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Memorandumの小部屋

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24年後の再設計!!!

音声波形モニタの製作

 書籍を入れていた段ボール箱を整理していると昔購入していたコンピュータ関連の雑誌「マイコン」 1978年1月号が出てきました。 懐かしい思いで表紙をめくると表紙の裏にはTK−80の広告がデ〜〜ンと掲載されていました。 もう、何とも言えないくらい懐かしく当時のことを思い出しました。 懐かしい思いを込めて表紙とTK−80の広告をいつもより大きめに下記に画像をアップしておきます。

  

表紙 表紙の裏の広告

 当時、先端の技術と言えども、まだアマチュアでも手に負える範囲のものが多くありました。 TK−80もソフト、ハードともに資料を読めば細かいところまで手を入れることができました。 今のコンピュータは機能・性能は確かにすごく向上していますが、専門分野以外はとても手を加えることができるような代物ではなくなってきております。 パソコン(マイコン)の組立はできても、パソコン(マイコン)の製作はほとんど不可能に近く、最先端の技術とアマチュアの手の出せる技術のレベルとの乖離が大きく、とても残念な時代になったものです。

 また、 ターミナルADM-3Aの広告が目にとまり、大阪のBit-INNに置いてあったADM-3Aをとてもうらやましく見ていた記憶も蘇りました。 まさか、その数年後、実際にこのターミナルを使うようになるとは思いもしていない頃です。

 そうこう読み進んでいくと、ぱらりとフィルムが落ちてきたのに気付きました。 なんと、コピーに取った回路図とアートワークは残っていましたが、原本の記事とアートワークフィルムの所在が不明となっていたテレビ画面を使った音声波形モニタ基板のアートワークフィルムでした。 

 また、アートワークフィルムの落ちてきた付近のページを開いてみると「簡易テレビ・ディスプレイ」の記事が見つかりました。 オシロスコープなんて個人で所有することができない時代に、音声波形をTV画面で見ることができるということで一生懸命製作したものです。

音声波形モニタ基板のアートワークフィルム 音声波形モニタ 製作記事

 この記事に掲載されていた回路図を下記に掲載しております。

 水平・垂直同期信号は555を使って発生しています。 当時はビデオ入力付きのTVは少なく、TVの1CHを使ってTVに写すためRFモジュレータ回路に74S00を使って構成しています。 この回路で初めてSタイプのロジックの威力を感じたものでした。

音声波形モニタ回路図

 確か、当時製作した基板もどこかの段ボール箱に入っていたように記憶があります。 心許ない記憶を頼りに探してどうにか見つけだしましたが、上記回路に改造(追加基板)を加えており 、どうみてもそのままでは動作しそうにない状態でした。 このため、改造追加基板を取り外して、上記回路の部分の基板だけをメインテナンスして再立ち上げを行いました。

基板外観 動作画像 (TV 1CH)

 掲載の回路に対して手を加えていたので上記回路図がどこまで正しいのか記憶に残っていませんが、とりあえずは動作させることができました。 受信チャンネルは1CHが限界のようです。 今回、この回路図を 改めて読み解くと映像信号の極性に疑問があったりしますが、映ればOKとしました。

 音声未入力時の動作画像を上記に掲載します。 水平同期の始めに映像が出ていたり、波形信号がにじんでいたりと綺麗な映像信号を得るところまではできませんでした。 映像としては当時はもっと綺麗に写っていたように記憶しています。 最近のTVはチューナ、コントラスト、ブライトなどの調整がディジタル式になっているため調整に手間取り、また、雑な映像信号に対しての許容が小さくなっているように感じました。 また、実際に音声波形を入力するとマイナス側の裕度が小さく波形 表示歪みを起こしているようでした。 

 さらに、メインテナンス過程で基板のアートワーク自体の間違いや設計ルールの問題があり、とてもご紹介できるような代物ではありません。 当時の自分のスキルの低さが情けなくなってきました。 当初は、この回路からコンポジット信号を作り出して再活用しようかと思っていましたが、この基板の再利用はあきらめることにしました。

 このような経過を経て、またまた自作虫が目を覚ましてきました。


1 音声波形モニタ仕様

 (a) 出力 : 白黒コンポジット出力

 (b) 入力チャンネル : 2CH (ステレオ対応)

 (c) 波形調整 : 波形位置、 波形振幅独立調整

 (d) 電源 : 5V単一電源

 (e) オプション : カラー液晶モニタ対応

 白黒信号をカラー化することは、やはり当時物ですが、白黒のテーブルテニスゲームのカラー化基板がありますのでそれを再活用する手段もありますが、結構時間がかかりそうで今更リバースエンジニアリングをする気力はありません。

