΩ)を流用した。

     トランジスタQaは手元にあった2SC945を使用したが、その他2SC1815など小信号用トランジスタならばどのようなトランジスタでも使用できると思われる。なお、hfeの大きいトランジスタが望ましい。

     抵抗Rdはできるだけ大きい抵抗値が望ましいが、追加トランジスタQaのhfeとの兼ね合いで取りあえず33kΩとした。hfeの大きいトランジスタならばもっと大きい抵抗値にしたいところである。

     もし、LEDの光量が不足している場合は、Rbの抵抗値をもう少し小さくしてもよいが22kΩ以下にはしないこと。むしろ、hfeの大きいトランジスタQaに変更するか、高輝度タイプのLEDに変更したほうがよい。

     LEDは直列抵抗内蔵でない一般的な単体LEDを使用。色や形状は各自の好みに応じて選択。

  •  回路図2中の@は回路図1のロータリSW部からの配線である。

 4.3 調整用VR追加

 取説上では本基板には調整部は距離測定用の発振回路部の10kΩの半固定VRがある。

  •  今回はこの10kΩの抵抗の他に、超音波発振周波数も調整できるようにした。該当部を回路図3に示す。この回路図3のVRbが調整部用半固定VR(20kΩ)である。

  •  VRbを半固定VRにすることで40kHz発生用タイマーIC(555)の5番ピンに接続するコンデンサ0.1μFのコンデンサを基板部品面に実装できなくなった。このため、該当コンデンサ実装位置を基板ハンダ面に変更した。

  •  半固定VRは10回転のポテンショメータを使用。1回転のVRはお勧めできない。

 4.4 動作結果

 キット製作後の確認事項は次のとおり。

  •  距離測定に際して、被測定物までの距離が遠い場合、被測定物以外からの超音波の反射波を検出してしまう。取説に記載の音響ホーンがあった方がよさそうである。

  •  動作電圧を5Vとした場合、測定は可能であるが7セグメント表示器の光量が相当低下する。実用上は7〜12Vが正常動作範囲と推測する。

  •  消費電流(実効値)の測定結果を下記する。実際の瞬時電流はもっと大きくなる。下記数値を参考にして電源容量を決定する際は、実測値の2倍程度の電流容量を目安とする。 なお、電流測定時の表示は「007」もしくは「008」であった。

消費電流測定結果
電源電圧 [V] 測定電流 [mA]
5.0 23.5
6.0 31.4
7.0 37.4
8.0 44.0
9.0 50.2
10.0 55.6
11.0 62.3
12.0 70.1
  •  超音波発振周波数調整時に使用する簡易プローブにおいて、電圧測定を入力インピーダンスの高いテスタ(100kΩ以上)を使用する場合には、0.1μFに並列に抵抗(10k〜100kΩ)を接続した方がよい。この抵抗を接続することで検出電圧変化を顕著に検出できる。

5 基板外観

 製作した基板の外観画像を下記に示す。

   

データ作成者 CBA

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