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Memorandumの小部屋

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ラジカセはスタンドアローンばかりで役立たず!!!

(ラジカセに外部ライン入力回路を設けましょう。)

 

jsk08a2.jpg (26453 バイト) 我が家もご多分に漏れず、CDラジカセやビデオデッキなどが何台かあります。 当然、 家族の者もそれらを頻繁に使います。 ビデオについては「自作AVユニット」で紹介しているように入出力信号が沢山あるのでAVケーブル関係の接続を変えることで外部機器との接続は自由にできます。 しかし、所有しているCDラジカセ類は、昔のようなコンポではなく、量販店で売っているトコトン原価低減を図ったとっても安いものばかりです。

 ある日、「ビデオに録画した音楽番組をラジカセに録音して」と依頼を受けました。 ここから全てが始まりました。

 現在、動作するラジカセ類は、ラジカセ1台、ダブルカセットラジカセ1台、CDラジカセ1台、MD+CDラジカセ1台の合計4台です。 我が家では、この前まではカセットテープだけでしたが、つい最近やっと購入した右画像のMD+CDラジカセ(aiwa製CSD−MD10)でMDの世界の仲間入りができました。 今回の依頼には是非MDで応えたいものです。 しかし、残念ながらMD+CDラジカセには外部ライン入力端子がありません。 安物特有のスタンドアローンタイプです。

 この場合、ビデオからMDへのダビングする方法としては下記の方法が考えられます。

  1.  唯一ライン入力のある15年以上前のラジカセで一旦カセットテープに録音して、このカセットテープをMD+CDラジカセにセットしてMDに録音する方法。 しかし、所有のラジカセは回転むらがひどいので音楽に使えるようなシロモノではありません。

  2.  「FM−ステレオ・トランスミッタ」「PS−474R FMステレオトランスミッタ」等のステレオワイヤレスマイクを使ってMD+CDラジカセのチューナからMDにダビングする方法。 しかし、音楽用に使えるような音声帯域ではありません。

 このように、満足のいく解決策がありません。 そこで、MD+CDラジカセに直接ビデオからの音声信号を入力するための外部ライン入力回路を追加ないかを検討することにしました。 検討・製作を次のステップで行います。

(1) チューナ部の音声信号がとりだせるか。

(2) 感電の可能性はないか。

(3) 回路・実装検討。

(4) 製作と動作確認。

 

【 チューナ部の音声信号が取り出せるか 】

 MD+CDラジカセは、音声選択スイッチがスライドスイッチではなく押しボタン切替になっています。 つまり機械的な切替ではなく、アナログスイッチ等の電子スイッチによる切替と思われます。 よって、音声選択スイッチの部分に外部ライン入力を設けるのは難しいと推測されます。

 外観上、チューナ部が独立しているようなので、チューナの出力の替わりに外部信号を入力でるかもしれません。 早速、分解してチューナ部を調べてみました。

 下図のチューナ部の画像のように非常にシンプルなチューナ基板です。 下図の下側の白いフラットケーブルが唯一の信号用ケーブルです。 それ以外はアンテナ用とアース強化用の電線のみで非常にシンプルでした。

 ICはわずか1個で、型式はLA1828となっています。 ”LA”とあれば三洋電機と思われますので、三洋電機のホームページで調べるとデーターシートが見つかりました。

 早速ダウンロードしてチューナ基板と比較してみます。 データシートによれば音声出力は16番ピンと17番ピンです。 この付近の回路を調べると、間違いなく三洋電機のLA1828のようです。 最後にラジカセに電源を入れて該当回路部分の信号を別のアンプに入力して音声信号が出ていることを確認できました。 これでチューナ部を利用して外部ライン入力回路を設けることが確認できました。

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【 チューナ基板 】 【 LA1828データシート抜粋 】

 

【 感電の可能性のチェック 】

 必ずチェックしないといけないのが、各回路が100VACから絶縁されているかどうかの確認です。 安全の確認がまず第一です。

 MD+CDラジカセをバラしたときの裏蓋に電源用トランスが付いているようです。 配線を辿っていくと1次側の配線はトランスにしか行っていませんでしたので、感電するとはないようです。 念のため、電源をオンしてチューナ部の回路を触ってみても何ともありません。 (真似しないでくださいね。 検電器やテスタを使って下さい。)

 これで絶縁も確認完了です。

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【 感電の可能性のチェック 】

【 回路・実装の検討 】

 チューナ部の信号が分かれば、あとはチューナの音声信号と外部入力信号の切替ができるようにすればよいだけです。 回路としては切替用のスイッチとライン入力用のピンジャックで切替回路を作れば済みます。 しかし、音声信号の入力回路側が不明ですので直流的には絶縁をしておこうと思い、外部入力信号側には無極性電解コンデンサ10μFを設けることにしました。

用意した部品

 この結果、最終回路を下図のように決めました。 また、チューナ基板のパターンをトレースし、回路どおりとなるように信号取り出し部、信号入力部、パターンカット部を決めます。 

 これをベースに改造した様子を下記に示します。

 

【 改造回路図 】
  

【 チューナ基板の改造状況 】

 

  増設回路部分はケースの内側に隠れていますので見栄えを気にせずに改造できますが、切替スイッチSW1とピンジャックの取付については見栄えと実装に少しは気を付けなければなりません。

 部品の実装位置検討に際しては、ピンプラグを付けてもラジカセの設置の邪魔にならない位置で、また、切替スイッチSW1も比較的操作しやすい位置を探しました。

 今回の改造の様子を下図に示します。 左側は内部の様子で、切替スイッチSW1、ピンジャック、無極性コンデンサC1・C2が下記画像にあるように宙ぶらりんの状態で配置しております。 左側の画像に外観を示します。 中央下側の赤・白のピンジャックが今回追加したもので、その上側の長方形の部分が切替スイッチSW1です。

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【 背面内部 】 【 背面外観 】

 

【 動作確認 】

 これで実際に外部から音声信号を入力して動作確認を行ったところうまく外部入力(ビデオ)からMDにダイレクトにダビングできるようになりました。 ここで、当初から気になっていた音声レベルの調整です。 オシロスコープなどがなかったために動作確認後に考えることにしてりました。

 実際に動作させて音を聞きましたが、少し外部入力側の振幅が大きいようです。 大きい方ならば信号を小さくすればよいだけですから対策は簡単です。 抵抗のアッテネータを設ければよいのですが、今回は手持ちのVR付きピンプラグケーブルを使用することにしました。 回路及び外観を下図に掲載します。

 

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【 VR付き音声ケーブル回路図 】 【 VR付き音声ケーブル外観 】

 

 まともなオシロスコープが入手できたあとに、実測からアッテネータ回路を決定するつもりですが、今回はこのままリリースしております。

 今回の改造は、チューナ部がアナログ式になっている安いラジカセで、かつ、基板も分離されていたのでとても簡単にできましした。 しかし、ディジタル式のチューナなどの場合は、改造部位を特定するのに時間がかかるものと思われます。 今回の改造方法は、中途半端に安いラジカセ向きの改造だと思います。

 

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