 現在、「ビデオ信号→アナログRGBコンバータキット」のカラー信号回路が壊れておりカラー液晶「ワイド5.4インチRGB液晶モニター」・「3.6インチ液晶RGBモニター」を白黒でしか利用できず、カラー液晶が役立っていませんので、これを音声 波形モニタとして活用できるようにすることにしました。

 「ビデオ信号→アナログRGBコンバータキット」の信号レベルを「DIGTAL STORAGE SCOPE for PC PCS64i」で観測した結果の一部を下記に掲載しております。

 同期信号は正極性で、映像信号は映像の有効期間に出力されています。 つまり、水平ブランキング期間、垂直ブランキング期間は映像信号を出力しないようにしなければなりません。 また、映像信号自体もコンデンサカップリングとなっていますので単純に直流レベルで輝度を制御しているわけではないようです。

 よって、「ビデオ信号→アナログRGBコンバータキット」の替わりに音声波形モニタを接続しようとすると、単純に直流レベルの信号を映像信号として供給するのではなく、同期信号を考慮して結構まじめに信号を作っていく必要がありそうです。

 

同期信号(H-Sync) RGB−Blue信号(RGB)

(f) 同期信号

 オリジナルの回路では555で同期信号を作っていましたが、垂直同期信号と水平同期信号が非同期となっています。 新規設計するに際して、当然垂直同期信号と水平同期信号を同期させ ることにします。 また、上記のように同期信号以外に映像有効期間などのその他のタイミングを作る必要があります。 これを標準ロジックや専用ICで作るとなると製作や部品入手が面倒になります。

 結局、今回はPICマイコンで同期信号とタイミング信号を作ることにしました。 手持ちのPICマイコンはPIC16F84A-20/Pで20MHz駆動となります。 信号を作る際に論理変換も行 えるようにプログラミングすることとします。 よって、信号を出力するプログラムの基本パターンを以下のようにしました。

   movlw OutData ; 信号出力パターン
   xor pb_logic,wreg ; 論理変換
   movwf portb ; PortB出力

 1回の信号変化をするのに3マシンサイクルからりますので時間に関する分解能は以下のようになります。

 コンポジット信号(NTSC信号)を調べると、最小パルス幅より短いパルスは要求されていないようです。 多少のタイミングのずれはあるにしてもどうにかPICマイコンは使えそうです。

 今回のPICマイコンの仕様を以下に示します。

項  目

仕   様

使用チップ PIC16F84A-20/P
クロック セラミック振動子 20MHz
ピン割付   

ピン割付け及び信号 

No. 名 称 信  号  No. 名 称 信  号
RA2 未使用(常時Lレベル出力) 18 RA1 未使用(常時Lレベル出力)
RA3 未使用(常時Lレベル出力) 17 RA0 未使用(常時Lレベル出力)
RA4/TC 未使用(常時Lレベル出力) 16 OSC1 セラミック振動子
/MCLER パワーオンリセット入力 15 OSC2 セラミック振動子
Vss GND 14 Vdd +側電源(5V)
RB0 水平同期信号 13 RB7 フレームT/U区別信号
ライン 1〜262.5 / 262.5〜525
(フレーム単位で変化)
RB1 垂直同期信号 12 RB6 フレームT/U区別信号
ライン 4〜265.5 / 265.5〜525+1〜3
(垂直同期信号で変化)
RB2 コンポジット信号 11 RB5 ライン10〜263、及び、 273-525のバーストサイクル期間
RB3 映像有効時水平同期
(ライン 21〜263、及び、,283-525)
10 RB4 映像有り期間
ライン21〜263.5、及び283.5-525の映像信号有効期間

今回使用するこのはRB2、RB3、RB4です。

  •  RB2はコンポジット信号用の同期信号と、カラー液晶モニタの同期信号として使用します。
  •  RB3は音声波形位置を決めるための鋸波形発生用トリガとして使用します。
  •  RB4は映像信号を出力可能な期間を示す信号として使用します。 特にライン263と283では必須となります。

   

出力信号

タイミング

セラミック振動子の周波数が20MHzの場合
  • 水平同期信号周波数 15.823kHz
  • 垂直同期信号周波数 60.277Hz
  • フロントポーチ 1.6μs (1.5±0.1μs)
  • 水平同期パルス幅 4.6μs (4.7±0.1μs)
  • 等価パルス幅 2.4μs (2.3±0.1μs)
  • 切り込みパルス幅 4.6μs (4.7±0.1μs)
  • 水平同期信号開始時〜バーストサイクル開始時 9.4μs (9.4±0.1μs)

