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Q&Aの小部屋

 

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皆様から頂いたご質問の回答の一部を紹介させて頂いております。

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ご 質 問   

 
 センサ信号オンしてから10秒後にランプを点灯し、10秒間点灯した後に消灯させたい。 ランプはFETでオンオフしたい。
 
 

回   答   

 

注意事項

 下記掲載内容につきましては、当方の試作結果の公開であり、機能、性能、安全性を保障するものではありません。 下記内容を試される場合は、全ての内容について自己責任で行って下さい。


1 ご質問への回答

  センサ信号を受けてオンディレー信号+ワンショット信号を使えば実現できます。 当初は、これに適合するキットを探しましたが、残念ながら適切なキットを見つけることができませんでした。 PICマイコンを使用すると容易に実現できますが、ソフトを作成する必要もありますし、書込器も必要になり、電子工作初心者の方には壁がとても高いと思います。
 その他に、オムロンなどから発売されている多機能タイマーを使用されるのが一番てっとり早いと思います。 ただ、電子工作にトライしてみたいということで、この方法も却下です、

 電子工作初心者の方には、部品集めに手間がかかると思いますが、ワンショットICの代表である555タイマーICを使用した電子工作ということで、今回のご要望を実現してみます。 ただし、回路はブレッドボードで試作するところまでですので、本回答を基にして、ご自分なりの


2 ランプ点灯制御回路試作

 ランプ点灯制御回路はタイマーICである555タイプを2個使用します。 1段目の555タイプICで、オンディレー用の10sパルスを作ります。 2段目の555タイプICは、オンディレー用パルスの終了(立ち下がり)を検知して、FETオン用の10sパルスを作るようにします。
 555タイプICをワンショットで動作させるときに注意しないといけないのは、2番ピンのトリガ入力をパルス出力終了するまでにHレベルに復帰させておくことです。(詳しくは、ご使用の555タイプICのデータシートを入手してご参照願います。) このため、どのようなパルス幅の入力信号でも対応できるように、入力信号が接点開→閉(オープンコレクタの場合、トランジスタオフ→オン)を検出するコンデンサによる微分回路をもうけてエッジ検出で起動がかかるようにします。

 動作、制御方法を決めるに際して、ご要望のセンサ信号仕様などの詳細が不明です。 今回は、ランプ点灯制御回路への電源供給方法の違いにより、下記2つのケースで検討することにします。 なお、電源電圧は13.8V、負荷電流は10Aとします。

  • Case1

 センサ信号がドライ接点である。 ランプ点灯制御回路の電源をオンオフすることでランプを点灯する。
 センサ信号の接点が閉じることでランプ点灯制御回路に電源を供給したときに1回だけランプを点灯して10秒後に消灯する。
 次にランプを点灯させるためには、一旦、ランプ点灯制御回路の電源をオフし、再度、ランプ点灯制御回路の電源をオンする。

  • Case2

 センサ信号がドライ接点、もしくは、オーンコレクタである。 ランプ点灯制御回路の電源は常時給電している。
 センサ信号のドライ接点が閉じる(もしくはオープンコレクタがオンする)と1回だけランプを点灯して10秒後に消灯する。
 次にランプを点灯させるためには、一旦、センサ信号のドライ接点が開き(もしくはオープンコレクタがオフし)、その後、 センサ信号のドライ接点を閉じる(もしくはオープンコレクタがオンする)と、再度ランプを点灯する。

 次に、使用する主要部品を決めます。

  •  タイマーICは、C−MOSタイプとします。 秋月電子通商で入手可能なLMC555(通販コード I-958)を採用します。 C−MOSタイプの555タイマーICならば、ほぼ、どれでも使用できると思います。 バイポーラの場合は、後述の電源ラインインピーダンス低下用抵抗の見直しが必要となると予想します。
     

  •  ランプ点灯用FETは選択の余地は無く、手持ちの2SJ504(通販コード I-1114 )とします。 これも秋月電子通商で入手可能です。
     

  •  タイマーIC用電源として動作を安定化するために3端子レギュレータで5V駆動とすることにします。 一般的なTO−220パッケージ相当の3端子レギュレータならば、+5V 0.3A以上ならば、どのようなものでもよろしいかと思います。 秋月電子通商ならば、TA4805S(通販コード I-537)、NJM7805FA(通販コード I-161)、NJM7223F50(通販コード I-671)などが使用できます。 電源電圧が13.8Vですので、低ドロップタイプの3端子レギュレータである必要はありません。 もし、電源電圧が6V〜8V程度ならば、低ドロップタイプを使用する必要があります。

 以上の使用を基に、Case1向けに作成した基本回路図を図1に掲載します。

【 図1 Case1 基本回路 】

  •  負荷RLoadは、FETや配線の電圧降下などを考慮して約1Ωとします。

  •  Sensor1が、センサーの接点です。

  •  電源投入時にオンディレー用10sパルスを出力させるためのトリガ信号回路R20、C20を設けます。 D20はC20の残留電荷放出時間を短くするための放電用ダイオードです。

  •  R40とC40が電源投入時のパワーオンリセット信号回路です。

  •  IC2の出力3番ピンはオンディレー用10sパルス出力終了後はLレベルを保持します。 前述のようにIC3出力で10sパルスを出力するためにはIC3の入力をHレベルにしておく必要がありますので、IC2の出力3番ピンにC6,R7の微分回路を設けます。