    ( )内はEIA RS-170Aで規定されている数値
 

EEPROM EEPROMの0番地でRB出力の極性設定ができます。
 
Bit 0 1
bit7 RB7 正論理出力 RB7 負論理出力
bit6 RB6 正論理出力 RB6 負論理出力
bit5 RB5 正論理出力 RB5 負論理出力
bit4 RB4 正論理出力 RB4 負論理出力
bit3 RB3 正論理出力 RB3 負論理出力
bit2 RB2 正論理出力 RB2 負論理出力
bit1 RB1 正論理出力 RB1 負論理出力
bit0 RB0 正論理出力 RB0 負論理出力

  

HEXファイル   
今回使用したプログラムのHEXファイルは下記のファイル名をクリックするとダウンロードできます。

   wm100b.lzh

EEPROMの0番地は0EFhとなっています。  

  


2 回路図

 コンポジット信号生成する基本回路であるコンポジット信号用音声波形モニタ基板の回路を下記します。

(画像をクリックすると縮尺100%の回路図を入手 できます。)

  

 

下記にカラー液晶用インターフェース基板回路を掲載します。

(画像をクリックすると縮尺100%の回路図を入手 できます。)

 上記回路でVR1〜VR6に500Ωを使用していますが、これは手持ちの関係でたまたまこの値になっただけです。 この抵抗だけで数10mAの無駄な電流を消費しています。 もし、新規に購入するならば回路定数を見直すことをお勧めします。 どの程度が適切か、みなさんでお考え下さい。


3 製作結果

 上記回路を元に製作した基板を下記画像に示します。

 調整VRとして多回転VRを使用していますが、普通の1回転VRでも使用可能と思います。

コンポジット信号用音声波形モニタ基板 カラー液晶インターフェース基板

 この回路を使って実際に画面状に表示した例を下記画像に示します。

 TVモニタでは白黒となりますが、とてもクリアに表示されていました。 コンパレータ起因のジッタなどを予想していましたが、思った以上にうまく表示できました。

 カラー液晶については色調整は可能でしたが、思った色をRGBで出すのはとても難しいことがよく分かりました。 下記画像は波形振幅がRGBとも約0.7V(白)、背景色は青が約0.7V、赤・緑は0Vとしたときの表示です。 下記画像ではうまく映っているように見えますが、視野が狭いので色の確認に際しては液晶の向きがとても大切でした。 また、分解能が悪いので水平位置調整によって線の幅が細くなったり太くなったりして見えてしまいます。 やはりカラー液晶はシャープな画像はとても苦手なようです。

TVモニタ
(無入力時)
TVモニタ
(音声入力時)
3.6インチ液晶RGBモニター ワイド5.4インチRGB液晶モニター

 

 コンポジット信号用音声波形モニタ基板のコンポジット信号出力とカラー液晶インターフェース基板の青色出力を「DIGTAL STORAGE SCOPE for PC PCS64i」で観測した結果を下記画像に示します。(データを合成して3ch表示としています。)

   
上段 水平同期信号コンポジット信号用音声波形モニタ基板のIC-7 6pin

中段 コンポジット信号出力

下段 カラー液晶インターフェース基板の青色出力(3.6インチ液晶RGBモニター負荷)

 

 以上のように、どうにかカラー液晶の再活用までたどり付きました。 カラー液晶 モニタはちょっとしたアクセサリとして使えそうです。 試しに製作されてみては如何でしょうか。


【 カラーコンポジット信号化 】

 前記はアナログRGB信号で液晶表示しましたが、RGB信号をNTSC信号に変換することでコンポジット信号のカラー化もできます。

 実際に「アナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータ」キットを使用した例を以下に示します。

 今回使用した「アナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータ」キットの外観を下図に掲載します。 アクリルケース内側に薄板銅板を敷いて、基板とコンポジット信号用ピンジャックを取り付けています。

 

【 アナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータキット組立外観 】

 

【 カラー化ビデオ信号構成外観 】

 上図がカラーNTSC信号音声波形モニタの構成です。右から左に(白黒)コンポジット信号用音声波形モニタ基板→カラー液晶インターフェース基板→アナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータです。

 カラー液晶インターフェース基板とアナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータの接続方法及び、実際に、アナログ・デジタル両用RGB→ビデオコンバータの出力をSmartVison Pro for USB (Pro2 Upgrade済み)でキャプチャした波形例を下図に掲載します。

【 接続方法 】 【 キャプチャ画像例 】

 


【プログラム書き込みサービス】 

 本ページで紹介しましたPICマイコンの書き込みサービスを行っています。 詳細はプログラム書き込みサービスのページを参照願います。


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