 通常は、この程度の回路で十分機能します。 しかし、今回が、10Aもの負荷であるため、誤ってオンしないための工夫をすることにします。

 その一例として、13.8Vの電源電圧が大きく変動したときにも誤動作しないようにします。 図1の回路で電源電圧を変動させたときの3端子レギュレータ出力の+5Vライン電圧と負荷電圧の波形を示します。 +5Vライン電圧が1V程度に低下したときに電源電圧を復帰させると、場合によっては図2のようにFETがオンしてしまうことがあります。 電源電圧が不安定な場合に発生しやすい現象です。 通常は、このような対策までは踏み込まないのですが、今回は真面目に(できる範囲で)対策することにしました。

【 図2 電源電圧変動による誤動作例 】

 この対策で、一番簡単なのは、FETの変わり、もしくは、図1の回路図のQ5にリレーを使うことです。 しかし、それでは、電子化のご要望にお応えできないため、この方法はとりません。 対策として以下の2点を組み込みことにしました。 なお、今思えば、5V電源電圧確定時のみランプ点灯制御回路に電源を供給する方法もありましたが、今回は下記で対応しました。

対策1

 リセット信号電源電圧が中途半端なときにタイマーIC555へリセット信号をLowレベルに保持するようにします。 この対応として、今回はパワーオンリセット回路をCR充放電回路からツエナーダイオードを使用した電圧検出回路に変更しました。 このとき、最もよい回路は、電圧検出ICを使用するのが一番確実なのですが、ツエナーダイオードを使用した電圧検出回路としました。 (図3、図4のQ2の部分)

対策2

 誤動作の確率を低下させるために1段目の555タイマーICが出力しているときに2段目のタイマーICをリセットし、また、2段目の555タイマーICが出力しているときに1段目のタイマーICをリセットするようにしました。
 また、この回路がないと、FETオン中にセンサ信号を1段目の555タイマーICが受け付けてしまい、予期せぬ2段目の555タイマーICのオン→FETのオンをすることになります。 この回路を設けることでリトリガがかかることを防止します。 (図3、図4のQ3,Q4の部分)

 上記の対策を実施したCase1とCase2の回路図を下記します。 これが、今回の試験回路です。

  •  R1とR3は無駄に見えるかもしれませんが、とても大切な抵抗です。 絶対に設けて下さい。 但し、抵抗値は±25%程度変わっても、問題はないでしょう。 今回の試作では1/6W抵抗を使用していますが、継続的に使用する場合は、1/2Wの抵抗を使用して下さい。
     

  •  試作程度だと電解コンデンサの耐電圧は16Vでも構いませんが、継続使用する場合はC1,C2の耐電圧は35V以上にして下さい。 C1,C2以外は16Vで十分です。
     

  •  Sensor2でフォトカプラを使用していますが、これはノイズ環境で使用することを想定して、電圧信号ではなく電流駆動した電圧信号としたかったためです。 本当はR31,R32の値はもっと小さくしたかったのですが、今回は下記で妥協しました。
     なお、フォトカプラPC1は、TLP521である必要はありません。 汎用品であれば、どのようなものでも構いません。 秋月電子通商で販売しているTLP621でも十分使用できます。

【 図3 Case1 回路 】

 

【 図4 Case2 回路 】

 

 図3、図4の回路をブレッドボードで動作試験したときの様子を下図に示します。 タクトスイッチは図4のSensor2に相当します。

【 図5 動作試験(手前から見る) 】

 

【 図6 動作試験(真上から見る) 】

 

【 図7 動作試験(奥側前から見る) 】

 

  • 右側中段の黒い四角の部分がQ1 2SJ504と放熱板、及び、R14です。
    想像以上に発熱しますので、最低でも上記サイズの放熱板は必須です。

  • 負荷であるリボン抵抗RLoadは「電気街探訪の小部屋」の「広島探訪 その3 「・・・・・・・・・・・・・ 」の巻」で購入した抵抗です。 やっと、出番が来ました。 しかし、今思ってもHG型可変抵抗器を失ったのはとても残念です。

【 図8 動作試験(主回路部分) 】

 この試験回路で実際に動作したときの波形を掲載します。 オンディレー用10sパルス時間はR4+100kΩVRで,FETオン用10sパルスはR8+100kΩVRで調整します。 時間を大きく変更されたい場合は、これらに加えてC5,C8も変更することで対応できます。  なお、動作させたとの負荷電流は10.8A、FETのD−S間電圧VDSは0.452V、制御回路0Vライン〜ドレイン間電圧11.14Vでした。

【 図9 ランプ点灯制御回路 動作波形 】

 今回の試作で所望の動作はできるようになりましたが、残念ながら負荷は抵抗でしか試すことができませんでした。 ランプ負荷の場合、突入電流(インラッシュカレント)対策なども必要になります。 この点については、今回は見送りとさせて頂きます。


製作に必要なもの。

 この回路を製作して、実用化するためには、上記回路のほかに、いろいろな部品、工具が必要になります。

  • プリント基板(一例:秋月電子通商 片面ユニバーサル基板Cタイプ(72x47mm) (通販コード P-182 ))、基板固定用スペーサ

  • ケース

  • 電線 (ランプ主回路用に10A用電線。 ランプ点灯制御回路配線用電線。)

  • TO−220用放熱板、および、放熱用シリコングリス

  • ハンダコテ、ハンダ、ハンダコテ台

  • ケース加工用工具

 


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